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「贈与税はかからない」孫名義の口座に“4,000万”振り込んだ祖父→10年後、税理士から明かされた事実に家族が“絶句したワケ”

  • 2026.5.30
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計や相続のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、子どもや孫の名義の口座に毎年コツコツとお金を積み立ててきた70代男性Kさんの体験談です。「家族のために良かれと思って」続けてきた愛情の積み立てが、相続発生時に「名義預金」と判定され、相続税の対象になった経緯をご紹介します。

「家族のために」と続けてきた、毎年の積み立て

Kさんは70代後半の男性。長年地方の中堅企業で勤め上げ、定年後はゆっくりとした暮らしを送っておられました。

子どもは長男・長女の2人。それぞれ独立して家庭を持ち、孫も2人います。Kさんには密かな楽しみがありました。

「孫たちが大人になったときに、少しでも力になれたら。そう思って、それぞれの名義で銀行口座を作って、毎年コツコツとお金を入れてきました」

長男・長女・孫2人、合計4つの口座に、毎年それぞれおよそ100万円ずつ。約10年間続けて、合計でおよそ4,000万円を積み立てたそうです。

「贈与税は年110万円までかからないと聞いていたので、年100万円までなら問題ないだろうと。家族には何も告げず、いつか『これだけ貯めてきたんだよ』と渡すつもりだったんです」

通帳と印鑑はご自宅の金庫で大切に管理。ATMや窓口での入出金も、すべてKさんご自身が行っていました。

税理士から告げられた、思いがけないこと

Kさんが亡くなった後、長男のLさんが税理士に相続税の申告を依頼した際、思いがけない展開が待っていました。

税理士から、4つの口座について確認が入ります。「これらの口座は、誰がいつ作って、通帳と印鑑は誰が管理し、預け入れや引き出しは誰が行っていましたか?」

すべての操作をKさんご本人が行ってきたこと、家族には積み立ての事実を伝えていなかったこと、孫たちは口座の存在自体を知らなかったことが明らかになります。

「贈与は、贈与する人と受け取る人の双方の合意があり、受け取った人がその財産を自由に管理・処分できる状態になって、初めて成立します。お父さまのケースでは、通帳と印鑑をご本人が管理されており、ご家族はその口座の存在もご存じなかった。これは贈与が成立していない『名義預金』として、相続財産に含めて申告する必要があります」

合計約4,000万円の名義預金が、丸ごと相続財産に加算された結果、ご家族には想定していなかった相続税の納付が発生したのです。

「贈与」と「名義預金」を分ける、いくつかの実務

税理士からは、生前贈与を確実に成立させるための実務についてもアドバイスがあったといいます。

第一に、贈与契約書を毎年作成し、双方が署名すること。第二に、振込先は受け取る人自身が日常的に使う口座とし、通帳・印鑑・キャッシュカードを本人が管理すること。第三に、受け取った人がその資金を自由に使える状態にしておく(極端な使用制限をかけない)こと。

なお、暦年贈与の基礎控除は年110万円ですが、110万円以下であっても、成立要件を満たさなければ贈与は成立しません。「110万円以下だから申告不要」と「贈与が成立しているか」は、別の論点として整理する必要があります。

気持ちを家族に届けるために、制度の理解を

名義預金は、税務調査でも問われやすい論点の一つだとされています。家族への愛情で続けてきた積み立てが、結果として相続税の負担を増やしてしまうケースは珍しくありません。

これから生前贈与をお考えの方は、税理士などにご相談のうえ、贈与契約書の作成や、受け取る側の口座管理の整理をされることをおすすめします。すでに名義口座をお持ちの方も、ご家族と早めに共有し、ご本人がその口座の存在と内容を把握できる状態にしておくことが、将来のトラブルを防ぐ第一歩になります。

家族を想う気持ちは何より尊いもの。だからこそ、その気持ちを家族にきちんと届けるための制度の使い方を一度確認してみる。それが、ご自身の想いを家族に伝える土台になっていきます。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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