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美容ジャーナリスト、齋藤 薫さんのロンジェビティ考。抗老化薬による不老長寿の未来とは

  • 2026.6.6

今世界で進んでいる不老長寿への潮流は、50年近く女性の美と美容について考察してきた美容ジャーナリストの齋藤 薫さんにとっても、大きな関心事の一つとおっしゃいます。そこで、「ロンジェビティの奇跡は私たちに何をもたらすのか?」を美容的視点から分析していただきます。

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<Profile>
齋藤 薫(さいとうかおる)/美容ジャーナリスト、エッセイスト

雑誌『25ans』編集部を経て独立。多くのメディアで連載エッセイを持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーで活躍。最新著書に人生後半を輝かせるための美容と意識改革について記した『年齢革命 閉経からが人生だ!』(文藝春秋)。

ほんの数年後には抗老化薬の時代、始まる?

私は今、本当にワクワクしている。興奮していると言ってもいい。なぜなら「人間が年を取らなくなる」、まさに有史以来初の歴史的節目に私たち自身が立ち会えるかもしれないから。いやもはやそのフェーズに入っている。ロンジェビティに関する情報が、どんどん更新されるようなすごい時代に入っているからだ。

それも、たまたま時期が重なったAIの爆発的な進化とシンクロすることにより、不老長寿がとてつもない加速度をつけて現実になろうとしているのだ。ついこの間まで「10年後には“抗老化薬”が市販されるようになる」とされていたのが、「あるいは数年後には……」とのうわさもある。従って人生100年はもう古い。人間の寿命の限界は120年から150年。そこまでを全うする人間が飛躍的に増えてくると考えてもいい。

オートファジーにミトコンドリア、老化細胞除去、腸内フローラ、加えてもちろん抗酸化に抗糖化……何をすればいいかはもう明快で、その具体的な手段も次々発見されつつある。

実は私も今月、新しい抗老化系サプリを飲み始めた。それはまさに国際的老化研究コンペティションで準決勝に残ったチームが研究中の長寿のもとを凝縮したもの。このパラダイムシフトに立ち会えた幸運を無駄にしてはいけないと、最新のロンジェビティ情報を聞き逃さず、可能な限りその手段を、体を張って試したいと思っている。そんな自分にとっての実験材料もどんどん更新されているほど。大きなきっかけとなった提言「老化は病気だから治療ができる」、その治療が本当に始まるまでに、やれることがたくさんあるのだ。

生物として年を取らない平然と若く美しい人のなぜ

でもそれ以前に、さらに自分を高揚させるものがある。人間が持つ潜在能力の素晴らしさ。ズバリ、年を取らない女性たちが今どんどん増えていることなのだ。いや、年を取らないどころか若い頃よりも輝きを増す形で、超然たる若さを誇る女性たち。もっと言えば、生物として若いまま美しいまま年齢を重ねていく人たち。つまり奇跡を狙っているのではない、一心不乱に美容しているわけでもない。もちろん美容医療の支えがあるのは否定しないが、そういう痕跡は全く見えない。つまり、必死の若さではないのだ。事もなげに、若く美しいのである。

<strong>未来への大きな期待を感じさせてくれる女性 </strong>2026年2月に古希を迎えた大地真央さん。2025年には映画初主演を務めるなど活躍の幅が広がり続ける。さらに目玉焼きアーティスト、マオ・ペカソ・ダイチの肩書も持つといったおちゃめな面も、大地さんの若々しい美しさを支える秘訣⁉ Kazuki Nagayama(S-14)

例えば、大地真央さん。なんと今年70歳になったという。奇跡という言葉さえ陳腐に思えるほどなのは、これほど生命力煌めく躍動する70代は見たことがないから。それこそ生物としての尊さを感じるから。実はハリウッドでも、溌剌としたまま生き生きと年を取らない女優が増えてる。明らかに若い頃より美しいヘレン・ミレンはショッキングピンクのドレスを見事に着こなすし、女優として進化し続けるメリル・ストリープは不思議なくらいに見た目が変わらない。60歳でオスカーに輝いたミシェル・ヨーはその後さらにオーラを放ちまくっているし、ポスト「メリル」と目される実力派女優ケイト・ブランシェットは、年々高貴さを増し唯一無二の存在になりつつある。

そして注目すべきは、この人たちには絶対の共通点があること。知性である。知的な人ほど年を取らないということなのだ。科学的な根拠はまだないが、知的なほど生物的に年を取らない可能性があるとすれば、脳の活性が肉体の若さにもつながるからではないかと思うのである。

【年を重ねるほどに輝きを増す女性たち】

Gareth Cattermole/Getty Images

「難民映画基金」を設立するなど、社会活動にも精力的なケイト・ブランシェット56歳。

Mike Coppola/Getty Images

還暦でアジア人初、アカデミー賞主演女優賞を受賞のミシェル・ヨー63歳。

James Devaney/GC Images

『プラダを着た悪魔』続編も期待のメリル・ストリープ76歳。

Todd Owyoung/NBC via Getty Images

ヘレン・ミレンは80歳でロレアルパリ主催のランウェイショーに出演。

ロンジェビティの不都合を正すものが必要

ロンジェビティが進めば、逆に不都合も生まれてくる。例えばだがプーチンと習近平と金正恩の強烈な3者会談での雑談で、たまたまマイクが捉えてしまった内容は「臓器移植を繰り返せば150歳まで生きられるらしいよ」という戦慄のうわさ話。権力者はその権力と富を守るために強硬に不老不死に挑むだろうが、皮肉にも今、老化研究に莫大な投資をしているのは世界の大富豪。もちろん志あってのことだろうが、とりあえずは“金持ちだけが若返る”という非常に歪んだ格差社会が生まれるのは否めない。

ただ「人類が等しく抗老化できる健全な未来を目指すべき」と提言する、心ある富豪や学者がいるのも事実。彼らは、老化も含めた病気がなくなる世界をイメージしている。つまり莫大な医療費の削減、超高齢化問題の劇的解決……そこまで訴えているのだ。そういう意味でも、理想のロンジェビティには、知性と理性が不可欠になるのだろう。少なくとも、欲得だけで追求してはいけないテーマであることは確かなのだ。

何のために長生きするか。自ら問うて出た答え

そこで私たちも、一体何のために長生きするのか? そこを明快にすべきだろう。私自身、以前はその意義がいまひとつ分からなかった。そんなに長生きしてどうするのだろうと。ましてや100歳を超えた自分の姿を想像するほどに、長生きの価値も分からなくなっていった。そこが男と女の違いなのだろう。外見の若さが伴ってこその長寿と考えるのが女性。だから美容的抗老化と医学的抗老化にはズレがあったわけだが、考えてみてほしい。今はまさに細胞の若返りに挑んでいるわけで、細胞そのものが再生すれば肌も髪も何もかもが若返る。美容と医学は切り離せるものではないのだ。

ならば私にも明快な目的がある。自分の目で未来を見ること。まさに人が年を取らなくなる未来、そしてAIの進歩でロボットが家にいるような未来、だから認知症も介護もない、今より平和な未来、まさにそういう時代に立ち会える幸運を享受したいのだ。できるなら長生きをし、しわくちゃにならぬまま、颯爽と、そういう未来に立ち会いたいのである。

初出:リシェスNo.55 2026年3月27日発売
PHOTOGRAPH:KAZUKI NAGAYAMA(S-14)[MS. MAO DAICHI]

EDITING:MIHO KASHIWABARA

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