1. トップ
  2. エピソード
  3. 「まだ結婚しないの?」親戚の食卓で笑顔のまま詰めてきた伯母→帰り道に父が放った一言で救われた30代の本音

「まだ結婚しないの?」親戚の食卓で笑顔のまま詰めてきた伯母→帰り道に父が放った一言で救われた30代の本音

  • 2026.5.11

久しぶりの親戚の集まり

久しぶりの親戚の集まりだった。父方の家に親戚一同が集まって、母や伯父夫婦、いとこの家族が並ぶ大きな食卓。

料理が運ばれはじめた頃、向かい側に座っていた伯母がにっこり笑ってこちらを見た。

「まだ結婚しないの?」

悪気はなさそうな、いつものトーン。

30代も後半に差し掛かった甥への、ほとんど世間話のような問いかけだった。

隣の伯父も「そうだよなあ、いい人いないのか」と笑い、いとこの奥さんまでが「焦らせちゃダメですよ」と言いつつ、結局は同じ方向の話に乗ってくる。否定するでもなく、止めるでもない、ぬるい同調。

場の空気を壊したくなくて、私は曖昧に笑った。「いやあ、まだ縁がなくて」とだけ返して、目線を皿に落とす。テーブルの中心では祖父の写真の話や近所の話も並行で続いていて、私の話題はいつでも切り上げられそうで、いつまでも切り上がらなかった。

仕事と収入まで探られた食卓

話はそこで終わらなかった。伯母はなぜか、私の仕事のほうへ話題を移していった。

「ご収入は今、おいくらなの?」

軽く詰まる。年収の話を笑顔で聞かれることに、こちらの感覚が追いつかない。ボーナスは出てるの、家賃はいくらなの、貯金してるの。質問は静かに、でも確実に踏み込んでくる。

(ここで露骨にいやな顔をしたら、空気が一気に冷えるな)

そう思って、私はまた笑った。曖昧に、当たり障りなく。

料理の味はもうよくわからなかった。煮物も天ぷらも、ふだんなら好きなはずの味が、ぜんぶ遠くにある感じだった。逃げ場のない食卓に、ただ座っているしかなかった。

帰り道に父が放った一言

家路は両親の車に乗せてもらった。後部座席に腰を沈めると、息がやっと吐けた気がした。

運転席の父が、信号待ちでぽつりと言った。

「ああいうの、気にしなくていいからな」

助手席の母も静かにうなずいている。たったそれだけの一言だったのに、胸の奥に詰まっていたものが少しだけほどけた。

結婚も、収入も、ほんとうは家族にしか相談したくないことだ。それを、笑顔で軽く触ってくる親戚との距離感に、私はずっと戸惑ってきたのだと思う。

言い返さなかった自分への落ち込みは、まだ少し残っている。それでも、味方がいるとわかっただけで、次に同じ場面が来てもなんとかやり過ごせる気がした。親戚だからこその遠慮と本音の交錯は、たぶんこれからもついてまわる。それでもこの夜のことは、しばらく覚えていそうな気がしていた。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる