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「数分遅れると命に関わる」渋滞になっても地震・津波の避難に車?リスクとポイントを専門家解説

  • 2026.8.9

6月、青森で最大震度6強の地震が発生。
さらに7月には、熊本で最大震度7を観測するなど、全国各地で大きな地震が相次いで起きています。

『備え』の重要性が高まるなか、津波警報の伝え方や津波避難の方法を見直す動きが出ています。

【特集】“じぶんごと”防災

命を守る「津波フラッグ」知っていますか?

6月26日に海開きした「おたるドリームビーチ」。
ライフセーバーが、海に向かって大きな旗を振りました。『津波フラッグ』です。

これは『津波の危険』を視覚的に知らせる旗で、津波に関する警報・注意報が発表されたときに、沖にいる海水浴客や聴覚に障害がある人に知らせます。

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札幌管区気象台の浦谷純平地震津波対策調整官は「津波フラッグを見かけたら、大きな声で津波の危険を周りにも知らせながら避難してほしい」と話します。

スマホが使えない沖では『緊急地震速報』も『津波の情報』も入りません。
地震が増えるなか、気象台などが積極的な活用を進め、道内20の自治体で導入されています。

実際に、2025年7月にロシア・カムチャツカ半島沖でマグニチュード8.7の巨大地震が起きたとき、日本海側に津波注意報が発表されました。

そのとき、ドリームビーチでは『津波フラッグ』が振られ、海水浴客の避難に役立ったといいます。

一方で、海を訪れた人からは「津波フラッグは知らなかった。泳ぎに来た人は知っておかないと、『何をやってるんだろう?』という感じになってしまう」といった声も聞かれます。

浦谷調整官は「まだまだ認知度は低いので、これから上げていきたい」と今後の課題を口にします。

「徒歩避難」を推奨されても「どうしても車」の切実なワケ

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日高地方の浦河町では、2025年7月以降3回『津波警報』が出されました。
警報のたびに町内で発生するのが、道路の渋滞です。

浦河町は、原則として『徒歩』で避難することを勧めていますが、多くの町民が『車』を使うことが原因です。

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浦河町に住む土井晋輔さんは、避難の原則は徒歩だと知りつつ、津波警報が発表された3回とも、海岸近くに住む高齢の両親を連れて車で避難しました。

「両親とも足を手術しているので、歩くとなると困難。避難が数分遅れると命に関わるので、どうしても車を使わざるをえない」

津波避難に対応した避難所のスポーツセンターまで徒歩で避難する場合、坂道を歩いて登っていくことになります。

2025年12月の津波警報では、第1波が到達したあとも渋滞が続き、緊急車両の通行に支障をきたす恐れがありました。

車避難の範囲を明確に 現実の心配ごとは

こうした課題を受けて、浦河町は2026年3月、地域防災計画を改定。
避難について『原則は徒歩』は変わりませんが、支援が必要な「高齢者や障害がある人」と「避難所までの距離が相当ある場合」は『車での避難』を明確にしました。

浦河町総務課危機管理係の大山晃係長は「車で避難する人の範囲を明確にすることで、避難遅れを最小化する目的で改定した」と説明します。

加えて「徒歩で避難すれば、車でしか避難できない人々を助けることに繋がる。渋滞に巻き込まれるリスクもなくせるので、今一度徒歩避難を考えてもらいたい」と話します。

車避難の『範囲を明確化』することで、対象の町民にとっては安心材料ですが、ほかの町民も、車は避難の選択肢として持っておきたい手段です。

土井さんは「徒歩と車の『すみ分け』ができればいいが、実際命を守ることが大事になって、1分1秒争うとなると、やっぱり車を使ってしまうだろう。夏ならまだしも、冬になったら車避難に頼ってしまう」と話します。

『車避難』を計画に盛り込む自治体

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道内では、浦河町以外にも『車避難』を避難計画に盛り込んでいる自治体があります。

道南の福島町は、防災計画で原則は徒歩としつつも『自力で避難できない方』などは車避難を推奨しています。

道東の浜中町は北海道立総合研究機構と協力して、徒歩と車の津波避難シミュレーションを行い、地区ごとに「この道を通って向かいましょう」という『車の避難ルート』を決めています。

また、2021年に完成した新しい庁舎は高台に作られ、町民の車避難を想定して、広い駐車スペースを確保しています。

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災害時の『車避難』について、防災専門の日本赤十字北海道看護大学の根本教授は、行政側と住民側それぞれの課題を挙げています。

行政側は「住民としっかり討議をして理解を得る場を作ること」や「車避難を想定した防災訓練を実際にやること」。

一方、住民側も事前の訓練が重要で「道路の液状化や歩行者が多いことなど、普段とは同じ状態ではないと想定すること」が必要だと話します。

『車避難』は、途中で車を放棄して高台に上がらなければならないことも十分あり得ます。そのときは、必ず車の鍵はつけた状態で残しておくように注意を促しています。

『想定外』を少なくする備えを

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津波への備えとして、住民はまず適切な情報を受信して、情報を得たら自分の『避難スイッチ』をオンにすることが大切です。

根本教授は、日頃から『想定外』を少なくして、すぐに行動を起こせるように「『津波避難は逃げるが勝ち』という言葉を覚えておいてほしい」と話します。

HBCテレビ「今日ドキッ!」のスタジオでは、ゲストコメンテーターの田村次郎さんが「それぞれが避難方法を認識しておくべき。ビーチは客が集まると思うので、人が増えたときの想定も必要」だと話しました。

また、ゲストコメンテーターの保田隆明さんは「人間の心情的には『1秒でも早く逃げたいから車を使いたい』と思ってしまうが、みんながそうすると全体がふん詰まりになる。自治体が『全体最適』をいかに分かりやすく伝えるかが重要」だと話します。

自分たちの住むマチは、どういう避難を想定して対応しているかを頭に入れ、事前に避難ルートの確認や訓練をしてみることが、命を守る一歩になります。

【特集】“じぶんごと”防災

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke読者編集部ぬまぬま

※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年7月3日)の情報に基づきます。

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