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市役所「10万円以下の過料の対象」→慌てて母の遺品を持って買取窓口へ行くが…直後、50代女性に告げられた“驚きの事実”

  • 2026.5.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!リユース業界で買取窓口業務を担当してきた、たるみくまおです。

2024年4月から、相続登記が義務化されました。不動産を引き継いだことを知った日から3年以内に、名義を書き換える手続きが必須となったのです。

この制度は過去の相続も対象で、何年も放置している実家などの名義も含まれます。正当な理由なく手続きを怠ると、10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。

しかし、この「10万円」という数字に焦って動く人ほど、別の落とし穴にはまっていく……。そんな姿を、私はリユース業界の買取現場で何度も見てきました。

ある初夏の日、買取窓口に駆け込んできた50代の女性のことを、いまも忘れられません。

「母が亡くなって10年」──ある50代女性が抱えていた焦り

Aさん(仮名)は、落ち着いた身なりの50代後半の女性でした。手押し台車に段ボール2箱を載せ、息を切らしながら開店直後の窓口に飛び込んできました。

「すみません、これ、全部見てもらえますか」

Aさんはバッグから茶封筒を取り出し、中の一枚のチラシをカウンターに広げました。市役所からの固定資産税通知に同封されていたものです。そこには「2024年4月から相続登記が義務化、3年以内に手続きしないと10万円以下の過料の対象」と書かれていました。

 「母が亡くなって10年、実家の名義をずっと放置していて……。家を売るにせよ登記するにせよ、まずは中を空にしないと話が進まないと思って」

実は、登記手続きそのものに家の片付けは必須ではありません。書類があれば手続きは進められます。けれどAさんは「いま動かなければ」という焦りで、何もかも一気に進めずにいられない状態でした。

私は、過去の相続分については、原則として2027年3月31日までの猶予(※)があることをお伝えし、いったん落ち着いていただきました。リユースの現場では、焦りのあまり大切な遺品を相場より安く手放したり、後悔したりするケースが非常に多いからです。

(※改正法施行日か、相続を知った日のいずれか遅い日から3年以内)

「形見の整理」の前に知っておきたい法律のこと

今回のケースは、相続から10年経過しているので問題ありませんでしたが、相続が発生してからまだ日が浅い(亡くなって3か月以内など)場合、さらに注意が必要です。

価値のある遺品(宝飾品や高級時計など)を勝手に売却して現金化すると、民法の「単純承認」とみなされるリスクがあります。これは「相続をすべて受け入れた」と判断される行為で、後から親の多額の借金が発覚しても「相続放棄」ができなくなる恐れがあるのです。

最終的な線引きはケースごとに弁護士・司法書士の判断になるので、迷ったら必ず専門家に確認してください。相続放棄を検討する余地がある場合は、不用意に遺品を処分・売却しないことが鉄則です。

段ボールの中には、お母様の使い込まれた着物、変色した腕時計、写真アルバム、印鑑入れ。一つひとつに、母の暮らしの気配がそのまま残っていました。
買取が成立したのは着物と宝飾品の一部のみ。残りの多くは「ご自宅で吟味された方がいい品です」とお伝えして保留にしました。形見の品は、持ち帰っていただきました。

レジの精算を済ませ、Aさんが店を出ようとしたとき、段ボールに残った形見を見下ろしてぽつりと言いました。

「もっと早く、正しい順序を知っていれば、こんなに慌てずに済んだのに」

私は、何も言えませんでした。10年前にお母様を亡くしたあの日から、この日までの長い時間が、その背中の小さな段ボールに全部詰まっているように見えたからです。慌てて手放さなくてよかったと思う一方で、そもそも誰もAさんに「正しい順序」を教えてあげなかったことが、ずっと胸に残りました。

過去の相続も2027年3月末まで。まずは「無料相談」から

相続登記は、慌てて遺品整理に走るより、まずは法律の専門家へ相談するのがおすすめです。

市区町村の無料相談窓口や司法書士会の無料相談会など、入り口はいくつもあります。「お金がかかりそう」と尻込みする前に、無料の窓口を一度叩いてみてほしい。現場で何人もの方を見送ってきた身として、そう思います。

相続のことで心当たりがある方は、お住まいの自治体や司法書士会のホームページで「相続 無料相談」と検索してみてください。登記の義務化に焦って、大切な思い出まで慌てて処分してしまう必要はありません。正しい知識を得てから進めていきましょう。


ライター:たるみくまお

リユース業界での買取窓口業務を経て、現在は技術商社に勤務する現役ビジネスマン兼Webライター。古物商許可証を保有し、ブランド品・高級時計の査定現場で数多くのお客様と向き合ってきた経験を持つ。現職では技術商社の最前線に身を置き、ITをはじめとする幅広い分野の知見を日々積み重ねている。また、過去に借金を抱えた経験から、マネーリテラシーの重要性を痛感し、現在も金融知識の習得を続けている。二次流通市場の裏側から、お金のリアルな話まで、現場で得た実体験をもとに等身大の言葉で発信中。


※相続登記や相続放棄の判断は、個別の状況(親族関係、財産構成、時期など)によって異なります。本記事は一般的な事例に基づいたものであり、個別の法的判断を保証するものではありません。具体的な手続きについては、必ず司法書士や弁護士などの専門家にご相談ください。

参考:「相続登記の申請義務化について」(法務省) 
「相続登記の申請義務化に関するQ&A」法務省

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