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「大丈夫、焦らなくていいよ」混雑してしまったレジ。だが、学生時代の私を救ってくれた客の一言

  • 2026.8.1
「大丈夫、焦らなくていいよ」混雑してしまったレジ。だが、学生時代の私を救ってくれた客の一言

夕方のレジに伸びた列

学生のころ、駅前のスーパーでレジ打ちのアルバイトをしていました。

夕方の6時前は、かごを抱えた人が次々と並びます。

二か月も経てば手も動くようになり、その日も列の長さを見て気合いを入れていました。

ところが、かごの一番上にあった総菜のバーコードが、何度通しても読み取れません。

「申し訳ございません、少々お待ちください」

手元の一覧から番号を打ち直そうとして、今度は数字を一つ多く入れてしまいました。

後ろの列が、一人、また一人と伸びていきます。

「すみません、もう少しだけお時間をいただきます」

謝るほどに指先が硬くなって、今度はレシートの紙が途中で切れました。

列の先頭で、私は同じ言葉を繰り返すことしかできません。

焦らなくていいよ、の声

そのかごの持ち主だった女性が、うつむいた私にそっと声をかけました。

「大丈夫、焦らなくていいよ」

顔を上げると、責める色のない目がこちらを見ています。かごを持つ手も、急かすようには動いていません。

「本当に、申し訳ありません」

「機械の言うことを聞かない日って、あるもんね」

女性はそう言って、かごの中の卵のパックを、割れないように自分で台の端へ寄せてくれました。

後ろに並んでいた人たちからも、急かす声は出ません。

やがて社員が来て、取り消しの操作はすぐに終わりました。

「お待たせして、本当にすみませんでした」

「そんなに謝らないで。私も昔、同じ仕事をしていたから」

「大変お待たせいたしました。1780円です」

帰り際に届いた言葉

袋を渡すとき、指がまだ少し震えていました。

女性は袋詰めの台のほうへ歩きかけて、一度だけこちらを振り返ります。

「頑張っているのが、伝わったよ」

それだけ言って、荷物を抱えて出口へ向かっていきました。

ありがとうございます、という声が、うまく形にならないまま口から出ます。

「今の人、常連さん?」

「いえ、初めてお見かけした方です」

隣のレジの先輩は、そうと言って自分の列に向き直りました。

あの日の混雑を思い出すと、今でも肩に力が入ります。

それでも、誰かの前で焦っている人を見かけると、あの声の高さが耳の奥でよみがえるようになりました。

「次にお待ちのお客様、こちらへどうぞ」

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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