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20年前、「恋も仕事も大切にしたい」と語った女優。朝ドラからジブリ映画まで彩った【ヒロイン】

  • 2026.9.19
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2007年11月、「e-Tax」PR会見に出席した池脇千鶴(C)SANKEI

今から20年前の2006年9月、映画『ストロベリーショートケイクス』のイベントで、池脇千鶴は恋も仕事も大切にしたいと話していた。欲張りだと自分を評しながら、俳優の仕事で生きていきたいという思いもはっきりと示した。

同じ席にいた中越典子は、両方に力を注ぐのは難しいと考え、中村優子は、結婚するかしないかを先に決めなくてもいいと語っている。一つの映画に出た三人の答えが、きれいにそろわない。その率直さが、それぞれ違う暮らしを送る四人の女性を描いた作品にもよく似合っていた。

朝ドラからジブリ映画、そして里子へ

2006年の池脇は、すでにいくつもの作品でヒロインを担っていた。2001年に始まったNHK連続テレビ小説『ほんまもん』では、料理人を目指す木葉を演じた。2002年のスタジオジブリ映画『猫の恩返し』では、猫の国に連れて行かれる女子高校生・ハルの声を担当。朝の連続ドラマとアニメーション映画という違う場所で、物語の中心に立っていたのだ。

さらに2003年の『ジョゼと虎と魚たち』。ジョゼ役で実力派として評価を得た池脇は、映画でも次の一作を楽しみにさせる存在になっていた。2006年の新作には、そんな仕事を重ねてきた池脇の、次のヒロインを見る楽しみがあった。

恋をしたい里子にも、一人の時間がある

池脇が演じた里子は、大きな失恋を経験しながら、次の恋を待つ女性だ。魚喃(なななん)キリコの漫画を映画化した物語には、里子のほかに秋代、塔子、ちひろが登場する。同じ街で生きていても、仕事や恋に求めるものは違う。誰か一人の生き方を正解にすれば、残る三人からこぼれてしまうものがある。

池脇は当時、里子の何でもない日常に共感すると語っていた。歯を磨き、お酒を飲み、一人で言葉をつぶやく。恋の成就とは直接関係しない時間にも、里子はきちんと存在している。恋を待っているからといって、それまでの暮らしが空白になるわけではない。

また、池脇が里子の格好よさとして挙げたのは、つらい思いをしても自分で生きているところだった。里子をただ寂しい女性として眺めず、一人で日々を送る姿に魅力を見いだす。そうした理解があると、里子の恋への期待にも、弱さだけでは括れないたくましさが感じられる。

自分の役の外にも、分かる気持ちがある

池脇の関心は、里子だけにとどまらない。仕事の重圧を抱えるイラストレーター・塔子には、俳優として働く自分と通じるものを感じると話していた。恋にすがるちひろの姿にも理解を示している。演じた人物以外にも、分かる部分や目を離せない部分があるのだ。

恋愛を大事にする人と仕事を大事にする人を、別々の種類の女性として分けてしまわない。一人の中にも、仕事への誇りと恋に頼りたい気持ちが同居する。試写会での、どちらも大切にしたいという池脇の答えは、そんな複雑さを窮屈に整理しない言葉としても読める。

それぞれの女性について語る池脇の言葉には、役柄との距離の近さがある。うまく生きられないところを外から批評するのでなく、そこにも自分の分かる気持ちを探す。里子の強さを見つける目と、ほかの三人への共感が、一つの作品の中でつながっている。

恋も仕事も大切にしたいという発言は、いくつものヒロインを演じてきた池脇が、自分の仕事への思いを伝えた言葉でもあった。朝ドラやジブリ映画とは違う、都会で一人暮らす里子の姿。その里子の何でもない時間にまで関心を向けさせるところに、当時の池脇には、新しい役を演じるたびに目を留めたくなる魅力があった。


※記事は執筆時点の情報です

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