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最近旅行に行きづらくなった…そんな人におすすめしたい、アンテナショップの旅! 自宅にいながら遠出気分を味わえる新提案【書評】

  • 2026.6.25

【漫画】本編を読む

『いながらツーリズム』(電柱棒/KADOKAWA)は、円安や物価高の影響で以前より旅行に行きづらくなった時代にひとつの提案をするユニークな日常系コミックだ。テーマはシンプルだが新しい。「その場にいながら旅をする」という発想をリアルな生活の延長線上で描き出している。

核となるのは「アンテナショップ」という存在だ。北海道から沖縄まで、各地の名産品やグルメが集まる場所を巡り、そこで手に入れた食べ物やアイテムを自宅で楽しむことで、まるで現地にいるかのような気分を味わう。そんな「いながら旅行」が描かれていく。

そのため、「旅漫画」でありながら観光地や絶景スポットはほとんど登場しない。むしろ描かれるのは、スーパーや街中にあるショップ、そして自宅といった極めて身近な空間だ。それでも、食べ物や会話によって、その場所は「旅先」へと変わっていく。ささやかだが、この「想像力で旅気分を味わう」という視点が本作の面白さだ。そしてただ買い物をするだけではない。どんな土地のものかを知り、味わい、さらに生活の中に取り込むことで、日常が少しだけ広がっていくのだ。この日常と非日常が地続きとなる感覚も魅力である。

さらに、登場人物たちのゆるやかな関係も心地よい。毎日リモートワークで多忙な茨城出身のあきら、駆け出しの漫画家で東京出身のもも子、フリーター兼家主代行で秋田出身のすず。この3人がルームシェアをしながら、それぞれのペースで「旅ごっこ」をマイペースで楽しむ姿を見ていると自然と肩の力が抜けていく。旅行に行かなければならない、映えを意識した特別な体験をしなければならない、というプレッシャーとは無縁の世界だ。

忙しくて遠出ができない人も、金銭的な理由で旅行を控えている人も、あるいは単に家で過ごす時間が好きな人にも、「どこにも行かなくても、どこへでも行ける」と本作は教えてくれる。必要なのは時間やお金ではなく、ほんの少しの発想の転換なのだ。

文=練馬麟

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