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お土産を断る同僚の事情を、ピンチの日に知った私

  • 2026.7.26
ハウコレ

彼女の席の横で取引先の担当者に電話をかけていたのは、仲のいい先輩でした。

私は自分の席の後ろから、そのやりとりが終わるのを聞いていました。配ったばかりのお土産の袋が、彼女の机の端に手つかずのまま残っていました。

お土産をいつも断る同期

入社してから3年、私は旅行に行けば必ずフロアの人数分のお菓子を買って帰りました。最初は同期の彼女の席にも直接持って行っていましたが、置いた個包装のチョコがそのまま隣の空席のごみ箱に入っていた日から、机に置くのはやめました。

それからは休憩室の入り口に袋を置いて「よかったらどうぞ」と声をかけるやり方に変えたのです。ほかの人は受け取ってくれるのに、同期の彼女だけは、休憩室の前を通っても「気持ちだけ受け取っておきます」と、袋に手を伸ばしませんでした。

しかし、なぜと聞ける関係でもなく、私はしばらくそのことばかり考えていました。

プロジェクトでの短い返事

半年後、私と彼女は取引先向けの提案資料を組む担当になりました。過去の案件を私が知らなかったので、席まで聞きに行きました。彼女は画面から目を離さず、「そこは自分で確認します」とだけ返してきました。

「一緒にやりましょう」と続けても、キーボードを打つ音だけが返事の代わりでした。ミーティングでも彼女は最低限しか話さず、私の提案には短くうなずくだけ。フロアの誰かが進捗を聞いても、彼女は必要なことだけ答えていました。私は毎日、彼女の背中を見ながら、自分の何が鼻につくのかを考えていました。

お菓子で繋がっていた先輩

提案の締め切りが近づいたころ、彼女が取引先へ送るはずのメールに、古い金額表を添付してしまいました。相手方の担当者が気づいて、社内が急にざわつきました。彼女はモニターの前で、両手を膝の上に落としていました。

私は取引先と関係の深い先輩の席まで行き、事情を話しました。先輩は「あなたのお菓子、いつも助かってるから、今度はこっちの番ね」と言って席を立ちました。そして彼女に、「私から取引先に連絡するから、正しい金額表を今から作って」と声をかけました。フォローの電話を代わりにかけてくれたのも先輩でした。

そして...

翌日、彼女は私の席の横に立って、「あのとき助けてもらって、ありがとうございました」と頭を下げました。それから声を落として、「お菓子を受け取らなかったのは、私の意地でした」と続けました。

休憩室でお土産を渡してきた時間が、こういう形で戻ってくることもあるのだと、私は思いました。今もお土産を買って帰りますが、休憩室で配るのではなく、席まで持って行って一言だけ添えるようになりました。彼女は袋を手のひらに乗せて、少しだけ笑うようになりました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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