1. トップ
  2. 暮らし
  3. 「えっ、何これ?」夏の旅行中、突然エアコンが効かなくなり…「キュルキュル」音を数週間放置した40代男性の末路

「えっ、何これ?」夏の旅行中、突然エアコンが効かなくなり…「キュルキュル」音を数週間放置した40代男性の末路

  • 2026.7.31
undefined
出典元:photoAC(画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

夏休みやお盆の帰省、旅行など、長距離ドライブの機会が増える季節。特に酷暑が続く時期は、車内を快適に保つためエアコンを長時間使用することも珍しくありません。

しかし、エアコンを入れたときだけ「キュルキュル」という音が聞こえていたら、あなたはどうしますか?

「冷えているから問題ない」と、そのまま乗り続けてしまう人もいるかもしれません。

今回は、私が自動車整備関連の仕事をしていた頃に、車の点検・修理で担当したお客様、Mさん(40代男性)のケースをご紹介します。夏の旅行中、山道で突然立ち往生してしまったMさん。原因は、以前から気になっていた小さな異音でした。

「エアコンを入れたときだけだから」と修理を先送り

Mさんが乗っていたのは国産車。ある日、エアコンを使用すると、エンジンルームから「キュルキュル」という音が聞こえるということで、私のところに相談に来られました。

「エアコンをつけるときだけ音がするんです。エアコン自体はちゃんと冷えるんですけど」

点検してみると、補機ベルトに劣化が見られました。補機ベルトとは、エンジンの動力を利用して、発電機(オルタネーター)やエアコンのコンプレッサーなどを動かす重要な部品です。車種によってはウォーターポンプもベルトで駆動しています。

このまま使い続ければ、ベルトが滑って異音が大きくなったり、最悪の場合は切れてしまったりする可能性があります。

「ベルトは交換しておいたほうがいいですね。今なら予定を組んで修理できますよ」

そう伝えたのですが、Mさんは仕事が忙しかったこともあり、すぐの入庫は難しい状況でした。

「今日は時間がないので、また改めて来ます」

その時点では、ベルトが今にも切れそうな状態というわけではなく、直ちに走行不能になるほどの緊急性はありませんでした。ただし、劣化が進めばトラブルにつながる可能性があるため、早めの交換をおすすめしていたのです。

ところが、その後Mさんは交換を先送りしたまま、しばらく車に乗り続けていました。

夏の旅行中、山道で突然「キュルキュル」という音が消えた

それから数週間後、Mさんは家族と夏休みの旅行に出かけました。高速道路を走り、目的地へ向かうため山道へ。外は猛暑で、車内では朝からエアコンを連続使用していたそうです。

「暑いから、エアコンはずっとつけっぱなしでした」

そんな状況で山道を走っていたとき、突然、エアコンの効きが悪くなったといいます。

「あれ? なんか冷えなくなったな」

さらに直後、メーター内の警告灯が点灯。

「えっ、何これ?」

Mさんが車を安全な場所に停車すると、エンジンルームから聞こえていたはずの「キュルキュル」という音は、すでに消えていました。

実は、補機ベルトが切れてしまっていたのです。ベルトが切れたことでオルタネーターが作動せず、発電できなくなっていました。さらに、車種によってはウォーターポンプも補機ベルトで駆動しているため、冷却水を循環させることができなくなり、オーバーヒートにつながる可能性もあります。

Mさんの車もウォーターポンプが同じベルトで駆動されていたため、冷却系に影響が及び、走行を続けられる状態ではありませんでした。

「まさか、あの音が原因だったなんて」

しかし、気づいたときにはもう自走は困難な状況。しかも場所は山道で、携帯電話がつながりにくい状況でした。

「冷えるから大丈夫」が招く、夏の立ち往生

最終的にロードサービスを手配しましたが、山間部ということもあり、到着まで長時間待つことになりました。真夏の炎天下で、エアコンも使えない車内。家族との旅行が、一転して過酷な待機時間になってしまったのです。

「子どもも暑がっていて、本当に大変でした。もっと早く修理しておけば」

Mさんは後日、そう話していました。

補機ベルトそのものは、比較的交換費用を抑えやすい部品のひとつです。しかし、切れてしまうと、車種によっては発電や冷却など複数の機能に影響する可能性があります。さらにオーバーヒートを起こしてしまえば、エンジンに深刻なダメージが及び、修理費用が大きく膨らむケースもあります。

もちろん、エアコンを入れたときに音がするからといって、必ずしも補機ベルトが原因とは限りません。ベルトの張りや劣化だけでなく、プーリーやテンショナー、エアコンのコンプレッサーなど、別の部品に原因がある場合もあります。だからこそ、「エアコンはちゃんと冷えるから大丈夫」「音が小さいから問題ない」と自己判断しないことが大切です。

特に帰省や夏休みの旅行など、長距離を走る予定があるなら、出発前に一度点検を受けておくと安心です。

エアコン使用時だけ異音がする、以前より音が大きくなった、音が出る頻度が増えた。そんな変化があれば、早めに整備工場などへ相談しましょう。また、ロードサービスは便利ですが、山道や郊外では到着まで時間がかかることがあります。任意保険に付帯するロードサービスが利用できる場合もあるため、旅行前に連絡先やサービス内容を確認しておくと安心です。

「少し音がするだけ」と思っていた異変が、真夏の山道での立ち往生につながることもあります。夏のドライブを楽しい思い出にするためにも、出発前には「いつもと違う音がしないか」を確認しておきたいものです。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ