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「お弁当は後だ。まだ走ってるぞ」徒競走で転んだ子が立ち上がり、会場に拍手が広がった瞬間

  • 2026.8.3

白線の前に四人が並ぶ

子どもの通う小学校で、運動会が開かれた日のことです。

午前最後の競技は、低学年の徒競走でした。競技が終われば、そのまま昼食休憩に入る予定です。

お昼が近づき、保護者席では水筒を取り出したり、レジャーシートの上を片づけたりする人が増えていました。

私の前に座っていた家族も、足元に置いたクーラーボックスを自分たちのほうへ引き寄せています。

やがて、スタートラインに四人の子どもが並びました。

合図の音が鳴ると、四人は一斉に走り出します。

ところが、コースの半分ほどまで進んだところで、いちばん外側を走っていた子の足がもつれました。

体が前に傾き、そのまま両手と膝を地面についてしまいます。

それまで飛び交っていた声援が、ぴたりと止まりました。

一人だけ残ったコース

ほかの三人は、そのままゴールへ走っていきました。

転んだ子のそばには先生が駆け寄り、腰をかがめて声をかけています。

その子は少しの間、膝を押さえたまま動きませんでした。

けれど先生の顔を見て小さくうなずくと、自分の力でゆっくりと立ち上がりました。

手のひらについた土を払い、膝の砂も落とします。

そして、まだ張られているゴールテープのほうを見ました。

そのころ、先に走った三人はすでにゴールしています。

午前の競技が終わったと思ったのか、保護者席では立ち上がる人や、お弁当を取り出そうとする人が出始めていました。

私の前にいた家族の子どもも、クーラーボックスの留め具に手をかけます。

すると、お父さんがコースを指さして言いました。

「お弁当は後だ。まだ走ってるぞ」

その声に、周りの人たちも再びコースへ目を向けました。

最後まで走り切った姿

転んだ子は、もう一度走り始めていました。

最初は足をかばうような小さな歩幅でしたが、少しずつ速くなっていきます。

誰かが手を叩きました。

その音に続くように、保護者席のあちこちから拍手が広がっていきます。

「頑張れ!」

「あと少しだよ!」

その子は声援に押されるように腕を振り、ゴールへ向かって進みました。

ゴールテープの前では、先生たちがそのまま待っています。

そして、その子が最後まで走り切ってテープを越えた瞬間、会場から大きな拍手が起こりました。

先生はすぐに駆け寄り、その子の膝の様子を確認しています。

先にゴールしていた子どもたちも、少し離れた場所から手を叩いていました。

順位とは関係なく、諦めずにゴールまで進んだ姿に、会場全体が声援を送っていたのです。

その直後、昼食休憩を知らせる放送が流れました。

前にいたお父さんは、コースから目を離してから、ようやくクーラーボックスの蓋を開けます。

「今度こそ、お弁当にしようか」

家族が笑いながらうなずくのを見て、私も静かに拍手をやめました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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