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「母さんの傘寿は一度きり」妻が見せた10年分の履歴

  • 2026.7.31
ハウコレ

母の傘寿祝いで満たされていた俺は、帰宅後の食卓で妻が広げた履歴の意味を、翌週になっても、翌年になっても考え直すことになりました。

エンジンをかけてから、目的地は母の家だと妻に告げました。

傘寿は一度きりだと思っていました

結婚10年目の記念日と、母の傘寿祝いが重なった年でした。母は80歳。次があるとは言い切れない。記念日は毎年ある。理屈は通っていると信じていました。

妻には2週間前、食卓で「今年は俺が予約する」と伝えました。妻は嬉しそうにうなずいて、翌日から仕立て直したブラウスを取り出していました。その日の前日、俺は母への贈り物を包みました。妻に何を伝えるかは、車の中で言えばいいと思っていました。

「一度きりだから」で押し切った日

当日、助手席に座った妻は仕立て直したブラウスを着ていました。カーナビの案内が始まってから、「記念日は毎年やってるだろ、母さんの傘寿は一度きりだ」と切り出しました。妻は少し窓の外に目をやり、それから傘寿の会でずっと笑っていました。母は喜び、俺は満足していました。

帰り道、俺は「気を遣わせて悪かった」と言いました。妻は「大丈夫」と答えました。その返事が、いつもの妻の声と少し違うことに、その時の俺は気づけませんでした。

家計アプリの履歴を見せられて

家に着くと、妻はテーブルに家計アプリを広げました。母への贈り物、帰省費、香典。全て共有口座からの支払いでした。

「じゃあ、義実家関連の費用は全部あなたの口座から」

俺は「そんな…毎年出してくれてたじゃないか」と口を挟みました。妻は「うん、出してた」と答えて、「私の給料は、私の記念日のために使うから」と続けました。俺は履歴の日付を目でなぞりました。

そして...

翌週、共有口座の残高が変わっていました。母への贈り物代を、俺は自分の口座から振り込みました。翌年の記念日、妻は1人で出かけていきました。俺が母のために大事にしていた「一度きり」は、妻の記念日にもあったのだと、気づいたのはその夜でした。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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