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「健診で異常ナシだったから大丈夫」は間違いだった。実は『大腸がん』のサインかも…見逃せない“危険なサイン”とは?

  • 2026.6.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「健康診断で異常なしだったから大丈夫」「お酒も飲むしタバコも吸うけど、自分はまだ若いから」——そんなふうに思っていませんか?

実は、私たちが日常的に行っている習慣や、安心しがちな検査結果の裏側に、大腸がんリスクを見落とす「落とし穴」が潜んでいます。

日本人のがん罹患数で上位に位置する大腸がん。その発症リスクを高める要因とは何か、そして「便潜血検査で陰性だった」という結果をどこまで信じてよいのか。麻酔科専門医の松岡雄治さんに、生活習慣の見直しから今日できる予防法まで、詳しく解説していただきました。

「飲酒・喫煙・肥満」が大腸がんを招く3大リスク——そのメカニズムとは

---大腸がんの発症リスクを高める食生活や生活習慣について教えてください。

松岡雄治さん:

大腸がんの発症リスクを高める食生活や生活習慣に関する要因は、『過度な飲酒』『喫煙』『肥満』です。

国立がん研究センターの評価でも、喫煙と飲酒は大腸がんのリスクを上げる『確実な要因』とされています。また、肥満も『ほぼ確実な要因』として挙げられています。これらが大腸の粘膜をがん化させる背景には、次のようなメカニズムがあります。

まず、有害物質のばく露として、たばこの煙やアルコールが分解されてできる有害物質が、血液に乗って腸の粘膜に到達します。次に、慢性的な炎症として、肥満によって蓄積した内臓脂肪からは、常に炎症を引き起こす物質が分泌されます。そして、有害物質の刺激と慢性的な炎症によって、腸の粘膜細胞が常にダメージを受ける状態になります。傷ついた細胞が修復される過程でエラー(変異)が生じ、ポリープやがんへと変異するのです。

おいしいお酒や食事を楽しむ日常を急に手放すことは困難です。まずは、現状の生活習慣が腸にダメージを与えている事実を知り、節度をもって楽しむように心がけていきましょう。」

「陰性=異常なし」は危険な誤解——便潜血検査が大腸がんを見逃す理由

---健康診断の便潜血検査で「陰性(異常なし)」という結果が出た場合、腸に問題はないと考えてよいのでしょうか?

松岡雄治さん:

便潜血検査の『陰性』(いわゆる『異常なし』)は残念ながら、腸に異常がないと保証するものではないのです。

検査陰性は、あくまでも検査で陽性反応が出なかったということです。つまり、潜血が検出されなかった(陰性)に過ぎないのです。

実際に、便潜血検査では、大腸がんがある人の『約6人に1人』は見逃される(偽陰性)ということがわかっています。下剤を飲むのはつらいですし、お尻からカメラを入れる大腸内視鏡検査を避けたいお気持ちもわかります。しかし、このリスクを甘く見ないことが大切です。

なぜ見逃しが起こるのかというと、大腸がんは血管が豊富で脆いため、便がこすれると容易に出血します。便潜血検査はこの性質を利用してがんを探します。しかし、がんは常にダラダラと血を流しているわけではありません。たまたま出血していない日の便を採取してしまうと、腸内にがんがあっても検査結果は『陰性』となってすり抜けてしまいます。

陰性の結果を過信して内視鏡検査を受けない間に、がんは静かに増大し、やがて腸の壁深くに根を張ります。がんの発見が遅れて病状が進行してしまうと、人工肛門の造設や抗がん剤治療など、その後の生活は大きく変わるかもしれません。血便や腹部の違和感がある場合は、陰性結果を信じ込まずに消化器内科を受診し、大腸内視鏡検査を相談してください。

大腸内視鏡検査は、出血しないような小さな病変なども容易に発見することができる上、疑わしい組織を採取してがんか確認する生検をすることもできる、非常に優れた検査なのです。今は鎮静薬を用いて苦痛を少なく行うこともできるので、クリニックのページを確認してみてください。」

今日から始めたい大腸がん予防——最優先すべき「1日60分の歩行」とは

---大腸がんのリスクを下げるために、明日から実践できる具体的な行動を教えてください。

松岡雄治さん:

明日から実践すべき最も優先度の高い行動は、『歩行などの身体活動を1日60分行うこと』です。体に良いとわかっていても、忙しい毎日の中で運動の時間を捻出するのは容易ではありません。

しかし、肥満がほぼ確実にリスクとされているのと同様に、国立がん研究センターの評価において、『運動』は結腸がんのリスクを下げる『ほぼ確実な要因』とされています。これは痩せることだけでなく、腸の動きが活発になることで、便として排出されるべき有害物質が腸内にとどまる時間を短くできることも一因です。

具体的には、3つのアクションがあります。

  1. 1日60分の歩行として、通勤時に一駅分歩くなど、日常の中で身体活動の時間を細かく積み重ねます。
  2. 週60分の息がはずむ運動として、週末などに、早歩きや軽いジョギングなど、少し汗をかく程度の運動を取り入れます。
  3. 適正体重の維持として、運動を習慣化し、男女ともにBMI『21〜25』の範囲に体重をコントロールすることが最新のガイドラインで推奨されています。

これらをすべて自力で完璧に行う必要はありません。少しずつでも、まずはできることから始めて楽しい食事やお酒、普段の暮らしを守っていきましょう。」

「知ること」が大腸がんから身を守る第一歩

今回の取材を通じて明らかになったのは、大腸がんは「生活習慣の積み重ね」によってリスクが高まる一方で、「正しい知識と行動」によって確実に予防へ近づけるがんだということです。

飲酒・喫煙・肥満が大腸の粘膜にじわじわとダメージを与えていること、そして健康診断の便潜血検査で「陰性」だったとしても、それは「がんがない証明」ではないこと——この2つの事実を知っておくだけで、あなたの行動は変わるかもしれません。

今日から始めたいのは、まず「1日60分歩くこと」。通勤の一駅分を歩くだけでも構いません。大切なのは、完璧を目指すことではなく、できることから少しずつ続けることです。楽しい食事もお酒も、長く健康に過ごすためにこそ守っていきたいもの。松岡さんの言葉を胸に、今日の一歩を踏み出してみましょう。


参考:
大腸がん対策を推進するための「大腸がんファクトシート」(国立研究開発法人 国立がん研究センター)
大腸がんとは(国立がん研究センター中央病院)

監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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