1. トップ
  2. 暮らし
  3. 実は“あおりハンドル”だった…教習所指導員が指摘!左折時につい癖でやりがちな危険運転

実は“あおりハンドル”だった…教習所指導員が指摘!左折時につい癖でやりがちな危険運転

  • 2026.9.13
undefined
出典:PhotoAC ※画像はイメージです

車の運転中、左折しようとして無意識のうちに一度右側にハンドルを振ってから曲がっていませんか?これは「あおりハンドル」とも呼ばれ、街中でよく見かける運転の一つです。

「左側をこすりそうで不安だから」「車が大きいから少し膨らまないと曲がれない」といった理由から、ついやってしまいがちなこの動作。しかし、実はこの運転、周囲の交通にとって非常に危険な行為であることをご存じでしょうか。

なぜ私たちは左折時に右へ膨らんでしまうのか、そして安全に曲がるための正しい方法とは何なのか。元教習所指導員で安全運転のプロであるちだてつしさんに、その原因と具体的な改善策について詳しく解説していただきました。

なぜ右に膨らんでしまう?初心者とベテランで異なる原因

---左折する際、無意識に車体を右に振ってから曲がってしまう人が多いのはなぜでしょうか?

ちだてつしさん:

「まず心理面では、『左側の壁や電柱にぶつけてしまうかも』『側溝に脱輪してしまうかも』といった不安から、車体の左側の感覚、いわゆる車幅感覚に自信が持てず、つい右に膨らんでしまうケースが多いです。これは運転に慣れていない方や、狭い道での左折経験が少ない方に特によく見られる傾向で、いわゆる『あおりハンドル』と呼ばれる運転です。無意識のうちに癖になってしまい、本人が膨らんでいることに気づいていないケースも少なくありません。

技術面から見ると、一度右に振ることで曲がる軌道、つまり旋回半径が緩やかになり、スピードをそこまで落とさなくても曲がりやすくなる、という理由も考えられます。急いでいるときほど、この右振りに頼ってしまう人が多いようです。

なお、大型トラックやバスは車体が長く内輪差が大きいため、狭い交差点では道路の中央寄りに車体を振ってから曲がることがありますが、これは車両の構造上どうしても必要な操作です。普通車ではこうした操作をする必要は基本的になく、あくまで真似をしないよう注意したい運転です。

また、免許を取得したばかりの初心者の方は、教習所で習った左折方法を実際の交差点でうまく再現できず、車幅感覚や速度への不安から結果的に膨らんでしまうことが多いです。まずは車の左側面やタイヤの位置を確認し、感覚をつかむことが改善の第一歩になります。

一方、運転に慣れたベテランドライバーの場合は、不安からというより『このくらいのスピードなら減速しなくても曲がれる』という横着心理から右に膨らんでいるケースが目立ちます。しっかり減速して小さく曲がるより、右に振ってスピードを落とさずに済ませるほうが楽だと感じてしまい、それが癖として定着してしまうのです。

運転歴が長いぶん自己流の運転にも自信があり、『自分は膨らんでいない』『これくらい問題ない』と思い込んでいる方も少なくありません。原因が初心者とベテランで異なるからこそ、それぞれに合った改善アプローチが必要になります」

膨らまなくてもスムーズに曲がれる!教習所で習う正しい左折手順

undefined
出典:PhotoAC ※画像はイメージです

---右に膨らまずに、安全かつスムーズに左折するための正しい方法やコツを教えてください。

ちだてつしさん:

「右に膨らまなくても、きちんと左折することは十分に可能です。むしろ膨らむ運転は、周囲の交通を驚かせたり接触事故のリスクを高めたりするだけであり、安全上のメリットは一切ありません。教習所では、次のような手順で左折するよう指導しています。

1.安全確認
左折したい交差点の手前で、ミラーを使って後方や周囲に車やバイク、歩行者がいないかをしっかり確認します。

2.合図
交差点のおよそ30メートル手前で、左側のウインカーを出して周囲に左折の意思を明確に伝えます。

3.再確認と幅寄せ
死角に車やバイク、自転車、歩行者がいないかをミラーと目視で改めて確認し、巻き込み事故を防ぐために道路の左端へ車を寄せます。

4.徐行と旋回
交差点内では、すぐに止まれる速度(徐行)を保ちながら、道路の左端に沿って小さく曲がります。

この4つの手順を徹底すると、右に膨らむ必要はまったくなくなり、周囲の車両やバイクにとっても動きが予測しやすい安全な左折になります。

軽自動車や普通乗用車はもちろん、少し大きめのミニバンであっても、あらかじめ左端に寄せて小回りで曲がれば十分に曲がり切れる設計になっています。

『車が大きいから膨らまないと曲がれない』というのは単なる思い込みであることが多く、正しい手順と車体感覚さえつかめれば、右に膨らまずスムーズに左折できます。日頃からこれらを意識して通行することが、未然の事故防止につながります」

「あおりハンドル」の危険性と癖を直すためのポイント

---右に膨らむ癖は、どのように意識すれば直すことができるでしょうか。

ちだてつしさん:

「癖になっているのであれば、できるだけ早く直したほうがよいです。右に膨らむことで、並走する車や、これから追い越そうとするバイク、左側の自転車などと接触する危険がぐっと高まってしまうからです。

特にバイクに乗っている人からすると、走行中に目の前へ急に車が膨らんでくるのは、大きな恐怖を感じるものです。驚いてバランスを崩して転倒したり、接触事故につながったりすれば、膨らんだ側のドライバーが事故の直接的な原因を作ってしまうことになり、大変危険です。また、対向車線側に一時的にはみ出すような形になれば、対向車との接触リスクも生まれます。

こうした理由から、修了検定や卒業検定においても『進路変更違反(交差点変更:右振)』という項目が適用され、減点対象となります。癖を直すコツとしては、徐行で曲がる意識を持つことです。交差点に近づいたら早めに減速し、ルームミラーと左のサイドミラーを確認しながら、あらかじめ車体を確実に左端へ寄せてください。周囲を驚かせず、安全に交差点を通行するためにも、正しい手順と速度で左折することを心がけましょう。

また、右に膨らむ癖がついている方は、自分では気づきにくいのも厄介な点です。時々、家族や友人に助手席から見てもらい、右に振っていないかチェックしてもらうのもおすすめです。日々の運転の積み重ねが安全につながりますので、ぜひ一度、ご自身の左折の仕方を振り返ってみてください」

正しい左折を意識して、日々の運転から安全なカーライフを

多くのドライバーが無意識のうちにやってしまいがちな「右に膨らむ左折(あおりハンドル)」。それは単に運転がしやすくなるだけの思い込みや横着に過ぎず、周囲の車やバイク、歩行者を大きな危険にさらすリスクをはらんでいます。

正しい手順での安全確認や早めの減速、そして車を左端にしっかりと寄せる基本の動作を一つひとつ丁寧に行うことで、どんな車でもスムーズかつ安全に左折することができます。自分では気づきにくい癖だからこそ、周囲に見てもらうなどの工夫を取り入れながら、まずは明日からの運転で自分の左折方法を一度チェックしてみてはいかがでしょうか。


監修者:ちだてつし

自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ