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「奇遇だね、また会っちゃった」どこへ行くにも先回りで現れる知人のことを、私が家族に打ち明けた日

  • 2026.8.3
「奇遇だね、また会っちゃった」どこへ行くにも先回りで現れる知人のことを、私が家族に打ち明けた日

行く先々にいる人

そこまで親しいわけではない知人がいました。同じ習い事で、月に何度か顔を合わせる程度の間柄です。

その人は、いつからか私の行く先々に現れるようになりました。駅の改札を抜けると、同じ電車の同じ車両に乗り込んできます。仕事帰りに寄ったスーパーでも、気づけば隣の棚に立っているのです。

「奇遇だね、また会っちゃった」

会うたびに、そう言って腕に手を添えてきます。私が右の棚に動けば右へ、左を向けば左へ。まるで鏡のように、同じ動きが返ってきました。

一度や二度なら、偶然で片づけられます。けれど毎回となると、さすがに偶然とは思えませんでした。

言えないまま、ためこんで

はっきり嫌だと伝えられたら、どれだけ楽だったでしょう。その一言が、どうしても喉の奥で止まってしまうのです。

「今日はこれからどこ行くの。私も一緒でいい?」

「ごめん、今日はちょっと用事があって」

やっとそう返しても、断りきる前に相手はもう隣を歩き出しています。約束の時間を少しずらしても、通る道を変えても、先回りするように目の前に立っていました。

相手を怖い人だと思ったわけではありません。ただ、人との距離の取り方が、どこかずれてしまっているように見えました。

それでも誰にも言えないまま、気持ちだけが少しずつ重くなっていきます。夜は眠りが浅くなり、朝の支度の途中で手が止まる日が増えていきました。

母に打ち明けた夜

その週末の夜でした。台所に立つ母の背中を見ていたら、急に目の奥が熱くなりました。

「お母さん、実はね、ずっと言えなかったことがあるの」

ためこんでいたことを、少しずつ言葉にしていきました。母は洗い物の手を止めて、最後まで口を挟まずに聞いてくれます。

「もうやめて、ついて来ないで」

本当はそう言いたかったのだと打ち明けたとき、声が震えました。母は濡れた手をふいて、私の隣に腰を下ろします。

「よく話してくれたね。こういうことは、ひとりで抱えなくていいのよ」

あとから父も加わって、これから相手とどう距離を取るかを、家族みんなで一緒に考えてくれました。ずっと胸につかえていた重さが、その夜、少しずつほどけていきます。

「大丈夫だ。次からは、父さんたちも一緒にいるから」

父の言葉に、私は久しぶりに、まっすぐ顔を上げてうなずけました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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