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【軽井沢】秘湯探訪記。たまプラ駅の改札から300m歩くだけ!?小瀬温泉ホテル

  • 2026.6.11

このブログで温泉ネタを一本は書きたいと思っていた。田園都市線の駅降りて行ける本格的な温泉がいいなあ、そんな願望に応える秘湯見つけたので行ってみましたというリポートです。

たまプラーザ駅前からバス乗り換え1回で行ける老舗の宿、こっそり紹介。

軽井沢の山奥に…

【軽井沢の老舗旅館】

それは軽井沢の山奥にあった。

長野県だから東急田園都市線からは遠いはずだが、実はたまプラーザ駅からその温泉宿の玄関まで、バスでほぼ直通のルートになっていることが分かった。バスは途中で一度乗り換える必要があり、正味片道4時間弱かかるものの、乗り換え含めても歩く距離はたまプラーザ駅の改札口からおそらく300メートルにも満たない。気楽な道のりだ。

写真上)バス停から細い道に入ると奥に宿が見える
写真上) 控えめな看板が立つ玄関 下) 明治の文豪に出会えそうなロビー
出典:リビング田園都市Web

軽井沢駅北口で乗り換えた地元のバスは、東京の原宿駅前のような賑わいを横目に見ながら並木の小径を経て、別荘の並ぶエリアを進み、ヘアピンカーブを登って行く。有料道路の料金所を過ぎて、誰もいないバス停で私を下ろした。

静かな林の中のバス停は宮崎駿のアニメの「トトロ」でも出てきそうな風景である。乗っていたバスは「ネコバス」だったのかも。そばの「小瀬温泉」と書かれた大きな木札のかかる細い道に入り、雑木林に挟まれた平坦な道をキャリーケースをゴロゴロ言わせながら進むと、「小瀬温泉ホテル」と控えめに記された看板の立つ玄関にあっけなく着いた。その距離、バス停からは150メートルくらいだろうか。

雑木林に囲まれた中に立つ古びた、しかしきちんと手入れされた2階建木造の建物が宿、創業は明治9年というので、途中改装を経ているとはいえ150年の歴史がある。

ロビーは落ち着いた佇まいで、この宿を愛した人たちから寄せられた絵画などの作品が並んでいる。どこかで見たような洋画だなあなどと眺めていると、大きな柱時計がゴーンゴーンと時を告げた。

【軽井沢で唯一の掛け流し温泉】

この宿の良さは温泉にある。

源泉が52度あるのでいくぶん加水しているとはいうものの、軽井沢では唯一の掛け流しになっている。

コンコンと湧き出る、ちょっと石油のような臭いがする湯船に身体を静かに浸からせる。

大浴場の湯加減はワタシ好みでいつまでも入っていたくなる。平日の昼間、誰もいない大きな湯船を独占する。

窓から差し込む光と湯に反射する新緑が美しい。

写真上)何度でも入りたい温泉大浴場
出典:リビング田園都市Web
新緑眺めながらの貸切露天風呂

空いていれば入れる貸切の露天風呂は私にはかなり熱めだが気持ちいい。視界を昼間は新緑が覆う。朝は野鳥のさえずりを聴きながらの入浴となる。梅雨時、あたりは深い霧に覆われると聞いたが、立ち昇る湯気に霧でそれも趣があるかもしれない。

温泉に繰り返し入ると肌はスベスベになり、湯から出て2時間もすると睡魔が襲ってくる。男女別の大浴場には正午前後の清掃のタイミングを除き終日入れる。

【「寅さん」の愛した宿】

雑木林に囲まれひっそりと佇むこの古い木造のホテルは、どちらかと言えば“放っといてくれる”旅館だ。私は今回、野鳥の声の録音のための滞在だったのでいちばん隅の部屋での素泊まりを選んだが、何も気にせずに寝て起きる時間は気楽だった。周囲を囲む雑木林は新緑たけなわで、下界とは季節の巡りがひと月ほど遅いように感じる。

静かで構われない雰囲気は都会の喧騒の中で暮らす人を惹きつけるようで、宿のスタッフにお聞きしてみると長期に滞在する客やリピーターは少なくないようだ。『男はつらいよ』を演じた渥美清氏も、私の泊まった隅っこの部屋に毎年ひっそりと滞在に来られていたという。

昭和の雰囲気感じる廊下
「寅さん」が常宿した部屋
夜明け時刻に野鳥のさえずりを聴く

気温の上がった日中に窓を開けると、すぐ下を流れるせせらぎの音が心地よい。軽井沢エリアの中でもこのあたりは生息する野鳥の種も多いようで、バードウオッチャーらにもこの宿はシーズン時に人気と聞く。私の泊まった時は気温が10度まで下がり、廊下で石油ストーブを炊くほどの寒い朝だったが、窓を開けておくと朝6時くらいからコルリなどのさえずりが聴こえ、気持ち良く朝寝を楽しめた。

昼前はフロントそばのテラスで寛いでいると5メートルくらいの至近距離まで小さな黒い影が素早く飛んできて止まり、鳴き声からミソサザイと知った。こんな近くでミソサザイの声を聞くのは生涯初めてで、今後もう一生ないであろう。あの小さな体からこんなにも鋭く強い声が出るのかと驚いた。

【とにかく宿までの移動がラク!】

この宿では2食付きプランも提供している。宿の周りに店は一切ないので間食類や好みの飲み物を持参した方がいい。

たまプラーザ駅の改札から宿の玄関までの歩行距離は短いものの、館内には段差や階段があり、部屋によってはフロントや食堂までの距離があるので歩行が辛い人にはお勧めしない。エレベーターはない。

この宿までの経路は田園都市線沿線からなら、たまプラーザ駅から軽井沢駅行きの高速バスに乗り、降りたすぐ隣のバス停から地元の草軽交通のバスに乗るだけである。この地元のバスは多くの便が草津温泉と結んでいて外国人観光客が殺到して乗り切れない場合もありうるので、その途中までの白糸の滝行き、もしくは北軽井沢行きの便を選ぶことをお勧めする。乗車する時間は17分くらい。

たまプラーザ駅の乗り場は、田園都市線の「東改札」を出て左折し、成田空港行きのバス乗り場に繋がる「北2」エレベーターで地下2階に降りるだけである。

ちなみに軽井沢行き高速バスは、空席があれば予約なしでも乗れるという。その場合は運賃を車内で現金で支払う。エレベータを使えば、駅の改札からバス乗り場まで50メートルくらいだろう。

神奈川県民にとって近い温泉地といえば箱根だが、この小瀬温泉までの経路には階段もなく、移動は箱根よりも明らかにラクだ。箱根のように行く先々で外国人観光客の大混雑に何度も巻き込まれるということもない。駅の改札出て歩く距離がトータルで300メートルほどというのは大きな屋敷の庭に出るようなものだから、平日のまとまった休みに気軽に出かける先にしてもいいくらいだ。

高速バスの到着する軽井沢駅前のバスターミナルは、今年3月にオープンした商業施設「軽井沢T-SITE(ティーサイト)」に隣接しているので、急ぎの旅人はそこでトイレを済ませながら、宿に持ち込む飲み物類を調達するという選択肢もある。地元のバスは便数が少なく、宿が有料道路の途中にあるので、日中に街中まで買い出しに出るのは、公共交通機関で訪れた人には現実的ではない。

たまプラ駅、改札出たら成田空港行き乗り場目指す
軽井沢駅前のバスターミナル、このバス停で降りて奥のバス停からバスに乗る
出典:リビング田園都市Web

部屋にテレビはあるが滞在中に点けることはなかった。館内には温泉以外にはいわば何もないところなので子どもは退屈してしまうが、静かに過ごしたいカップルや子育て終えた夫婦にとって休息の場となるだろう。

旧軽井沢の賑わいとは無縁な山奥でのひととき、静かな時間を求める人へ閑散期を選んでのんびり2〜3泊をお勧めしたい。WiFiが整備されているので、執筆のために籠るというのもアリかも。

なお、日帰り入浴の受け入れはない。

このレポートは2026年5月下旬に現地取材しました。

(取材と執筆、動画制作 旅人カメラ)

《館内の撮影に際しては宿泊施設の責任者より許諾を受けています。》

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