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人気絶頂期、30歳目前で活動休止し海外へ。約1年の留学で自分を見つめ直した元アイドル女優

  • 2026.8.13
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2019年12月、『教場』完成披露試写会に登場した大島優子(C)SANKEI

2017年、30歳を目前にした一人の女優が、芸能活動を休止してアメリカへ渡った。自ら立ち止まり、誰も頼れず、誰も自分を知らない場所で暮らす道を選んだのだ。

その人は、元AKB48の大島優子。子役時代から長く芸能界に身を置き、グループ卒業後は女優として歩んでいた。そんな大島が約1年の海外生活で向き合ったのは、華やかな「海外進出」よりも根本的な問いだった。

名前が通じず、言葉も十分に届かない場所で、大島は表現する仕事をなぜ続けるのかを考え直していった。

誰も自分を知らない場所へ

大島は以前から海外や留学に関心があり、2016年夏にはニューヨークへ短期留学している。ただし、翌年からの長期滞在先はニューヨークではない。2017年9月、語学を学ぶために渡米し、生活の場として選んだのはオレゴン州ポートランドだった。

本人は後年のインタビューで、30歳を前に挑戦するなら今しかないと思ったこと、1年間仕事を休むには覚悟が必要だったことを明かしている。幼いころから芸能人として見られてきた大島にとって、現地で会う人との関係は自己紹介から始まった。

それまでの肩書や実績を知らない相手に、自分が何者なのかを一から伝える。後にその新鮮さが自分を見つめ直す時間につながったと振り返っている。大島が海外で得たのは、知名度から離れたときにも残る自分自身と向き合う時間だった。

言葉が通じないから「伝えること」を考えた

留学当初は、伝えたいことがうまく伝わらず、思うように表現できない場面もあったという。大島が語ったのは、英語を身につけたという分かりやすい成功談だけではない。伝わらないもどかしさを経験したからこそ、「伝えること」の大切さに気づき、自分が表現することを好きなのだと再確認したという話だった。

これは、言葉を使って誰かに感情や物語を届ける俳優の仕事とも重なる。ただし、留学したから演技力が上がったと単純に結ぶことはできない。本人の言葉から見えるのは、表現を技術ではなく、相手へ届ける行為として見直したことだ。

通じない経験は、大島にとって「何を話すか」だけでなく、「なぜ伝えたいのか」を考える入口になった。

英語の演出を直接受け取る

帰国後、その経験と仕事の具体的な接点になったのが、2019年上演の舞台『罪と罰』だった。英国人演出家フィリップ・ブリーンが手がけた日本公演で、大島は家族を支えるソーニャを演じ、三浦春馬演じるラスコリニコフと心を通わせる役を担った。会見で大島は、ブリーンの英語による演出を「6〜7割くらい」理解できたと語っている。演出家本人の口から出た言葉を直接受け止められたことを、よい経験として挙げた。

流暢な英語で海外舞台に立ったという話ではない。それでも、言葉が通じず思いを表せなかった留学当初から考えれば、相手の意図を自分で受け取れる範囲が広がったことは確かだ。

「伝わらない」から始まった経験は、帰国後の舞台で、演出家の言葉を直接受け取るという小さくも具体的な成果になった。

海外へ出て仕事の意味を持ち帰った

約1年の滞在で起きたのは、活動範囲を海外へ広げたことより、自分を知る人がいない環境で、表現者としての土台を問い直したことだった。

30歳目前で仕事を止める決断、言葉が届かない日々、ホームステイ先で交わした会話、そして帰国後に受けた英語の演出。それぞれは別の出来事だが、その間には「人に何かを伝える仕事を続けるのか」という問いが流れている。

大島優子が海外から持ち帰ったのは、派手な肩書ではない。伝えることを諦めず、その仕事へもう一度戻るという、自分なりの答えだった。


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