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彼女に「捨てた?」と聞かれて初めて気づいた→俺が黙って空けていた、もう一方の扉のこと

  • 2026.6.26
ハウコレ

彼女があんなに不安そうな顔で訪ねてくるとは、思ってもいませんでした。

服を一着ずつ外して床に積み上げながら、俺はクローゼットの中をいったん空っぽにしました。前から考えていたことを、ようやく形にしようと思いました。古いハンガーを新しいものに替えていく作業を、途中で一度だけ止めました。端に掛かっていた、彼女の一本に触れたときでした。

ひと区切りの片づけ

彼女が泊まりに来るたび、毎回かばんに荷物を詰めて帰っていくのが、俺はずっと気になっていたのです。少しでいいから、ここに置いていけたらいいのにと思っていました。

それならまず場所を作らなければと、腰を上げてクローゼットを片づけ始めました。バラバラだったハンガーを揃いのものに買い替えれば、見栄えもいい。半分はきれいに空けて、残りに自分の服をかけ直すつもりでした。

写真を送ったわけ

片づけの途中で外した彼女の木のハンガーは、揃いの新しいものに紛れて捨てないよう、いったん脇によけておきました。半分ほど服をかけ直したところで、思っていたよりきれいに収まったのがうれしくて、整いはじめたクローゼットを一枚だけ撮りました。

空けたスペースはまだ見せたくなくて、画面の端で切れるように写し、深くは考えずに「模様替えしてみた」と送りました。返ってきたのは、いつもより素っ気ない一言だけでした。

空けておいたスペース

しばらくすると、彼女が合鍵を使って部屋に上がってきました。様子がいつもと違うなと思っていると、彼女は「ハンガー捨てた?」と聞いてきました。何のことかすぐにはわからず、視線をたどってようやく、あのハンガーのことだと気づきました。

「捨ててないよ。こっちに移しただけ」

俺はもう一方の扉を開けて、奥に掛け直しておいた彼女の一本を見せました。隣に並ぶ何も載っていない揃いのハンガーを指さして、「君の場所、作ろうと思って」と打ち明けたのです。

そして...

不安にさせるくらいなら、片づける前にひとこと相談すればよかったのかもしれません。それでも、驚かせたい気持ちのほうが先に立ってしまったのです。今は彼女の服が並んだその一画を見るたびに、言葉足らずだった自分を少しだけ笑っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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