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家計が苦しくなり保険の解約へ→担当者「保険料の負担がなくなる」“払済保険”を提案され…後日、40代男性が“絶句したワケ”

  • 2026.5.9
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「担当者の方にはちゃんと説明してもらったんですけど、あのときは家計のことで頭がいっぱいで…正直、半分も頭に入っていなかったと思います」

そう話してくれたのは、43歳男性・Aさん(仮名)。育児と住宅ローンが重なって家計が苦しくなり、保険を解約しようと担当者に相談したところ「払済保険」という方法を提案され、手続きをしたといいます。

説明は受けた。でも、理解していなかった。

数年後、FPとして保険証券を確認すると、Aさんは言葉を失いました。「こんなに保障が減っているとは、思っていなかった…」

「負担ゼロで保障継続」の裏側にある仕組み

払済保険とは、以後の保険料の払い込みをストップする代わりに、その時点の解約返戻金をもとに、保障額(保険金額)を買い換えて契約を継続させる仕組みです。

「保険料の負担がなくなる」「保障がゼロにはならない」という点は大きなメリットですが、家計のピンチで焦っている状態では、そのトレードオフ(失うもの)が正確に理解できないことがあります。

Aさんの場合、払済手続き後に起きたことは次の通りです。

死亡保障は800万円から220万円へ激減。さらに医療特約・がん特約といった特約はすべて消滅していました。

後から証券を見直してはじめて、「保障が続く」の意味が、自分の想像していた「今の保障内容のまま続く」とはまったく違っていたことに気づいたのです。

払済にする前に確認したい「資産の流動性」

もう一点、見落としていた事実があります。払済にした時点の解約返戻金と、そのまま解約した場合の受取額を比較すると、手続き直後はほとんど差がないことが一般的です。

つまりAさんのケースでは、解約して現金を手にし、家計の立て直しに充てるという選択肢もありました。しかし「払済」にしたことで、その資金は保険会社に据え置かれ、自由に使えない状態のまま、大幅に削られた保障を持ち続けることになったのです。

担当者が説明をしていても、理解しきれないまま手続きが進んでしまうのには理由があります。

まず、家計が苦しいタイミングというのは、多少なりとも精神的に追い詰められた状態です。「早く保険料の負担をなくしたい」という気持ちが先走り、細かい条件の確認が後回しになりがちです。さらに払済保険は仕組みが複雑で、「保障が続く」という部分だけが印象に残り、詳細な条件は理解できずに契約してしまうケースが多く見受けられます。

担当者が悪意を持って説明を端折っているわけではありません。制度が複雑であることに加え、家計が苦しいときは「早く負担をなくしたい」という心理が働き、詳細な条件や「解約して現金を受け取る」という選択肢との比較が後回しになりやすいのです。

また、据え置かれた積立金は、契約時の予定利率で運用され続けます。近年のようにインフレ(物価上昇)が懸念される環境では、将来受け取る額の実質的な価値が目減りするリスクも検討材料に含めるべきでしょう。

家計が苦しいとき、本当に取るべき選択肢

払済保険が必ずしも悪いわけではありません。

ただ、担当者の提案をその場で受け入れる前に、次の選択肢と必ず比較してください。

  1. 保障額の減額:死亡保険金の金額を下げることで、保険料を抑えつつ必要な特約を残せる場合があります。特約を残せるため、医療保障を守りたい方には払済より有効な場合があります。
  2. 解約+掛け捨て保険への切り替え:解約返戻金を受け取り、安価な掛け捨ての死亡保険・医療保険に入り直す方法です。保障内容を整理しながらコストを下げられるため、家計の立て直しと保障確保を同時に実現できます。

FPの視点から言えば、貯蓄型保険は保障と貯蓄を両立できる反面、純粋な投資信託等に比べると手数料(付加保険料)が高く設定されている傾向があります。

そのため、家計の立て直しを最優先にするのであれば、「今の保険を継続・変更する」という選択肢だけでなく、「一度解約し、保障と資産運用を切り分けて再構築する」という選択肢も有力な候補として検討しましょう。(※ただし、払い込み完了後の契約や健康状態によっては解約が不利になるケースもあるため、個別の状況は必ず専門家にご確認ください。)

もし現在、万が一の際の保障を確保しつつ家計のコストを抑えたいのであれば、貯蓄型保険を解約して戻ってきた資金を運用に回し、保障は割安な掛け捨ての定期保険で補うという構成も一案です。
いわゆる「保険は保障、貯蓄(投資)は資産運用」と役割を分ける考え方は、コストの透明性が高く、ライフステージに合わせて保障額を調整しやすいという合理的なメリットがあります。

ただし、年齢や健康状態によっては、新規加入する定期保険の保険料が割高になったり、加入自体が難しくなったりする場合もあります。現在の契約内容と、最新の保険商品を慎重に比較検討することが大切です。

まとめ

「担当者はきちんと説明している。でも、自分はそれを正しく受け取れているか?」 家計が苦しいときほど、この自問自答が大切です。保険は大きな買い物であり、出口戦略(解約や払済)もまた、資産形成における重要な決断です。

提案を受けたら「少し考えさせてください」と一度持ち帰り、第三者のFPなどにセカンドオピニオンを求める。その一手間が、数年後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐ一番の防衛策になります。


※保険契約の詳細や適用条件は、各保険会社や商品によって異なります。特に解約後の再加入には健康状態による制限等があるため、お手元の保険証券を確認の上、必ず保険会社または専門家にご相談ください。

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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