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夫の死後に“預金1,200万”を相続→『これで相続税が払える』と思いきや…その後、60代妻を待ち受けていた“想定外の事態”

  • 2026.7.22
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!税理士・元国税調査官の神崎遊です。
「うちは相続税がかかるかも」そう思った方は、納税資金の準備をしていますか。
「相続した財産から払えばいい」そう考えていても「口座から引き出せない!」と慌てるケースが起こるのです。

遺産分割が終わらなくても申告は必要

67歳・女性のSさん(仮名)は昨年、夫を亡くしました。相続人はSさんと3人の子どもたち。土地などの財産が多く、相続税がかかる見込みでした。

しかし、相続財産の分割がまとまらず、時間だけが過ぎていきました。

「申告期限って、遺産分割が終わるまで延ばせるのかな」

子どもからそう言われ、心配になったSさんは急いで税理士に相談しました。

「残念ですが、遺産分割が終わっていなくても申告期限は延びません」

相続税の申告期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。

申告期限までに遺産分割が終わっていない場合でも、相続税の申告は必要です。
この場合は、民法に規定する相続分などに従って財産を取得したものとして、いったん申告を行います。

その後、正式に遺産分割が決まり、当初申告した税額より納める税金が増える場合は修正申告、反対に税金が減る場合は更正の請求を行うことがあります。

「分割が終わっていなくても、待ってもらえないのですね…」

Sさんは驚きましたが、税理士と申告の準備を急ぎました。なんとか申告書は期限に間に合う見込みとなり、残すは相続税を納めるだけ。Sさんも、ようやく肩の力が抜けたそうです。

口座の凍結!?

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

その後、Sさんから慌てた様子で連絡がありました。

「大変です!夫の口座からお金が引き出せません!」

夫の預金から相続税を払うつもりだったSさん。しかし、夫が亡くなったことを知った銀行によって、口座は凍結されていたのです。

「このままじゃ、相続税が払えません…」

原則として、金融機関が口座名義人の死亡を知ると口座は凍結され、自由に預金を引き出すことができなくなります。遺産分割が終わった後、金融機関で相続手続きを行い、預金の払戻しなどを受けるのが通常です。しかし、Sさんの家族はまだ遺産分割の話し合いが終わっていません。そこで、税理士はある制度を説明しました。

相続預金の払い戻し制度

「口座が凍結されていても、遺産分割前に預金の払戻しを受けられる制度があります」

「分割が終わっていなくてもですか?」

家庭裁判所の判断を経ず、相続人が単独で払戻しを受けられる金額は、原則として次の計算式で求めます。

相続開始時の預貯金額 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

今回の相続人は、妻であるSさんと3人の子どもです。

Sさんの法定相続分は2分の1、夫の預金が1,200万円。

1,200万円 × 3分の1 × 2分の1 = 200万円

となります。

「200万円を引き出せるんですね」

しかし、ここにはもう一つ注意点があります。

「実は、払戻しを受けられる金額には150万円という上限があります」家庭裁判所の判断を経ずに払戻しを受ける場合、同じ金融機関から払い戻せる金額は150万円まで。そのため、計算上の金額は200万円ですが、Sさんが単独で払戻しを受けられるのは150万円までです。

「150万円あれば、なんとか」

Sさんは金融機関で必要な手続きを確認し、納税ができたそうです。

「お金があるのに払えない」を防ぐために

遺産分割も無事に終わり「面倒なことこそ、後回しにしない!」ことを教訓にしたと報告してくれました。

相続対策は、口座凍結も踏まえて、納税資金の準備をしておきましょう。


執筆:税理士・元国税調査官 神崎遊

国税組織で12年間勤務し、法人税調査を中心に200件以上の税務調査に従事。現在は「ゆとり税務会計」を運営し、中小企業・個人事業主の税務支援を行っている。

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