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「不倫撲滅」を掲げていたはずなのに、なぜか「間男」になってしまった!? 幸せな家庭を知らない男が既婚女性に翻弄される皮肉な泥沼劇!【書評】

  • 2026.6.25

【漫画】本編を読む

『離婚まで100日のプリン 10 僕には幸せな結婚がわからない』(きなこす/KADOKAWA)は、幼少期に母親と担任教師との不倫を目撃したトラウマから「不倫撲滅」を掲げてきた男性・パンナコッ太が、皮肉にも「間男」のような立場になってしまう、電子書店で爆発的人気を誇る「離婚まで100日のプリン」シリーズのひとつである。

パンナコッ太の家族は、母の不倫によって崩壊した。父に引き取られたパンナコッ太と、母についていった兄。兄弟は両親の離婚から20年経った今でも良好な関係を保っているが、独立していた兄がある日、「母さんと同居しようと思っている」と言い出したことでパンナコッ太の心は大きく揺さぶられる。さらに、動揺する彼に兄嫁が接近し、状況は一気に不穏さを増していく……。

本作では、不倫を憎む人間がなぜか不倫の渦中に引きずり込まれてしまうという皮肉が描かれる。しかしパンナコッ太は決して軽薄な男ではない。むしろ、過去に受けた傷のために結婚や家族に対して強い理想と嫌悪の両方を抱えているからこそ、兄嫁、ババロア、そしてスピ子といった「既婚者女性」に翻弄されていく展開には生々しさがある。

タイトルの「僕には幸せな結婚がわからない」という言葉も重い。幸せな家庭を壊された経験のある人間にとって、結婚は希望なのか、それともただ危険なものなのか。不倫を断罪する側にいたはずのパンナコッ太が、他人の結婚の歪みや孤独に触れていくことで、その問いはさらに複雑になっていく。

修羅場の連続をエンタメとして読ませながら、その奥には「結婚で人は本当に幸せになれるのか」という問いを突きつける本作。同シリーズならではのドロドロ感は健在だが、本作は男性側のトラウマと揺らぎに焦点を当てているため、シリーズのなかで「味変」のような人間ドラマとして楽しめるだろう。

文=カラサ

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