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軽井沢の風景と呼吸する美術館──「セゾン現代美術館」が2年をかけてリニューアル

  • 2026.7.27
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1981年に開館し、建築家・菊竹清訓が設計した「セゾン現代美術館」が、約2年にわたる改修を経てリニューアルオープンした。今回のリニューアルは、建築を刷新するためではなく、その魅力をより深く体感できる空間へと磨き上げる試みだ。

撮影:加藤健

メタボリズム運動を牽引した建築家・菊竹清訓が設計した建物は、軽井沢の自然に溶け込む低層の佇まいと、庭園から展示空間へと緩やかにつながる構成が特徴。さらに、彫刻家・若林奮が基本構想を手掛けた庭園は、点在する彫刻作品と浅間山麓の風景が呼応するランドスケープとして、美術館体験そのものを形づくってきた。今回の改修では、その建築と庭園が育んできた思想や空気感を大切に受け継ぎながら、現代の来館者により豊かに開かれた空間へと再編集されている。

建築と風景の一体化

撮影:加藤健

カフェ・ショップ・エントランス等のデザイン監修・空間デザインを担当したのは、建築家・工藤桃子率いるMMA Inc.。改修のテーマは、「敷地に広がる風景の体験を建築内部へと連続させること」だった。庭園を巡って美術館へ入るという既存の動線はそのままに、屋外で感じる光や空気、風景とのつながりを館内へと引き込み、建築とランドスケープが途切れることなく連続する状態を目指したという。

撮影:牧口英樹

「新しさ」よりも「何を残すか」。菊竹が設計した特徴的な照明器具やドアノブなどのディテールは極力保存し、不要な要素だけを整理。エントランスや新設されたカフェ、ショップも素材や光の質を見直すことで、建築本来の魅力がより際立つ空間へとアップデートされた。

撮影:牧口英樹

カフェは左官仕上げの土壁といった自然素材を多用しながら、気泡が微かに入ったアクリルを照明に使い、床は黒の木板を使用。背の低いグレーの家具も工藤がデザインしたものだ。

撮影:加藤健

ピーター・アイビー作のガラスのお重で提供されるスイーツやオーガニックティーなどとともに、窓越しの庭園の風景をゆったりと楽しむことができる。

撮影:小川真輝

また、ミュージアムショップ「ART FORUM」も、石や木、ガラスなど自然素材をテーマにした作品を揃え、美術館体験を日常へとつなぐ場として再構成されている。

もちろん、美術館としての魅力も健在だ。リオープンに合わせて開催中のコレクション展『ソコからみたキセキ』(~8月23日)では、アレクサンダー・カルダーやアンゼルム・キーファー、マーク・ロスコをはじめとする約80点を展示。2フロアにゆったりと配された作品群は、館内を巡る時間そのものを鑑賞体験へと変えていく。

建築、庭園、作品の境界が溶け合う「セゾン現代美術館」。軽井沢の自然に身を委ねながら、建築とアートが織りなす豊かな時間を味わいたい。

セゾン現代美術館
長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ケ沢2140

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