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夢を抱いた場所で働く!「マリンワールド海の中道」飼育員・川名愛鈴さんインタビュー【私の推しごと#33】

  • 2026.5.27

福岡ゆかりの人に、「お仕事」の話から、個人的に推している「推しごと」の話まで、普段聞けないいろんなことを聞く『ARNE』のインタビュー企画『私の推しごと』。

#33は、福岡市東区の水族館『マリンワールド海の中道』で働く飼育員・川名愛鈴さんの登場です。

子どもの頃に憧れた職業にたどり着き、今や飼育員の中堅どころ。動物とロックをこよなく愛する川名さんの、リアルな日常を伺いました。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

川名愛鈴(かわな・あいり)さんプロフィール 1995年生まれ、福岡県朝倉市出身。『福岡ECO動物海洋専門学校』卒業後、『マリンワールド海の中道』に入社。3年間の営業職を経て、8年前より海洋動物課所属。

「お仕事」について

Q:水族館の飼育員さんって、具体的にどんなことをしているんですか?

ショーの運営をしたり、動物のトレーニングをしたり、エサの準備をしたり、健康管理をしたり、いろいろです。

『マリンワールド海の中道』には飼育員が41人いて、海洋動物担当が25人、魚担当は16人です。海洋動物担当は「かいじゅう(海獣)チーム」「イルカチーム」「アシカチーム」の3つに分かれていて、私は「かいじゅうチーム」。7人のメンバーで、アザラシ10頭、アシカ3頭、イルカ2頭、スナメリ2頭の飼育を担当しています。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:水族館好きなら一度は憧れる職業だと思います。川名さんは何をきっかけにこの仕事に?

最初のきっかけは小学3~4年の頃、このマリンワールドでイルカを実際に触ったことだと思います。胴長を着てイルカプールで直接イルカに触れるイベントがあって、確か限定6組だったので、両親と朝5時半から並んでチケットを買って参加しました。

―初イルカの感触覚えてます?

弾力のあるゴムを触っているような、濡れたナスビを触っているような。

もともと小さい頃から動物が好きで、特にイルカが大好きだったのでとても感動したのを覚えています。そんなイルカたちと心が通じ合っているように見えた、当時の飼育員さんがかっこ良くて、私もここで働きたい、トレーナーになりたいと。

―そこからどういうルートで?

ドルフィントレーナー専攻がある専門学校に行って、国家資格の潜水士も取り、マリンワールドの海洋動物課の採用試験を受けました。大卒で入ってくる人もいて、ルートはいろいろあるのですが、狭き門であることは確かです。私のときは70人くらい受けて、合格したのは3人程度だったかと。そして私も落ちました。

―はじめは営業職で入られたとか。

そうです。海洋動物課の試験に落ちた後に、営業職の採用試験があり、受けました。自分がやりたい仕事とは離れているけれど、とにかくマリンワールドで働きたいという気持ちが強くて。3年間、営業の仕事をした後、海洋動物課へ異動になりました。今年8年目になります。夢を抱いた場所で仕事できるなんて幸せ者です。

Q:憧れの職業に実際に就いていかがですか? 夢と現実と。

しんどいことはたくさんあって、夏は紫外線がものすごいし、冬は寒いし、過酷です。でもやっぱり、動物とトレーニングする中で「通じ合えた!」と感じる瞬間はとんでもないやりがいを感じますし、これがあるからいろいろ乗り越えられます。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

―通じ合えた!というのはどういう瞬間ですか?

たとえば動物に「手を振る」動きを教えるとして、最初は私がいくら「手を振って」のサインを送っても、当然何もしてくれませんよね。でも根気よく続けていると、ふと手を振るような動きをすることがあるんです。そしたらすかさず「それだよ!」ってホイッスル(高周波の音が出る笛)を吹いて教えてあげる。

―そしてエサをあげて褒めるんですね。

そうです。時間をかけて一つずつ、いいところを拾って拾って拾っていると、あるとき、動物もひらめくんです。「こういうこと?」って。その瞬間はもう、「それだよ! それそれ!」って心が通じ合った感じがします。

―サインは決まったものがあるんですよね?

サインは共通です。でも、誰がサインを出してもやってくれるというものではなく、やっぱり新人のトレーナーなど初めまして同士だと通じ合えず、「ん?」みたいな顔をされます。

私たちからすると同じサインを出しているようでも、人によって速さや手の形などが微妙に違うし、動物からは違って見えるのかもしれません。動物って人間のことを本当によく観察しているから。

Q:動物と信頼関係を築くために一番大事なことは何でしょう?

難しい……。でも、まずは私という存在を覚えてもらうことかな。顔や動きはもちろんですが、アザラシやアシカは耳が聞こえているので、「おはよう」などの声かけもしっかりして、声も覚えてもらいます。ちなみにイルカは、水中でのコミュニケーションに特化した聴力を持っていて、人間の声のような低周波の音は聞こえづらいようです。だから顔、動き、そしてホイッスルでコミュニケーションを取ります。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:ショーでの解説もされていますよね。

『かいじゅうアイランド』で行っているステージ『GOGOアザラシ』は特にお客さんとの距離が近く、みなさんの反応がダイレクトに聞こえてきます。私たちの解説に、「へ~そうなんだ!」ってリアクションしていただけるとやっぱりうれしいですね。

―飼育員のみなさん、しゃべりも上手だなといつも感心します。

私はあまり得意な方ではないんですが、みんなたくさん練習していて、先輩方から言葉の引き出しをもらったりしながら、みなさんに動物の魅力が伝わるよう一生懸命しゃべってます(笑)。私も中堅どころになってきたので、今後はしっかり後輩の指導もして、良いトレーナーを育てていきたいです。

「お仕事」のイチ押し

川名さんが担当している『かいじゅうアイランド』は、『マリンワールド海の中道』1階の屋外にあり、ゴマフアザラシ、カリフォルニアアシカ、バンドウイルカ、そしてケープペンギンがのびのび暮らしています。さまざまな体験メニューも用意されていて、動物たちの意外な素顔を垣間見ることができますよ。

Q:『かいじゅうアイランド』で行われているイベントはどんなものがありますか?

まず、私たちのチームが解説を務めるGOGOアザラシ。ゴマフアザラシ1頭がステージまでやって来て、お客さんの目の前で得意技を披露します。腹筋をしたり、おなかをポンポン叩いたり。かわいい仕草をぜひ見てあげてください。1日1~2回実施、約10分のイベントです。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

今年4月にスタートしたのはアザラシと記念写真。プール下の水中観察路でアザラシと一緒に写真が撮れます。水中でアザラシにじっと止まっておいてもらうトレーニングは2カ月かかりました……。実施は土日・祝日(GWやお盆など超多客時は除く)の15:20~、参加費は1グループ(5人まで)1,000円です。

パクパクアザラシは、プールにいるアザラシやアシカへのエサやり体験です。プール横の冷蔵ロッカーに入っている魚(1皿500円)を購入して、トングを使ってあげてください。予約不要で毎日実施(開館~エサ売り切れ次第終了)しています。

イルカのエサやり体験パクパクイルカ(土日・祝日のみ、1人1,000円)も大人気です。

体験参加は事前チケットが必要なものもあるので、ホームページを確認してください。

Q:川名さんイチ押しの、『かいじゅうアイランド』の見るべきポイントを教えてください。

夕方、アザラシの陸上での姿をぜひ見ていただきたいですね。いつもは水中にいるアザラシですが、日中の『パクパクアザラシ』でおなかが満たされた夕方頃になると、みんな陸上に上がってきてひっくり返って寝るんです。どーんと寝っ転がって、おなかをポリポリかいたりしている姿は本当にかわいいですよ。

いつも6頭くらい打ち上がってますが、不思議なのは、みんなソーシャルディスタンスを守って、均等な距離を保っていること。1箇所に固まったり、くっついて寝たりしないんです。自分のお気に入りの場所があるのかなあ。私も毎日この光景を見るのが楽しみなんです。

「推しごと」について

次に川名愛鈴さんの「お仕事」の平均的な1日、そして「推しごと」を楽しむ休日のタイムスケジュールを教えていただきました。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

これを見ながら、「推し」について聞いていきます。

推しごとマリンワールド川名さん スケジュール
画像:ARNE

Q:川名さんの「推し」は何ですか?

ロックバンドが好きです。特に好きなのが、『RADWIMPS』『フレデリック』『SUPER BEAVER』『go!go!vanillas』。

『RADWIMPS』は中学生の頃からずっと好きで、ここ2~3年でいろんなバンドの曲を聴くようになりました。

―最初に好きになったきっかけは?

中学生のとき好きだった人が『RADWIMPS』を聴いていて、話のネタになるかなと思って聴き始めたのが最初です(笑)。私も聴いてるよーって会話のきっかけになればと。そのうち、私もすっかりのめり込みました。

―どういうところが好きですか?

『RADWIMPS』は歌詞がすごく刺さる。『フレデリック』は耳に残る中毒性があって、初めて聴いた時は「なんだ? この曲は」って感じだったのが、なぜか何回も何回も聴きたくなります。好きなバンドの共通項は何だろう……わかりません(笑)。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:【推しのある1日】は「福岡のライブに参戦する」日のスケジュールですね。よくライブに行くんですか?

去年は『RADWIMPS』が20周年だったので、全通(すべての公演に参加)ではないんですが、福岡、広島、横浜2日間、有明と5回行きました。だからほかのライブも加えるともっとありますね。やっぱりライブで生で観たい、この曲を生で聴けるまでは追いかけたいという気持ちが強いです。

―月1参戦くらいでしょうか。

多いときは月3行きました。でもそれだと休みの調整も大変だし、楽しみが薄れる気がするので、今は月1以下に抑えています。少し前までは一人行動が全く無理なタイプだったんですが、『フレデリック』のライブにふと1人で行ってみてからは大丈夫になって、もうどこにでも1人で飛んでます。

―ライブ前の「音楽予習」が入念ですね。

セトリバレしたくない(事前にライブのセットリスト(演奏曲目・曲順)を知りたくない)タイプなんです。朝からしっかり曲を聴きこんで頭に入れて、何がきても大丈夫なように準備。ライブ後はその日のセトリを確認しながら帰宅します。

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:各地のライブに参戦するときの、何か別の楽しみってあります?

遠征した先の水族館や動物園を見て回るのが楽しいですね。「ここに行くんだったら、この水族館まで行ってみよう」など事前に調べます。実際行ってみると、展示の仕方やイベント内容など参考になることがたくさんあって、いいなと思ったことはできるだけ取り入れるようにしています。

Q:ちなみに『かいじゅうアイランド』のBGMで好きなバンドの曲を流すことは?

ありますあります!

イベントで『GOGOアザラシ』ってやってますが、これは完全に私が『go!go!vanillas』にかけたんです(笑)。BGMもバニラズで組んだりして。以前、福岡でバニラズのライブがあったとき、ファンの方がマリンワールドにも遊びに来てくれたようで、「バニラズが流れてる! 好きなスタッフがいるんじゃない?」という声が聞こえたんです。「実は私が」と名乗り出て、盛り上がったこともありました。

やっぱりきつい仕事ではあるので、ライブ参戦を目標にしたり、仕事中に好きな曲を流したりしながら、メリハリつけて頑張って、生きてます。

(※写真は、ARNEの「A」ポーズ)

推しごとマリンワールド川名さん
画像:ARNE/撮影:田中紀彦(Studio Red Star)

Q:最後に『マリンワールド海の中道』に来られる方へメッセージを。

ライブや音楽イベントで福岡に来られる際は、ぜひマリンワールドにも足を運んでください。そして『かいじゅうアイランド』のBGMに注目を! いいセットリストを組んでお待ちしています。

<取材を終えて>

飾り気のない言葉と自然な笑顔。撮影前にメイクや髪を気にすることもなく、膝を打ちながら豪快に笑う川名さん、とてもかっこ良かったです。ちなみに取材に伺った日、『かいじゅうアイランド』には『嵐』が流れていましたよ。(取材・文/重川朋子)

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