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「不良品でしょう。着る前に気づいたのよ」毎回返品を要求する客。だが、店員が突きつけた現実に思わず絶句

  • 2026.8.1
「不良品でしょう。着る前に気づいたのよ」毎回返品を要求する客。だが、店員が突きつけた現実に思わず絶句

開店直後に鳴った電話

店の電話が鳴ったのは、シャッターを上げて十分ほど経ったころでした。

「先週買ったワンピース、返品したいの」

アパレルの販売員をしていると、返品の連絡自体は珍しくありません。

「かしこまりました。ご来店の日時を伺えますか」

「今日の夕方に行くわ」

受話器を置いてから、指が止まりました。よく似た電話を、先週も受けた覚えがあったのです。

控えを遡ると、同じ名字がいくつも並んでいました。ありふれた名字で、対応したスタッフも毎回ちがいます。

誰も気づかないまま、返品だけが積み上がっていたのでした。

夕方、その女性客が来店しました。四十代くらいの、身なりの整った方です。

「こちらのお店でのお買い上げは、何度目でいらっしゃいますか」

「5回目だけど、返品したいのよ」

袖口に走った細い線

畳まれたワンピースを広げ、値札とタグを一つずつ確認していきます。

「少しお時間をいただきます」

袖口の内側に、細い線が走っていました。ほつれではありません。刃物を入れたような、まっすぐな切れ目です。

「不良品でしょう。着る前に気づいたのよ」

言い切れる根拠は、こちらにありませんでした。どこかに引っかけた可能性も残ります。

「ご不便をおかけしました」

形だけの謝罪をして、その日は返品を受けました。

ただ、バックヤードに戻ってから、チーフに一部始終を伝えたのです。

「前の分、まだ処分してない?」

「保管してあります」

「じゃあ、出しておこうか」

カウンターに並んだ2枚

三週間後、また同じ声で電話がかかってきました。

来店したその方の前に立ったのは、チーフでした。

「お預かりします」

チーフは持ち込まれた一枚を広げてカウンターに置き、それから棚の下から前回の返品分を出して、隣に並べました。

2枚のキズは、袖口の内側の同じ位置にありました。

「同じ場所ですね」

チーフはそれだけ言って、女性客の顔を見ます。責める調子はまったくありません。

「……たまたま、でしょう」

「同じ商品の同じ箇所となりますと、メーカーに確認を出すことになります」

女性客の口が、開いたまま止まりました。

「そんな、大げさな」

「こちらはお返しできかねます。お品はお持ち帰りください」

レジ待ちのお客様が、並んだ2枚に目をやっています。

女性客は服をつかんで紙袋に押し込み、伝票も受け取らずに出ていきました。

「言い切らなくていいのよ。事実を並べれば足りるから」

チーフはカウンターを拭きながら、そう言いました。

それきり、あの方が店に現れることはありません。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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