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愛人から不倫教師まで。色気がハンパない「昼顔系俳優」はなぜ禁断愛が似合うのか

  • 2026.8.13
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斉藤工-2012年9月撮影(C)SANKEI

既婚女性と恋に落ちる高校教師。その役で大きな注目を集めた後も、斎藤工は家庭の外にある関係を演じてきた。しかも『昼顔』が最初ではない。前年には、夫も承知する倒錯した関係の一員になっていた。

色気のある俳優だから選ばれた、と言えば簡単だ。しかし作品を時系列で見ると、斎藤が見せてきたのは誘惑する強い男性ばかりではない。流され、迷い、関係の責任を背負いきれない男性たちだ。その頼りなさまで映るから、秘密の恋が単なる憧れで終わらない。

『昼顔』の前に演じた倒錯した関係

2013年放送のTBS系スペシャルドラマ『恋』は、小池真理子の直木賞受賞作を映像化した作品だ。1970年代の東京と軽井沢を舞台に、友情、純愛、不義、三角関係、殺人が絡み合う。

斎藤が演じた大久保勝也は、軽井沢で暮らす青年。片瀬信太郎と妻・雛子を中心とした特異な関係に入り、やがて殺人事件の被害者となる。

ここで斎藤が担ったのは、秘密を自分から支配する男ではない。夫婦が作った危うい均衡へ引き寄せられ、関係の一部になっていく青年だ。のちの『昼顔』に通じる背徳性はありながら、勝也には土着的な素朴さと危うさが同居していた。

社会現象の中心にいた高校教師

翌2014年放送のフジテレビ系ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』で、斎藤は高校教師・北野裕一郎を演じる。上戸彩が演じる主婦・笹本紗和と出会い、互いに家庭がありながら惹かれ合っていく人物だ。

北野は、強い言葉で相手を奪うタイプではない。生物を愛し、どこか不器用で、紗和との関係にもためらいを見せる。それでも会わずにはいられない。誠実そうに見える人が一線を越える矛盾を、斎藤は低い声や伏せた視線、迷いの残る動きで表した。

作品は大きな話題を呼び、2017年には映画『昼顔』も公開された。斎藤にとって北野は代表役となったが、その魅力は単純な色気だけではない。相手を強く求めながら、すべてを引き受ける覚悟には届かない。その弱さが、紗和との恋を甘い夢ではなく、代償を伴う選択にした。

不倫役でも弱さの形が違う

2019年放送のフジテレビ系オムニバスドラマ『ココア』では、佐藤公平を演じた。公平は、3人の少女のうち1人の母親と平日に密会を重ねる不倫相手。『昼顔』ほど長く関係の行方を追う物語ではないが、斎藤が再び家庭の外にいる男性役を担った事実は印象的だ。

短い物語だからこそ、登場した時点ですでに関係がある。その人物が何を約束し、どこまで責任を取るのかは簡単に見えない。斎藤の落ち着いた雰囲気は安心感を与える一方、相手の生活へ入り込みながら全体像を見せない男の曖昧さにも変わる。

2023年公開の映画『零落』では、秘密の関係がさらに荒れた姿で現れる。斎藤が演じた深澤薫は、長期連載を終えて創作の目標を失った漫画家。妻との関係もすれ違い、風俗嬢のちふゆと出会う。

北野が恋によって日常の外へ踏み出す男なら、深澤はすでに自分の足場を失い、誰かとの関係に逃げ込もうとする男だ。斎藤は虚無や苛立ちを隠さず、秘密の関係を美しい逃避にしなかった。

『恋』『昼顔』『ココア』『零落』。斎藤工が演じた男性たちは、いずれも家庭や社会の境界を越えるが、その理由も責任の取り方も違う。共通するのは、完全な悪人にも理想の恋人にも見えないことだ。

人は弱さから一線を越え、その後で自分の選択に追いつこうとする。斎藤は、その遅れや迷いを隠さない。だからこそ、禁断の相手役を幾度演じても、同じ男性にはならない。画面に残る色気は入口にすぎず、その奥にある孤独こそ、斎藤工がこの役で求められ続ける理由なのかもしれない。


※記事は執筆時点の情報です

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