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「心を動かされた」「思ってたのと違う」7年ぶりに復活を遂げたパジェロ→SNSで評価が分かれる大きな理由

  • 2026.9.15
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(C)SANKEI

2026年9月2日、国内販売終了から約7年ぶりに世界初披露された新型「三菱 パジェロ」。SNS上では復活を喜ぶ声があがる一方、思っていたデザインと違うと戸惑う声も聞かれます。実はこの新型、見た目以上に歴代モデルの思想やモチーフを受け継いだ設計となっています。

なぜメーカーと一部のユーザー間でパジェロらしさの感じ方にズレが生じたのか。様々な反応とともに、その背景にある面白さを紐解いていきます。

「こういうのでいい」7年ぶりの名車復活に沸く歓喜の声

長きにわたり多くのドライバーに親しまれてきたパジェロという名前には、特別な響きがあるのかもしれません。1982年の初代誕生以来、4世代にわたって展開され、世界170以上の国と地域で親しまれてきました。累計生産台数329万台を超えるという実績が示す通り、まさに三菱自動車を代表する名車です。そんな歴史あるモデルが、日本仕様としては約7年ぶりに復活を遂げました。

この喜ばしい一報を受けて、SNS上では純粋な歓喜の声が多く見受けられます。

「見た瞬間に欲しいと思わせるクルマだ」「理屈抜きに心を動かされた」「こういうのでいい」というような投稿が広がっています。

近年、クルマが実用的な移動手段として洗練されていく中で、機能性や数値だけが評価の基準になることも珍しくありません。しかし、そうした実用性や数値競争とは別の次元で、パジェロというクルマが再び世に出るという事実そのものに、熱いロマンを感じている方が少なくないことがうかがえます。かつて一時代を築いたあの名前が戻ってきたというだけで、どこかワクワクしてしまうという感情は、多くの方が共有しているものなのかもしれません。

でも「思ってたんと違う」? 先進デザインへの率直な戸惑い

手放しで歓迎する声が広がる一方で、少し異なる反応も確認できます。それは、自分の記憶にあるパジェロとは少し違うかもしれないという、率直な戸惑いの声です。

実際に発表された新型の姿を目にすると、大型のディスプレイを備えた近未来的なインストルメントパネルや、洗練された都会的なエクステリアに驚かれた方もいるのではないでしょうか。かつての泥臭くタフなクロスカントリーSUVを想像していた方にとって、新型は少し上質すぎると感じられるのも無理はないのかもしれません。ヘッドライトの形状やフロントマスクに対しても、「見慣れないからしっくりこない」といった意見が散見されます。

しかし、こうした「思っていたデザインと違う」という意見は、決して新型を否定しているわけではないようです。むしろ、頭の中にある思い出のパジェロの姿と、目の前の新しい姿との間に生じたギャップから来るものと考えられます。長年親しんできたカタチがあるからこそ、新しい解釈を受け入れるのに少し時間がかかるのかもしれません。では、今回の新型は本当にパジェロらしさを失ってしまったのでしょうか。

実は相当“パジェロ”だった。細部に宿る歴代モデルのDNA

都会的な見た目に少し戸惑う声がある一方で、三菱自動車によるデザインの解説を紐解くと、また違った側面が見えてくるようです。一見すると近未来的なSUVに見えますが、実はメーカー側は、歴代モデルのデザイン要素をかなり意図的に新型へ散りばめていると言います。

たとえば、全体的なプロポーションは初代から受け継いだ水平基調かつスクエアで塊感のある造形となっています。さらに、後部座席の後ろにあるCピラーの形状は初代のロールバーから着想を得ており、リアの六角形デザインはかつての背面スペアタイヤのシルエットを連想させるように作られています。

そして、多くの方の記憶に残っているであろうダッシュボードの3連メーターも、新型では大型ディスプレイ上のマルチメーターとして現代的に再構築されました。高度計や方位計、車体の傾きなどを表示できる機能は、しっかりと受け継がれているようです。

つまり、昔の丸型ライトや無骨な背面タイヤをそのままレトロに復刻したのではなく、歴代パジェロの記号を抽出し、最新のSUVとして再編集しているのです。メーカーはパジェロらしさをしっかりと詰め込んでいるのに、抽象化されているため一目見ただけではそれに気づきにくい。この絶妙な仕掛けこそが、評価が分かれる大きな理由の一つと言えそうです。

見た目以上の原点回帰。ラダーフレームがもたらす本気度

デザインに隠された謎解きに続いて、メカニズムにも目を向けてみましょう。

クルマの骨格や四輪駆動の仕組みに興味がある方であれば、ここでさらに印象が変わるかもしれません。新型パジェロは、悪路での大きな衝撃にも耐えやすい強靭な骨格であるラダーフレームを採用しています。

パジェロは初代と2代目でラダーフレームを採用していましたが、1999年に登場した3代目からは、乗り心地や高速安定性、衝突安全性などを考慮してビルトインフレーム構造のモノコックボディへと大きく転換した歴史があります。当時は社内でも大きな議論になったほどの変更だったと言われていますが、それが今回の新型で、再びラダーフレームへと回帰したのです。

さらに、独自の四輪駆動システムであるスーパーセレクト4WD-IIやS-AWCを搭載し、フロントにはダブルウィッシュボーン式独立懸架、リアには新開発の5リンク式リジッドを採用しています。最低地上高もしっかりと確保され、泥や岩などを想定した7つのドライブモードを備えるなど、中身は本格的なクロスカントリーSUVとして緻密に作り込まれています。

街乗りに似合う上質で洗練された見た目に反して、骨格や走りの仕組みは原点回帰とも言える本格派であるというギャップ。この頼もしさこそが、パジェロという名前にふさわしい説得力を裏付けているのではないでしょうか。

「ショートも、ミニも」人それぞれの“パジェロ像”が交錯する面白さ

このように新型パジェロは、単なる新しいSUVの登場という枠を超えて、様々な議論や期待を呼んでいます。SNSでは新型そのものへの評価だけでなく、「昔あったショートボディが出ないだろうか」、「パジェロミニの復活も待ち遠しい」といった、過去の派生モデルに対する声まで膨らんでいるようです。

40年以上の長い歴史があるからこそ、人によって頭の中にあるパジェロの原風景は異なるのでしょう。初代の無骨な姿を愛する人もいれば、90年代の華やかな姿を思い浮かべる人もいます。さらには、3代目や4代目の洗練された走りに思い入れがある方もいるはずです。だからこそ、たった一つの正解が存在せず、新しい姿に対して思っていたのと違うと感じる声が出るのは、ある意味で自然なことなのかもしれません。

新型には、これまでの悪路走破性や信頼性、扱いやすさといった魅力に加え、新世代フラッグシップとしての「上質さ」が新たに求められています。昔の姿そのものをパジェロらしさと考える人には少し違って見える一方で、強靭な骨格や本格的な四輪駆動技術を持ち、悪路を走りながら快適に移動できるという思想を含めて考えれば、新型は歴代モデルの考え方を色濃く受け継いでいると言えそうです。

人それぞれに異なる理想のパジェロ像があり、それが交錯しているからこそ、これほどまでに熱い反応が巻き起こっていると考えられます。多様な声が飛び交うこと自体が、パジェロというクルマが長い間どれほど多くの人に親しまれ、記憶に刻まれてきたかを示す、何よりの証拠なのかもしれません。三菱自動車もこの後に続くパジェロシリーズに言及しているだけに、今後の展開からますます目が離せなくなりそうです。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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