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彼女が勧めてくれた小説に、つい本音を書いた。それが不満の告白に見えていたとは

  • 2026.6.20
ハウコレ

読み終えた小説を閉じて、僕はアプリに短い感想を書き込みました。彼女が勧めてくれた一冊で、主人公の迷いが、今の自分と妙に重なったのです。そのメモが彼女を不安にさせるとは、考えてもいませんでした。

小説に重ねた本音

彼女に勧められた小説は、恋人といることに迷う主人公の話でした。読み進めるうちに、その気持ちが他人事に思えなくなったのです。彼女と過ごす時間は好きでした。ただ、付き合ってから一人で出かける趣味の時間が減り、それを少し惜しいと感じている自分にも気づいていました。読み終えて、僕はアプリにこう書きました。『好きでも、ずっと一緒だと自分の時間が惜しくなる時がある』。本の感想のつもりでしたが、半分は自分の本音だったのだと思います。

言わずにすませようとした

共有のメモだとわかっていながら、彼女がそこまで読み返すとは思っていませんでした。今思えば、面と向かって言う代わりに、アプリの片隅にそっと本音を逃がしていたのかもしれません。一人の時間が欲しいなんて、好きな相手に言えば傷つけてしまう気がして、ずっと飲み込んでいたのです。そのうち、彼女の様子がいつもと違うことに気づきました。笑っているのに、どこかぎこちない。理由を聞けないまま、僕も切り出せずにいました。

彼女に聞かれて

すると彼女のほうから切り出してくれました。『この前のメモ、もしかして私のこと?』。その声で、彼女がずっとあの一文を抱えていたのだと、ようやくわかりました。僕は少し間を置いて、『あれは、本を読んで思ったことなんだ』と答えました。嘘ではありません。けれど、それだけで終わらせてはいけない気がして、『でも、ちゃんと話したいことがある』と続けました。一人の時間が欲しいと正直に伝えること。それは彼女から離れたいのではなく、これからも一緒にいたいからこそ、隠したくない本音でした。

そして...

数日後、僕は自分から彼女に切り出しました。あの小説の主人公が、本音を隠したまま大切な人と離れていったこと。自分は同じ道をたどりたくないこと。趣味の時間を少しだけ取り戻したいけれど、彼女が一番大切なのは変わらないことを、はじめて言葉にしました。彼女は『そんなことだったんだ』と笑って、少し怒ったような、ほっとしたような顔をしました。不満のメモだと思わせてしまったあの一文は、本当は、ちゃんと向き合うきっかけが欲しかった僕の、不器用な合図だったのかもしれません。

(20代男性・エンジニア)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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