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彼女が写る写真だけ小さく印刷した僕。"まだ途中"だと、ひと言いえばよかった

  • 2026.6.20
ハウコレ

コンビニのコピー機の前で、僕は写真を一枚ずつ選んでいました。まずは安い小さなサイズで一通り刷って、出来上がりを確かめてから本番を印刷するつもりだったのです。我ながら凝り性だな、と思いながら、印刷ボタンを押していました。

小さく印刷したのは、ただの下見だった

旅行の写真は、きちんとアルバムにまとめたいと思っていました。けれど色味や明るさは、画面で見るのと印刷とでは案外ちがうものです。だからまずは小さいサイズで全部刷って、仕上がりを見てから大きく印刷し直すことにしたのです。

風景はもう本番のサイズに刷り直したあとでした。彼女が写った写真だけが小さいまま残っていたのは、どの一枚を大きくするか、僕がいちばん迷っていたからです。せっかくなら、彼女がいちばん良く写っているものを選びたくて。

「それは、そのままにしておいて」と言った理由

仕分けの途中で少し席を外し、戻ってみると、彼女が束の中の一枚を手にしていました。

「これ、私が写ってるやつだけ小さいね」

そう言った彼女の声には、かすかに戸惑いがにじんでいました。けれど僕は、刷り直す前の見本を捨てられたり、選びかけの順番を崩されたりしたくなくて、とっさに「それは、そのままにしておいて」と返してしまったのです。

まだ途中だから、とひと言そえればよかった。それだけのことなのに、説明を省いて別の部屋へ行ってしまいました。

ひと言、足りなかっただけで

それからの彼女は、どこか口数が少なくなった気がしました。理由をはっきりとは言わないものの、あの写真のことが関係しているのだろうと、薄々は感じていたのです。

小さく印刷したことに、彼女を軽んじる気持ちなんてみじんもありません。むしろ逆で、どれを大きく残そうかと迷っていたくらいです。それなのに「まだ途中なんだ」のひと言を惜しんだせいで、彼女に余計な心配をさせてしまった。そのことに、僕はようやく思い当たりました。

そして…

数日後、刷り直した写真を一冊のアルバムにまとめて、彼女に渡しました。

「この前のは、刷り直す前の見本だったんだ。君が写ってるのは、どれを大きくするか迷ってて」と打ち明けると、彼女は「そんなことだったの」と、気まずそうに、それでもほっとしたように笑ってくれました。やっぱり、小さな写真を一人で深刻に受け止めていたようです。

黙っていても伝わるはず、なんてことはないのだと思います。途中なら途中だと、ひと言いえばよかっただけ。これからは面倒くさがらずに、考えていることをちゃんと声に出そう。彼女に余計な遠回りをさせないために、それがいちばん大事なことなのだと、今は思っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。 

(ハウコレ編集部)

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