1. トップ
  2. 【緑がまばゆい初夏の軽井沢へ】ローカルガストロノミーの新機軸!<水のジビエ×独創的ノンアルコールカクテル>に満たされる午後

【緑がまばゆい初夏の軽井沢へ】ローカルガストロノミーの新機軸!<水のジビエ×独創的ノンアルコールカクテル>に満たされる午後

  • 2026.6.24
ひと皿ごとにカスタマイズされたモクテルを。

6月のとある午後。軽井沢の一軒家レストラン「ブレストンコート ユカワタン」(以下、ユカワタン)で、特別な美食の会が催されました。その名も「ソバーキュリアス・ガストロノミー ~初夏の軽井沢で“水のジビエ”を味わう~」。

清流と森の恵みを活かした「水のジビエ」と、同レストランが得意とする独創的なモクテル(ノンアルコールのカクテル)のペアリングを心ゆくまで体験する催しです。

ワインもシャンパーニュも登場しないけれど、コースが進むほどに気分が高揚していく――そんなめくるめくひとときをお伝えします。


はじまりは森の空気に包まれるアペロ

ユカワタンで過ごす美食の時間は、ダイニングに入る前から始まります。まず案内されるのは、新緑の森に設えられたアペロ空間。ここでは通常、アミューズと選りすぐりのワインやモクテルが提供されますが、この日は「ソバーキュリアス」がテーマということで、趣向を凝らしたモクテルの素材が並びます。

ちなみにソバーキュリアスとは、“あえて”お酒を飲まないライフスタイルを指す言葉。お酒を飲む・飲まないの2択ではなく、しらふ(Sober)でいることに好奇心(Curious)を持ち、お酒との付き合い方を自分に合う形で選び直すという考え方です。

昨年9月に完成したアペロ空間。通常のランチ・ディナータイムもここから始まる。

用意されたアミューズは、10種類以上。プレゼンテーションも味わいもバラエティに富み、サイズを少し大きくすれば前菜としても遜色のないものが次々と登場しました。この出し惜しみしない感じ、キライじゃない!

新緑の森と調和するプレゼンテーションにしばし見惚れる。
前菜としても成立しそうなフィンガーフード。こちらは小岩魚のピサラディエール。
ミルキーな山羊ミルクに黒オリーブのソルベを浮かべてサッパリと。
ポワローのババロアと白エビの繊細な甘みを重ねて。
サクッと香ばしく、繊細でほろ苦い、稚鮎のカダイフ巻き。

ドリンクは、カスタムメイドのモクテルを。カウンターにずらりと並んだ素材から気になるものを選んだり、スタッフに好みのイメージを伝えたりしながら、その人だけのモクテルをつくってもらいます。

質量ともに充実したモクテル素材。

ノンアルコールのワインにスパークリング、ビール、スピリッツ、クラフトドリンクの数々。さらに、軽井沢とその周辺でスタッフが採取した果実や花、ハーブなどを使った、ユカワタンオリジナルのコーディアル、フレーバーウォーター、コンブチャなどがズラリ。

近年、とくにコロナ禍以降、ソバーキュリアスという言葉とともにノンアルコール・ペアリングは当たり前になってきましたが、ここまでモクテルに力を入れたレストランは、そう多くないでしょう。

サルナシ、山ぶどう、ニセアカシアなど、森の恵みをドリンクに。
食事と合わせて楽しめるノンアルドリンクがよりどりみどり。
ウエルカムドリンクは、梅とすだち、スペアミントのモクテルでした。

これまでにユカワタンで開発されたモクテルは、ゆうに100種類を超えるとか。これから始まるペアリングへの期待が高まります。お腹の準備もすっかり整ったところで、いよいよダイニングへ!

新緑を望むユカワタンのダイニング。

モクテルペアリングってこういうことなんだ!

ひと皿ごとに考え抜かれたモクテルを合わせて。

ダイニングに席を移し、いよいよコースの開幕です。一皿目は「鯉とビーツのレゾナンス」。鯉は“水のジビエ”を標榜するユカワタンの主要な食材のひとつです。コリコリとした歯応えの生と、ふわっと軽い燻製の2種類を使い、クリーミーな白ワインのソースを絡め、仕上げにビーツのソースが注がれます。

合わせるモクテルは、白ブドウとビーツを2層にし、コリアンダーの香りを効かせたもの。フルーティでほのかに甘く淡い味わいが料理と響き合う、王道的ペアリングです。

ビーツの鮮烈な赤が印象的なひと皿。

続く「山女魚のミキュイ サフランの香り」には、シャルドネ、しょうが、トマト、オレンジのモクテル。旬の素材をブーケに仕立てた「初夏の恵み」には、ほおずき、トニックウォーター、スパイス塩の一杯を。猪と鹿を使った「ジビエのコンソメ」には、黒文字、りんご、紅茶を詰めたティーバッグの温かいドリンクが寄り添いました。

「山女魚のミキュイ サフランの香り」。“渓流の女王”らしいとろけるような口当たり。
山女魚に合わせたモクテル。シャルドネ、しょうが、トマト、オレンジで軽やかに。
10種類以上の野菜、山菜などをコンフィやピクルス、サラダ、フリットにし、ブーケに仕立てた「初夏の恵み」。
「初夏の恵み」には、ほおずき、トニックウォーター、スパイス塩のモクテルを。
「ジビエのコンソメ」と、黒文字、りんご、紅茶のモクテル。

メインの魚料理は「岩魚のクリスティアン ナージュ仕立て」。合わせる一杯は、ヴェルモットにレモン、レモンバーベナを微発泡水で割ったモクテルです。アーモンドの衣をまとった岩魚の旨みやほろ苦さ、山の香りが、モクテルの香りやほろ苦さと呼応する、野趣に富むペアリングでした。

発泡水の泡にハーブや柑橘のアロマが溶け込む爽やかなモクテル。仕上げにセロリの香りをさっとうつして。
「岩魚のクリスティアン ナージュ仕立て」。

メインの肉料理は「鹿のロティ コンソメ・ド・シュヴルイユ」。山と草のニュアンスを感じる夏鹿の赤身肉に、鹿の骨やスジから取ったとろみのあるコンソメを添えた一品です。合わせるドリンクは、赤ワイン、マデラワイン、杏のフレーバーを重ねたモクテル。見た目も味も間違いのない取り合わせで、メインとして十分な食べ応えがありました。

デザートは、杏のソルベとコンポートに、アールグレイのアイスクリーム、ローズマリーの泡を添えた「杏とローズマリーのコンビネゾン」。ドリンクは、スパイスが香るエピスカフェモカです。旬を迎えた信州の杏にハーブとスパイスが重なり、最後はふっと力が抜けるような、やわらかな余韻で締めくくられました。

「鹿のロティ コンソメ・ド・シュヴルイユ」と、赤ワイン、マデラワイン、杏のモクテル。
「杏とローズマリーのコンビネゾン」と、エピスカフェモカ。

いまどきのファインダイニングなら、どこでもノンアルペアリングがありますが、モクテルはワインの代わりであって、ペアリングもワインと同じロジックで考えられているのだと思っていました。

でも、このイベントを通して感じたのは、モクテルは料理を引き立てる飲みものであるのと同時に、料理を構成するパーツ、付け合わせに近い存在にもなり得るということです。グラスの中の要素が、料理のソースや付け合わせと同じレイヤーで響き合う――そんな新しい楽しみ方に気づけたことも、この会の大きな収穫でした。

美しきカスタムハーブティーとミニャルディーズ

食後は、香り豊かなハーブティーを。

すっかり満足した食事のあとは、もう一度場所を屋外に移して、食後のお楽しみ。カウンターに並んだ10数種類のハーブから好きなものを選び、ハーブティーをつくってもらいます。ミントにローズマリー、ゼラニウム、レモングラス、カモミール、タイム、コリアンダー、ラベンダー……さて、どれにしましょうか。

スタッフとのハーブ談義も楽しい。

迷いに迷って「ありきたりじゃない組み合わせで、おまかせ」したハーブティーは、森の木々や草花のフレーバーを想起させる、これまでに味わったことのない風味。ワイルドだけど、体を浄化してくれるようなハーブティーでした。

宝石のようなミニャルディーズは、ヘーゼルナッツオペラ、メロンタルト、フロランタン、プリンセスルージュ、アニスのブランマンジェ(緑茶)、エポンジュショコラ、アカシア蜂蜜のフィナンシェ。

すでにお腹はいっぱいだし、1、2個をつまむくらいにしておこう……と思っていたのですが、「全部味見してみたい」という誘惑にあっさり屈してしまいました。

唯一無二のハーブティー。
愛らしいミニャルディーズ。

フランス料理におけるノンアルコール・ペアリングのあり方を、よりポジティブに感じさせてくれた今回のイベント。「星野リゾート 軽井沢ホテルブレストンコート」のメインダイニング「ブレストンコート ユカワタン」では、通常営業でも“水のジビエ”と、ひとつひとつの料理に合わせて仕立てるモクテルのペアリングを楽しめます(もちろん、よりすぐりのワインも!)。緑がまばゆい最高の季節に、ぜひ訪れてみてください。

軽井沢の静かな森に佇む一軒家レストランで至福のひとときを。

ブレストンコート ユカワタン

所在地 長野県軽井沢町星野
電話 0267-41-0257
営業時間 ディナー:17:30~、ランチ:5~10月の土日のみ11:30/12:00 ※いずれも公式サイトより要予約
席数 9卓24席
料金 コース19,800円~(税込・サ別)
アクセス JR北陸新幹線軽井沢駅より車で15分
https://yukawatan.blestoncourt.com/

文= 伊藤由起
写真協力=ブレストンコート ユカワタン

元記事で読む
の記事をもっとみる