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原 菜乃華さんが選んだ一冊は、綿矢りさ『ひらいて』。どうしたらいいか分からず、生き急いでいる姿が本当にリアルだった【インタビュー】

  • 2026.5.30

※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2026年6月号からの転載です。

原さんは『蹴りたい背中』に衝撃を受けて以来、綿矢りささんの大ファン。特に15歳の頃出合った『ひらいて』は、人生の指針になっている。

「初めて読んだ時に惹かれたのは、主人公・愛のがむしゃらな激しさでした。どうしたらいいか分からず、生き急いでいる姿が本当にリアルで」

大好きな文章にはマーカーを引いた。例えば、人は忘れる生き物だから「ちゃんと覚醒をしているのは、今しかない。今しかこの恋の真の価値は分からない」という愛の独白。

「これは私のことだと思いました。私も当時は、何に対してなのか自分でも分からないまま、つねに焦燥感に駆られて。言葉にできない気持ちをこんなにもはっきり表現してくれていると、本当に心に刺さりました」

今まで繰り返し本書を開き、その度にマーカーは増えている。今、一番好きな文章は、「まだ表情を知らない顔の、なんという美しさ」だ。

「愛が、とある小さな男の子に抱く感情なんですけど、お芝居をする時にふとこの一節が頭をよぎります。何の意図もない、自然のままの表情が、最も人の心を動かすでしょう? 私もそれに近いお芝居ができたらと、いつも思います。今と昔のマーカーを比べると、成長なのか退化なのか、私自身の心の変化も分かりますね」

原さんは今、ドラマ『るなしい』で主演を務めている。原さんが演じるるなは、「火神の子」として祖母と共に信者ビジネスを行っている。

「るなはカリスマ性とビジネスの才がありながら、とても無垢で幼い一面もあります。相反する人間性が共存した彼女を演じたいと、強く思いました」

原さん自身、るなに共感するところが少なからずあったという。

「私も幼い頃からお芝居をして、学生らしい青春を過ごした思い出はあまりないんです。もちろんその分、素晴らしいお仕事の機会をいただきました。だから、るなの代償と覚悟は、理解できる気がします」

るなの初恋の相手であり、信者ビジネスに足を踏み入れるケンショー、るなの幼馴染みで彼女に執着するスバル、火神の信者・茂木……。どのキャラも魅力的、と原さんは感じる。

「自分の欲に忠実に、不器用ながらも一生懸命に生きている。それが生々しくて、少し分かるなと思ってしまう、今までにない感情になるドラマなんです。物語の後半は、るなとケンショーのビジネスバトルが白熱して、ゾクゾクする展開になりますので、ぜひ楽しんでご覧ください」

取材・文:松井美緒 写真:TOWA

ヘアメイク:馬場麻子 スタイリング:山田安莉沙

はら・なのか●2003年、東京都生まれ。映画『ミステリと言う勿れ』で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。他の出演作に、劇場アニメ『すずめの戸締まり』、映画『見える子ちゃん』など。26年は劇場アニメ『君と花火と約束と』、映画『5秒で完全犯罪を生成する方法』に出演予定。

『ひらいて』

(綿矢りさ/新潮文庫) 572円(税込)

華やかでモテる高校3年生の愛が惹かれたのは、悲しい目をした同じクラスの地味男子・たとえだった。しかし彼には密かに付き合っている恋人・美雪がいた。思い通りにならない恋にもがく愛は、美雪に接近するという予想外の行動に走る。『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに描いた高校生の恋と青春。

『るなしい』

原作:意志強ナツ子『るなしい』(講談社『小説現代』所載)

監督:上田 迅ほか 脚本:上田 迅ほか 出演:原 菜乃華、窪塚愛流、本島純政、影山優佳、滝澤エリカ、駒井 蓮、島村龍乃介、加藤小夏、道上珠妃(ダウ90000)、正名僕蔵、根岸季衣 テレ東系で放送 毎週木曜深夜24時30分〜25時

●「火神の子」として生きる女子高生・郷田るなは、祖母と営む鍼灸院で信者ビジネスを行っていた。同級生の人気者・ケンショーに失恋し、信者ビジネスに取り込み復讐しようとするが……。

©「るなしい」製作委員会

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