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「子どもの力ですから…」お盆のSAで起きたドアパンチ、30代男性が告げられた“予想外の修理費”に絶句

  • 2026.8.25
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「子どもの力ですから、そこまでのものではないと思っていました」

契約者のAさん(30代・男性)は、電話口でそう話しました。

お盆の帰省中、立ち寄ったサービスエリアの駐車場で、後部座席の子どもが開けたドアが隣の車に当たった事故。傷は小さく見えたため、Aさんは深刻には受け止めず、修理するとしても数千円程度だと思っていたとのことです。

しかし後日、Aさんに伝えることになった修理費は、約8万円でした。

今回は、損害保険会社で私が担当した、サービスエリアでの物損事故のお話です。

混雑した駐車場で発生したドアパンチ

帰省ラッシュのサービスエリアは、どこも混み合っていました。

Aさんが車を停めたのは、区画に対して余裕のない駐車場。長時間の運転が続いたため、家族で休憩を取ろうとしていたそうです。

車を停めた後、後部座席に座っていた子どもが勢いよくドアを開けました。そのドアが、隣に停まっていたBさん(30代・男性)の車に当たってしまったのです。

Aさんはすぐに車を降りて、傷を確認しました。しかし、近づいて確認しても、傷そのものは小さく、大きな修理が必要とは思えなかったそうです。

Bさんは車から離れていたため、Aさんはその場で待機。戻ってきたBさんに謝罪をしたうえで、事故の状況を伝えました。その後、Aさんは警察と自分の保険会社へ連絡。こうして私が担当となり、Bさんへの賠償対応を進めることになったのです。

なぜ小さな傷が深い損傷になるのか

後日、Bさんの車を修理工場で確認しました。

傷の範囲は、確かに小さいものでした。しかし塗装が割れて、金属の素地が見えている状態だったのです。加えて、その部分にはわずかな凹みも生じていました。

範囲が小さいにもかかわらず損傷が深くなった理由は、ドアの端部の構造にあります。

ドアは薄い鉄板でできているように見えますが、端部は折り返して重ね合わせた構造となっており、面の部分よりも硬くなっています。

そして、当たるのはドアの縁という狭い部分です。接触する面積が小さければ、その分だけ力が集中します。硬く、狭い部分が相手の車の表面に当たる。傷の範囲が小さくても深い損傷となるのは、このためです。

数センチの傷でも、広範囲の塗装が必要な理由

損傷の深さに加えて、修理費を押し上げる要因はもう一つありました。それは塗装の範囲です。

傷がついた箇所だけを塗ればよい、というものではありません。塗装は色の境目が目立たないよう、隣接する範囲へ向けて広く薄く塗り広げる作業(ぼかし塗装)が必要です。

結果として、直径数センチの傷であっても、塗装が複数のパネルにわたることがあります。

修理工場が出した見積もりを、そのまま支払うわけではありません。損害保険会社の担当者が現車を確認し、傷の状態に対して修理の方法や範囲が妥当かを修理工場と取り決めたうえで、金額が決まります。

こうして決まった修理費は、約8万円でした。

なお、今回のケースでは損傷がプレスライン(車のパネルの凹凸が成形された部分)から外れていました。プレスライン上に凹みが生じた場合は、修理の難度が上がることから、修理費だけで数十万円以上となることもあります。

また賠償の対象は、修理費だけではありません。修理の期間中に相手が代車を使用すれば、その費用が加わる可能性があります。

保険料上昇という「勉強代」

金額をお伝えすると、Aさんはこう返しました。

「あの傷でそんな金額になるとは思いませんでした」

Aさんは対物賠償責任保険に免責金額を設定していなかったため、修理費の自己負担は生じていません。ただし、対物賠償責任保険を使えば、翌年の等級は3つ下がります。Aさんは翌年以降の保険料の上がり幅を確認したうえで、保険を使うことを選びました。

「今回は子どもと私にとって勉強になったと思って、割り切ります」

こうしてAさんは保険料の上昇という、思わぬ夏の勉強代を支払うことになりました。

損害の大きさは、その場では分からない

今回のケースでは、Aさんが加害者の立場でした。しかし同じような事故で、Bさんの立場になることもあります。

自分の車に傷をつけられたとき、その場で謝罪を受け、傷を見て「大したことないので大丈夫ですよ」と伝えてしまう。一度そう伝えてしまえば、後から請求することは難しくなります。

決してその場で結論を出さず、連絡先を交換したうえで、双方が保険会社へ速やかに連絡する。

これはAさんの事故から学べる、基本的でありながら大切な教訓です。

そして子どもによるドアパンチの対策として、ぜひチャイルドロックを活用してください。走行中の飛び出しを防ぐための機能ですが、駐車場で子どもが自分でドアを開けてしまうことも防げます。

子どもがつけた小さな傷。ドアパンチの事故では、そういった先入観を覆す損害額になる可能性があることを覚えておきましょう。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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