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隠しごとをして親友を連れ出した俺が、戻ると彼女は消えていた

  • 2026.7.26
ハウコレ

屋台の隅で、彼女が指先で触れてそのまま戻した髪飾りが、俺の頭から離れませんでした。

屋台の間を親友と駆け抜けて戻ったとき、彼女はもういませんでした。何度メッセージを送っても返らない画面に、親友と2人で立ち尽くしました。

彼女が触れた金魚の髪飾りを、覚えておいた

その日は彼女と、彼女の親友との3人で夏祭りに来ていました。屋台で彼女が金魚の形をした髪飾りに触れて、「この髪飾り、金魚みたいで可愛い」とつぶやいたのを、俺は聞き逃しませんでした。その場で買えば早いのに、俺は「今度でいいでしょ」とわざと気のない返事をしました。後で1人で買い戻して、驚かせるつもりだったのです。彼女の親友なら好みの色を知っている。そう考えて、俺はこっそり計画を立てていました。

閉まる前にと、親友の手を引いて駆け出した

彼女がかき氷を買いに離れた隙が、ちょうどよかったのです。ところが髪飾りの屋台は、店じまいを始めていました。気づけば俺は、そばにいた親友の手を引いて、人混みの中を駆け出していました。「閉まる前に戻ろう」と急かす俺に、親友は「もう、強引なんだから」と笑っています。2人でどうにか間に合って、金魚の髪飾りを手に入れました。彼女の喜ぶ顔を思い浮かべて、俺は得意になっていました。

戻った場所に、彼女の姿はなかった

髪飾りを手に、俺は元の場所へ引き返しました。けれど、そこに彼女の姿はありません。人混みを見回しても、見慣れた浴衣は見つかりませんでした。メッセージを送っても、返事はいつまでも来ません。具合でも悪くなったのか、それとも俺が何かしてしまったのか。心当たりを探しても、思い当たることは1つも浮かびませんでした。隣で親友も、心配そうに人の波を目で追っていました。

そして...

翌日、俺は彼女に会いに行き、金魚の髪飾りを差し出しました。「どうしても、渡したくて隠して買いに行ってた。ごめん」。彼女は、俺が親友の手を引く場面を遠くから見て、そのまま帰ったのだと打ち明けました。「聞けばよかった」と彼女は言います。驚かせたい気持ちばかりで、隣にいる彼女を置き去りにしていたのは俺のほうでした。次からは隠さずに伝えると、俺は約束しました。その髪飾りは今、彼女の髪で金魚みたいに揺れています。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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