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ファンバイクの常識が変わる|カワサキ KLX140R Lを激変させるサスチューニングとは?

  • 2026.5.4

排気量、車格、装備と、これまでのファンバイクにあったチープさを完全に払拭したKawasaki KLX140R L。だからこそ、もっと積極的に走らせたい――そんな欲望に応えるテクニクスのサスペンションチューニング2パターンをインプレッションする。

PHOTO/H.Inoue 井上 演 TEXT/H.Kishizawa 岸澤秀夫

問:Technix

〒344‑0122 埼玉県春日部市下柳 43-1

TEL:048-795-4423 FAX:048-795-4424

http://technix.jp

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フルサイズ不要? 140が選ばれる理由

東南アジアで最もオフロードバイク文化が盛り上がる国、タイ王国。日本メーカーはもちろん、欧州メーカーも生産拠点を構えるなど、二輪技術が成熟した国だ。そんなタイでは、正式販売されていないフルサイズモトクロッサーよりも、正規ラインナップのKLX140R Lが圧倒的な人気を誇るという。

そう教えてくれたのは、タイにも支社を持つテクニクスの土田メカニックだ。過熱するKLX140R Lブームは、キャブからインジェクション化、170cc近くまでのボアアップなど、過激なエンジンチューニングが次々と生まれている。

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【ノーマルストローク仕様「トリックコンプ」+「スタンダードモディファイ」】足つきを重視するライダー向けのノーマルストローク仕様。フロントのタフネスは大きく向上しているため、十分に楽しめる仕上がりになっている

同時に、そのパワーを確実に路面へ伝えるサスペンションチューニングもテクニクスが体系化。

現地の熱気を反映し、テクニクスではKLX140R L用に、フロントはノーマルストロークの「トリックコンプ」とストロークアップ仕様の「トリックプロ」を用意。リアは純正をベースにしたリバルビングのスタンダードモディファイとプロフィット仕様を、日本国内でも展開している。

従来の常識である125ccを超える140ccの排気量と、専用チューンのサスペンション。その実力は想像以上だ。

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【ノーマル長の「トリックコンプ」ストロークアップの「トリックプロ」】フロントサスペンションはノーマル長の「トリックコンプ」とストロークアップの「トリックプロ」を設定。前者は中間域の剛性とレートを最適化、後者は前25mm後6mm延長で前下がりを解消。価格は103,000円と113,000円(税別)。※24年2月1日以降改定必ず公式サイトで最新確認を
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【リバルビング、純正の4段階からTechnix製のコンプレッションアジャスターへと変更】KLX140R Lのノーマルをベースに、リアスプリングは活かしつつ内部ダンパーを刷新。減衰の効きを最適化し、リバウンドアジャスター追加で調整幅と扱いやすさを大幅向上。スタンダードモディファイ52,000円、リアを6mm延長したプロフィット仕様72,000円

今回は元全日本モトクロスIAの鳥谷部晃太、全日本ファンバイクエキシビジョン経験を持つ本誌岸澤、CRF100F元オーナーでJEC参戦中の宮崎大吾が試乗。その走りを詳しく検証する。

注目の1台だ。期待は高まる。必見、必読である。

充実装備のKLX140R Lを、テクニクスのサスチューニングで完成形へ

KLX140R Lは、ファンバイクの中でも「後出しジャンケン」と言いたくなるほど充実した内容を誇る一台だ。140ccという排気量は、TT-R125LWEユーザーがエンジンチューニングで目指す定番サイズ。さらにCRF125FやTT-R125LWEには設定のないリアディスクブレーキを備え、前後アルミリム、アルミスイングアームまで採用。それでいて車両本体価格は50万円を切る。唯一惜しいのは、国内での販売台数が少ないことだろう。

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KLX140R L用モデファイパーツを多数揃えるテクノクス・左右一組のフレームプロテクションデカール(左右セット4,900円・税別)をはじめ、TGRオリジナルのワイドステップやリンク部まで覆うスキッドプレートを装着。いずれもハードエンデューロやマディ路面を想定し、実戦に即した堅牢な備えとなっている

そんなKLX140R Lに対し、テクニクスが手がけたのがサスペンションチューニングだ。ノーマル長仕様の「トリックコンプ」では、ノーマルで感じられる減衰力やダンパー容量不足を解消すべく、中間域のボリュームを増やし、スプリングレートも最適化。リアは「スタンダードモディファイ」仕様とし、スプリングはノーマルを活かしながら内部ダンパー特性を刷新。ワンウェイのリバウンドアジャスターを追加することで、調整幅と扱いやすさを大きく高めている。

KLX230 Lでも感じたことだが、Kawasakiのトレール/ファンバイクは前下がり傾向が強い。KLX140R Lも例外ではないため、前後ストローク長はノーマルのまま、フロントのバネレートを高めることで最適なディメンションを確保している。

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【フロントを25mm、リアを6mm延「トリックプロ」+「プロフィット仕様」】ジャンプもフープスも怖く無い。まさに攻めれるサスペンション。エンデューロでもストロークアップのおかげで丸太越え、ロックセクションで有利に働く

一方、ストロークアップ仕様の「トリックプロ」は、フロントを25mm、リアを6mm延長。前下がり感を解消するため、あえてフロント側を大きく伸ばし、車体姿勢そのものを改善した。ストローク増加により吸収力は格段に向上し、底付きの不安とは無縁のサスペンションに仕上がっている。

ノーマル長の「トリックコンプ」、ストロークアップの「トリックプロ」。いずれも接地感が高まり、ファンバイクが苦手とするフープスやジャンプでも躊躇なく攻め込める仕様だ。

モトクロスIAライダー 鳥谷部晃太 インプレッション

「大人が本気で攻められるファンバイク」鳥谷部晃太が語るKLX140R Lの実力

KLX140R Lは、車体全体の剛性感が高く、遊び用途からミニバイクレースまで幅広く対応できるモデルだと感じました。

排気量やサイズ感もちょうどよく、子どもから大人まで、さまざまなライダーが楽しめるポテンシャルを備えています。

テクニクスチューニングのサスペンションは、まずフロントのフィーリングが印象的でした。

コーナリング時にはしっかりとした接地感があり、柔らかすぎないため非常に曲がりやすいです。

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KAWASAKI KLX140 R L

ジャンプやフープスでも耐久性と安定性が高く、ミニバイクでありながら思い切って攻めていける安心感があります。

リアについても、大人が乗っても深く沈み込みすぎることはなく、常にしっかりと車体を支えている印象です。

ジャンプの着地やフープス走行時の車体の暴れをうまく吸収してくれるため、攻めた走りでも不安を感じません。

総合的に見ると、KLX140R Lは車体バランスとサスペンションの完成度が非常に高く、大人が本気で乗って攻めても安定して使える一台に仕上がっていると感じました。

本誌編集長 岸澤秀夫 インプレッション

両仕様に良いところがある攻めれる安心感がピカイチ!

ノーマルストローク仕様「トリックコンプ」+「スタンダードモディファイ」でも、すでにファンバイク基準を超えた、85ccモトクロッサーに近い走行安定性を得ていることがわかる。

ファンバイク向けに設計されたモトクロスヴィレッジのフープスやジャンプであれば、ノーマルストローク仕様で十分に対応可能だ。

また、この仕様のメリットとして、ノーマル車高とディメンションの改善により、コーナーバンク中の安定感が抜群に高まっている点が挙げられる。

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KAWASAKI KLX140 R L

ファンバイクならではの低い走行目線による迫力と安心感を両立しているのも特徴だ。

一方、「トリックプロ」+「プロフィット仕様」はストロークアップの効果により、フープスを攻めても前後サスペンションがまったく破綻しない。

高い安定性に加え、コブからコブへの飛躍のコントロール性やライン変更のしやすさも際立っている。

「トリックプロ」+「プロフィット仕様」になると、さらにエンジンパワーを引き出したくなるほど完成度が高い。

サスペンション性能がエンジン性能を上回るほどで、安心して攻められる走りを実現している。

本誌スーパーバイザー 宮崎大吾 インプレッション

ストロークアップ仕様が抜群!購入を本気で考える時期到来!?

フルサイズレーサーは好きで、まだまだ乗れると思っているけれど、いつかはファンバイクに乗りたい、あるいは移行したいという思いがあるのも事実だ。

これまでのファンバイクも十分魅力は理解していたが、このKLX140R Lはまさに“真打ち”といえる存在だ。

さらにテクニクスチューニング仕様に乗ってしまうと、忘れられないほどの魅力と楽しさを感じてしまった。

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KAWASAKI KLX140 R L

体格の大きな私にとっては、やはりストロークアップした「トリックプロ」の方が断然安心して攻めることができた。

一方で、試乗取材中に岸澤が話していたノーマルストロークならではのダイレクト感も、ミニバイク特有の魅力であり、奥深さを感じさせるポイントだ。

今回はモトクロスコースでのコーナリング性能やギャップでの安定性はもちろん、エンデューロ的なセクションでも非常に扱いやすく、走る楽しさを存分に味わえた。

これはもう、本気で購入を考えるタイミングが来たといえるだろう。

Technix 土田夏希 インプレッション

大人が本気で乗るなら答えはこれストロークアップ仕様の実力

テクニクスの土田氏は、ベースとなるKLX140R Lのノーマルサスペンションについて、まずリアの印象から語る。

「リアのボリューム感自体は、僕らがテストした中ではそこそこいいところにあると思います。ただ、減衰調整機構、特にコンプレッション側があまりうまく機能していない印象でした」。

そこでリアはスプリングをノーマルのまま活かしつつ、内部のダンパー特性を見直し、部品構成を変更。アジャスター操作に対して明確な変化が出る仕様とし、ワンウェイのリバウンドアジャスター追加により調整幅と扱いやすさも向上させている。

一方フロントについては、「全体的に減衰力が不足気味で、姿勢的にも前が低く感じる」と指摘。ブレーキング時の動きが速く、前下がりの印象が強かったという。

テクニクスではノーマルストローク仕様とストロークアップ仕様を用意。前者はフロントのバネレートと中間域のボリュームを高め、安定性を向上させている。

後者はフロント25mm、リア6mmのストロークを延長し、「吸収力とタフネスは確実に上がっています。大人が本気で乗るなら、絶対にストロークアップ仕様ですね」と土田氏は断言する。

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KAWASAKI KLX140 R L
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