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30年前、“わずか16歳”で受賞した【異例の新人女優】不倫ドラマ出演まで進化した今

  • 2026.9.20
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2026年9月、『スワロウテイル』の4Kリマスター版の初日舞台挨拶に登壇した伊藤歩(C)SANKEI

2026年9月、『スワロウテイル』の4Kリマスター版の初日舞台挨拶に、伊藤歩、Chara、三上博史、岩井俊二監督がそろった。30年前の映画でアゲハを演じた伊藤は、新しい版を見て、懐かしさと新しさが同時にあったと語っている。

『昼顔』の北野乃里子役や、『ファイナルファンタジーVII』シリーズのティファの声で、伊藤を知った人もいるだろう。その俳優がまだ10代だったころに出会ったのが、いくつもの言語が飛び交う架空の街と、アゲハという少女だった。

『水の旅人』から来た16歳のアゲハ

伊藤は1980年、東京都生まれ。1993年、大林宣彦監督の映画『水の旅人 侍KIDS』で俳優としてデビューした。小さな侍と少年が出会うファンタジーから、岩井俊二が作る多国籍の街へ。1996年9月に『スワロウテイル』が公開された当時、伊藤は16歳だった。

その演技で、第20回日本アカデミー賞の新人俳優賞と優秀助演女優賞を受賞する。Charaや三上、渡部篤郎らが演じる個性的な大人たちの間に、一人の少女がいる。大人に守られるだけの役でも、可憐な姿を添えるだけの役でもない。アゲハを通して、観客もこの見慣れない街へ入っていく。

舞台は、円を求めて人が集まる「円都」。英語、中国語、日本語が混ざり、歌手になる夢を抱く者もいる。そこに暮らす人たちは、同じ言葉や同じ生い立ちで結ばれているわけではない。伊藤のアゲハも、最初から安心して帰れる家を持った少女ではなかった。

名づけられることから関係が始まる

母を亡くし、行く先が定まらなかった少女を引き取るのが、Chara演じるグリコだ。グリコは自分の胸にある蝶のタトゥーから、少女にアゲハという名前をつける。

血のつながった姉妹ではない二人の関係が、名前を呼べるようになるところから始まるのがいい。何も持たずにやって来た少女に、まず一つ、他人と結びつくものができる。アゲハという名前には、グリコの体に刻まれた蝶の姿も重なっている。

やがてアゲハは、三上演じるフェイホンや、渡部演じるランたちが集まる、なんでも屋「青空」で働き始める。学校や家族という、少女の物語によくある場所からは離れた生活だ。身を寄せる相手を見つけ、一緒に働く。その積み重ねが、街の中の居場所になっていく。

グリコには歌手になりたいという夢があり、フェイホンにも自分の望みがある。大人たちの都合で世界が変わっていく中に、アゲハがいる。伊藤が演じたアゲハは、その世界の華やかさにも危うさにも近い場所にいた。登場人物の数や音楽の力に圧倒されそうな映画で、少女の名前と居場所を追うと、人と人のつながりが見えてくる。

あの少女からさまざまな役へ

伊藤はその後も『リリイ・シュシュのすべて』などの岩井作品に出演した。2014年のフジテレビ系ドラマ『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』では、夫と別の女性との関係に直面する妻・乃里子を演じた。さらにHBO MaxとWOWOWの共同制作ドラマ『TOKYO VICE』や、ゲームの声の仕事へと活動を広げてきた。

アゲハを覚えていた人が、後のドラマで伊藤に出会い直すこともある。逆に、乃里子やティファから知った人が、1996年の少女へ戻ることもできる。同じ俳優を知る入口が違えば、昔の一作で発見する顔も違ってくる。

2026年の舞台挨拶で伊藤が感じた、新しさを伴う懐かしさは、観客にも開かれている。円都の片隅で名前をもらい、人とつながっていくアゲハ。30年後の伊藤を知ってから会いに行くと、その少女が持っていた未来まで、少し広く感じられる。


※記事は執筆時点の情報です

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