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若く亡くなった親友。落ち込む帰り道、雨が →「使っていいよ」渡された傘を見て「涙があふれた」ワケ

  • 2026.5.2

取り返しのつかないミスをしてしまったり、何もかもうまくいかず気持ちが沈んでしまったりする日も、まにはあるものですよね。今回は、筆者の友人であるりこさん(仮名)が経験した、落ち込んでいた雨の日の帰り道に起きた、少し不思議で、どこかあたたかいエピソードをご紹介します。

仕事で大きなミスをしてしまった日のこと

営業職として働く私は、その日、大事な取引先への見積もり金額を一桁間違えるという致命的なミスをしてしまいました。会社にも迷惑をかけ、上司にも強く叱責されてしまい、頭の中は後悔でいっぱいでした。

重たい足取りで会社を出ると、空は朝からずっとどんよりしていて、まるで気持ちを映したような灰色でした。

雨の中で差し出された一本の傘

駅へ向かう途中、ぽつりと雨が落ちてきたかと思うと、あっという間に本降りに。傘は持っておらず、近くにコンビニもありません。どうすることもできず、びしょ濡れになりながら立ち尽くしていると、後ろから「使っていいよ」と優しい声がしました。

振り返ると、見知らぬ女性がにこやかに傘を差し出していました。遠慮しようとしましたが、「大丈夫、大丈夫」と軽く背中を押されるように手渡され、そのまま受け取ることに。戸惑いながらも「ありがとうございます」と頭を下げ、歩き出しました。

忘れられない名前との再会

しばらく進んだあと、ふと気になって振り返ると、さっきまでそこにいたはずの女性の姿は、どこにもありませんでした。1本道で隠れる場所もなく、まるで最初から存在しなかったかのように、跡形もなく消えていたのです。

不思議に思いながら手にした傘を見ていると、持ち手の内側に小さく名前が書かれていることに気づきました。そこにあったのは、高校時代、毎日のように一緒に帰っていた親友の名前。

彼女は数年前、交通事故で突然この世を去りました。いつも明るくて、落ち込むと「大丈夫だよ」と笑ってくれる、大切な存在でした。

今もどこかで見守ってくれている

その名前を見た瞬間、私は思わず足を止めました。あのタイミングで差し出された傘と、「大丈夫」と言ってくれた声。偶然にしては、あまりにも出来すぎている。ふと、あの頃と変わらない親友の笑顔が頭に浮かびました。

もしかすると、あの日の雨の中で自分を助けてくれたのは、今もどこかで見守ってくれている彼女なのかもしれません。

【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2025年7月】

※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

EPライター:中條みき
医療事務として7年間勤務。患者さんに日々向き合う中で、今度は言葉で人々を元気づけたいと出版社に転職。悩んでいた時に、ある記事に救われたことをきっかけに、「誰かの心に響く文章を書きたい」とライターの道へ進む。専門分野は、インタビューや旅、食、ファッション。

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