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『大腸がん』と診断された50代男性→「がん団信に入っているから、住宅ローンは心配ない」はずが…銀行からの回答に“絶句”

  • 2026.5.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務め、住宅ローンや家計設計のご相談に日々向き合っている中川です。

「がん団信に入っているから、住宅ローンは心配ない」

そう信じて毎月の返済を続けてきた方は少なくありません。しかし、いざ診断が下りた瞬間に「対象外です」と告げられるケースがあるのです。

今日は、「がんになればローンはチャラ」と思っていた50代のご夫婦が、団信の約款に書かれた一行で立ち止まることになった出来事をご紹介します。

「がん団信に入ったから安心」と信じた40代の決断

Aさん(仮名)は現在52歳の会社員。専業主婦の奥さまと二人暮らしです。

40代前半でマイホームを購入し、4,000万円の住宅ローンを35年で組みました。返済開始からおよそ10年。残債は約3,000万円、残期間は25年ほど、金利1.0%、毎月の返済は約11.3万円という計算でした。

契約のとき、銀行の窓口で勧められたのが「がん団信」です。一般の団信に上乗せする特約で、保険料は金利上乗せという形でした。

「がんになれば、住宅ローンはチャラになる」

ご主人はその一言で安心し、約款を細かく読まないまま署名しました。家族の将来を守れた、そう思えた瞬間でした。

大腸検査で「上皮内がん」、しかし保障は下りなかった

転機は昨年の人間ドックでした。

ご主人の便潜血検査に異常が出て、精密検査の結果、大腸の「上皮内がん」と診断確定したのです。
幸い早期発見で内視鏡治療によって取り切れ、命に別状はありませんでした。家族で胸をなで下ろした直後、Aさんは銀行に連絡を入れます。

ところが返ってきた答えはこうでした。

「お客様が加入されているプランでは、保障の対象は『悪性新生物』のみで、『上皮内新生物』は対象外となっております」

慌てて契約書類を取り出すと、約款にその一行が記されていました。「がんになればチャラ」と思い込んでいた前提が、文字どおり一行で崩れた瞬間です。残ったのは、これから25年払い続ける約3,000万円の残債でした。

「がんになったのに、ローンだけが消えない」奥さまも言葉を失ったといいます。

商品ごとに保障範囲は違う

Aさんが加入していたのは「悪性新生物」のみを対象とするタイプで、上皮内新生物は対象外という商品でした。実は、がん団信と一括りにされがちですが、加入した時期や金融機関の商品によって保障範囲は大きく異なります。

2026年5月時点で住宅金融支援機構の新3大疾病付機構団信は「病理組織学的所見により診断確定されたとき」に保障される診断確定型です。ただし、上皮内がんと皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんは保障対象に含まれません。

近年の新商品では、上皮内がんも同額給付するもの、減額給付にするもの、対象外にするものと、商品ごとに保障範囲が分かれています。
「特約を外して保険料を浮かせよう」と途中で解約しても、原則として後から入り直すことはできません。50代になってから借換で別の団信に切り替えようとしても、既往症の告知で謝絶される可能性が高いのが現実です。

契約書を一度、自分の目で読んでみてください

Aさんはいま、収入保障保険やがん保険、繰上返済の原資づくりなど、団信以外の備えを組み直しているところです。
「あのとき約款の一行を読んでいれば」と何度も口にされました。

がん団信は、加入していれば必ずローンが消える制度ではありません。商品ごとに「悪性新生物のみ」か「上皮内新生物まで含むか」が決まっています。

ご自宅の契約書を一度引き出しから出し、保障範囲の項目に目を通してみてください。数分の確認が、今後の家計を守ることにつながります。


※がん団信の保障範囲や支払い条件は、各金融機関および保険会社によって細かく規定されています。実際の受給可否については、必ずご自身の契約内容を確認し、加入先の金融機関へお問い合わせください。

執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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