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「週5個の卵」を食べるとアルツハイマー病のリスクが低下

  • 2026.5.12
Credit: canva

冷蔵庫にいつも入っている身近な食材「卵」。

朝食の目玉焼き、昼食のゆで卵、料理に混ぜ込まれた卵など、私たちは日常の中でさまざまな形で卵を食べています。

そんなありふれた食品が、年齢を重ねた脳の健康と関係しているかもしれません。

米ロマリンダ大学(LLU)の研究チームは、65歳以上の高齢者を対象に、卵の摂取量とアルツハイマー病の診断リスクとの関係を調査。

その結果、週に少なくとも5個の卵を食べていた人では、卵をまったく食べない人に比べて、アルツハイマー病と診断されるリスクが最大27%低いことが示されました。

研究の詳細は2026年4月17日付で学術誌『The Journal of Nutrition』に掲載されています。

目次

  • 卵を食べる人ほど、アルツハイマー病リスクが低かった
  • 卵は「脳によい栄養素」をまとめて含んでいる

卵を食べる人ほど、アルツハイマー病リスクが低かった

アルツハイマー病は、記憶や思考能力が少しずつ損なわれていく進行性の脳疾患です。

根本的な治療法はまだ確立されていないため、発症前の予防や、リスクを下げる生活習慣への関心が高まっています。

そこで研究チームは、米国で進行中の大規模研究「アドベンチスト健康研究2」のデータを用いました。

対象となったのは、米国在住で65歳以上の約4万人です。

参加者は研究開始時に詳しい食事質問票に回答し、チームはその後、平均15.3年間にわたって追跡しました。

アルツハイマー病の診断は、メディケアの医療記録に基づいて確認されています。

研究では、スクランブルエッグ、目玉焼き、ゆで卵のように目に見える形で食べる卵だけでなく、焼き菓子や加工食品に含まれる卵も含めて評価されました。

その結果、卵を食べる人では、まったく食べない、またはほとんど食べない人に比べて、アルツハイマー病と診断されるリスクが低い傾向が見られました。

具体的には、月に1〜3回卵を食べる人ではリスクが17%低く、週に2〜4回食べる人では20%低く、週に5個以上食べる人では最大27%低くなっていました。

この関連は、年齢、性別、人種、教育歴、身体活動量、睡眠習慣、高血圧、糖尿病、心疾患などを考慮した後でも一貫していました。

つまり、卵を食べる人に見られたリスク低下は、単に「若い」「運動している」「病気が少ない」といった要因だけでは説明しきれない可能性があるのです。

卵は「脳によい栄養素」をまとめて含んでいる

では、なぜ卵がアルツハイマー病リスクの低下と関連したのでしょうか。

研究者たちは、卵に含まれる複数の栄養素に注目しています。

卵には、神経細胞の情報伝達や記憶に関わる「コリン」が含まれています。

コリンは、神経伝達物質アセチルコリンや、細胞膜を構成するホスファチジルコリンの材料になる栄養素です。

また卵には、ルテインやゼアキサンチンと呼ばれる「カロテノイド」も含まれています。

これらは脳組織に蓄積し、認知機能や酸化ストレスの低下と関連する可能性が指摘されています。

さらに、卵にはオメガ3脂肪酸やリン脂質も含まれており、特に卵黄はリン脂質が豊富です。

リン脂質は脳細胞の膜や神経伝達に関わるため、脳の働きを支える土台の一部と考えられます。

卵は、こうした栄養素を小さな殻の中にまとめて持っている食品です。

そのため、研究者たちは、卵が「脳に健康的な食事パターン」の一部として働いている可能性を考えています。

ただし、ここで大切なのは、今回の研究が観察研究である点です。

観察研究では、卵を食べる習慣とアルツハイマー病リスクの低さが同時に見られたことは示せますが、「卵を食べたからアルツハイマー病が防げた」とまでは証明できません。

実際、研究者たちも、卵を単独の予防策と考えるべきではないと注意しています。

さらに、今回の対象者はセブンスデー・アドベンチストを含む健康意識の高い集団で、喫煙や飲酒が少ない傾向があるため、結果をそのまますべての人に当てはめるには慎重さが必要です。

それでも今回の研究は、卵という身近な食品が、高齢期の脳の健康と関係している可能性を示す興味深い結果です。

アルツハイマー病の予防を考えるうえで重要なのは、ひとつの食品に期待しすぎることではありません。

野菜、果物、豆類、ナッツ、魚、全粒穀物などを含むバランスの取れた食事の中で、卵もまた脳を支える食品の一つになり得るという見方が現実的です。

冷蔵庫の中の卵は、ただの朝食の定番ではなく、年齢を重ねる脳の健康を考えるきっかけになる存在かもしれません。

参考文献

Eating at least five eggs a week is associated with a 27 percent lower risk of Alzheimer’s
https://www.psypost.org/eating-at-least-five-eggs-a-week-is-associated-with-a-27-percent-lower-risk-of-alzheimers/

Study: Egg consumption is associated with a lower risk of Alzheimer’s Disease
https://news.llu.edu/research/study-egg-consumption-associated-lower-risk-alzheimers-disease

元論文

Egg Intake and the Incidence of Alzheimer’s Disease in the Adventist Health Study-2 Cohort Linked with Medicare Data
https://doi.org/10.1016/j.tjnut.2026.101541

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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