1. トップ
  2. 築30年を忘れさせる再生プロジェクト。メルボルンに息づくミニマルな邸宅へ

築30年を忘れさせる再生プロジェクト。メルボルンに息づくミニマルな邸宅へ

  • 2026.5.1
Timothy Kaye

メルボルンの流行の発信地、アーマデールに佇むこの邸宅。なめらかでフラットな外観と、左右対称に配置されたスチールフレームの窓を一目見れば、誰もが新築だと思うに違いない。だが実のところ、この家は築30年という歳月を刻んでいる。インテリアデザイナーのローレン・タラントの手によって、その事実は今や遠い過去の記憶となっている。UK版「エル・デコ」より。

Timothy Kaye

この家は骨組みがしっかりしており、間取りも実用的だった。しかし、総じて装飾過多なディテールは空間の良さを引き出せていなかったため、ローレン・タラントは構造体の状態にまで一度削ぎ落とすことにした。仕上げや設備を簡素に整え、自然なビスケットのような色調のトラバーチンを主役へと据えた。

Timothy Kaye

この邸宅のゆったりとした空間構成は、足を踏み入れた瞬間から心を捉える。吹き抜けのエントランスホールへと繋がり、「一瞬にしてラグジュアリーな雰囲気とスケール感を感じさせます」とローレンは語る。

奥まった角に配された書斎は、特注のダスティグリーンの色にペイントされ、地元のデザイン事務所、MCM Houseが手掛けたハチミツ色の木製デスクが置かれている。

Timothy Kaye

むき出しだったホールの階段は手摺り壁が設けられ、チョークのような質感を持つベネチアンプラスター(西洋漆喰)仕上げの、彫刻的な表情が与えられた。

Timothy Kaye

リビングルームも落ち着いた端正なデザインだ。滑らかな石材で新調された暖炉の周りには、アンナ・チャールズワースによるブラケットライト“ファン”が配されている。足元に目を向ければ、ナチュラルなオーク材のシェブロン床が、色味を抑えた空間全体に柔らかな表情を添えている。

Timothy Kaye

広々としたギャラリーのような廊下を中心に構成された、洗練されたダイニングルーム。そこには、乳白色の贅沢なヴァーリ大理石が惜しみなくあしらわれている。

クライアントは、ホスピタリティ業界を牽引する一家の令嬢であり、ローレンの親友でもあった。そんな彼女は、食事や調理を司るスペースに対して非常に明確なこだわりを持っていた。

ローレンはキッチンの配置を反転させて空間を拡張し、プロの厨房基準に則った人間工学設計と家電のビルトインを徹底した。また、アイランドキッチンの重量感を軽減するため、足元の石の幅木を奥へと引っ込める手法を採用。これにより、まるでアイランドキッチン全体が宙に浮いているかのような軽やかな視覚効果を生み出した。

Timothy Kaye

オープンプランのリビングルームでは、存在感のある重厚な造作壁に対し、明るいニュートラルカラーの家具や砂色のシザル麻カーペットを合わせることで、そのボリューム感を巧みに和らげている。

「ミニマルでトーンを抑えた背景にすることで、造作のデザインが際立ち、この邸宅の見どころとして主役級の存在感を放つのです」と、主寝室の備え付け家具、キャビネットについて触れながら、ローレンは語る。

Timothy Kaye

バスルームに至るまで、ローズカラーの大理石の板材がカシューナッツ色の石材と絶妙な調和を見せている。

「ピンクの差し色は、遊び心のある試みとして取り入れました。これが空間に奥行きのある情緒と、ロマンチックな響きを添えてくれるのです」

original text : Carli Philips

>>UK版『ELLE DECOR』のオリジナル記事はこちら

Hearst Owned

あわせてこちらもcheck!

Hearst Owned
Hearst Owned
元記事で読む
の記事をもっとみる