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「この家を継いで、母さんの世話をしてくれ」実家の挨拶で決定事項のように言う義父。だが、普段は反論しない夫が言ってくれた一言

  • 2026.8.5
「この家を継いで、母さんの世話をしてくれ」実家の挨拶で決定事項のように言う義父。だが、普段は反論しない夫が言ってくれた一言

初めての正月に向けられた不満

結婚して初めて迎えたお正月、私たちは夫の実家へ挨拶に伺いました。

年末はどうしても仕事が抜けられず、松の内に入ってからの訪問になってしまったのです。

床の間には鏡餅が飾られ、台所からは義母が用意したお雑煮の匂いがただよっていました。

本来なら、和やかであるはずの新年です。それなのに、居間に足を踏み入れた瞬間、部屋の空気がぴんと張り詰めているのが分かりました。

玄関で頭を下げると、義父は湯呑みを片手に、どこか不機嫌そうな顔をしていました。

「弟のところは、大晦日から泊まりで来てくれたぞ」

開口一番がそれでした。市内に住む義弟夫婦と比べられているのだと、すぐに分かりました。

年末年始も休めない仕事があるのだと説明したところで、義父の耳には届きそうにありません。

「すみません。うちは年末まで仕事が立て込んでいて」

私が小さくなって謝ると、義父はふんと鼻を鳴らし、座卓に湯呑みを置きました。

そして、まるで決定事項を読み上げるような口ぶりで、こう続けたのです。

「この家を継いで、母さんの世話をしてくれ」

夫が引いた一本の線

言葉を失いました。

この古くて広いだけの家を継ぎ、義母の介護まで背負う。そんな将来が、義父の中ではもう決まってしまっているようでした。

「この家はお前たちにやる。母さんの面倒も、頼んだからな」

正直に言えば、駅からも遠く、あちこち傷んだこの家を継ぎたい気持ちはありませんでした。

けれど初対面に近い義父を前に、私はうつむくことしかできません。反論すれば角が立つ。かといって頷けば、そのまま将来が決まってしまう。

夫はどう思っているのだろう。隣で黙っている背中を、私はただ見つめていました。

お願いだから、何か言って。声にならない思いで、そっと膝の上の手を握ります。

そのときでした。ずっと聞き役だった夫が、湯呑みを置いて、静かに口を開いたのです。

「父さん、家のことも母さんのことも、まだ何も決めてないよ」

義父の眉がぴくりと動きました。

「これから僕たち二人で相談して決めます。勝手に決めないでほしい」

穏やかな、けれど一歩も引かない声でした。義父は口を開きかけて、言葉を飲み込みます。反論を探すように視線を泳がせ、やがて小さく息を吐きました。

「……そうか」

それきり、義父は黙ってしまいました。いつも受け身だった夫が、私の隣ではっきりと線を引いてくれたのです。

その横顔を見て、私は張り詰めていたものがほどけていくのを感じました。

「二人で、ゆっくり決めていこう」

帰りの車で夫がそう言ったとき、私はようやく、心から頷くことができたのでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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