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父から“毎年約100万円”を振り込まれ続け…→「自分の口座だから問題ない」はずが?10年後、50代息子が知った“思わぬ事実”

  • 2026.5.10
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。子どもの名義で口座を作り、親が将来のためにお金を貯めておく。

このような管理は珍しくありません。しかし相続になると、「名義」と「実際に管理していた人」が違う場合、そのお金が誰のものかで判断が分かれます。

結果として、数百万円単位の財産が想定外に分け直しになることもあります。この記事では、実際の相談事例をもとに、どこで判断が分かれるのかを整理します。

名義預金が相続財産と判断されるケース 800万円の口座をめぐる遺産分割の実例

50代の会社員の方からの相談です。

父親が亡くなり、相続の手続きを進める中で問題が起きました。

家族は、母と兄弟2人の合計3人。父親の財産としては、自宅と預金約2,000万円があり、これを3人で分ける前提で話し合いを始めていました。その中で、相談者名義の口座に約800万円あることがわかりました。

この口座は、相談者が学生の頃に父親が用意したもので、その後も名義はそのままに、父親が通帳と印鑑を管理しながら10年以上積み立ててきたものでした。毎年50万円〜100万円ほどが入金され、10年ほどで合計800万円程度になっていました。

ただし、相談者自身はこれまで1〜2回程度しか引き出したことがなく、日常的に使っていたわけではありません。相談者としては「自分の名前の口座で、残高も800万円あるのだから自分の財産だろう」という認識でした。

しかし、他の相続人からは「実際には父が管理していたお金で、もともとの2,000万円とは別に扱うのはおかしいのではないか」という意見が出ました。

そこで専門家に確認したところ、「名義が子どもでも、通帳や印鑑を親が持ち、入出金も親が行っていた場合、その800万円は父親の財産とみなされる可能性が高い」という見解を得たとのことでした。

税務実務においては、前述の条件に当てはまる場合、その預金は親の財産(名義預金)とみなされることが一般的です。

もしこの800万円が父親の財産と判断されると、相続財産は2,000万円ではなく合計2,800万円になります。法定相続分(母1/2、子2人で1/4ずつ)で単純計算すると、1人あたりの取り分は当初の想定から大きく変わる可能性があります。

そのため、話し合いは感情的にも対立しやすい状況になりました。最終的には、この800万円も含めて再度分け方を決め直すことになり、協議がまとまるまでに3か月以上かかりました。

800万円が全員の取り分に 。1人200万円以上動くインパクト

このケースで重要視されるのは、「口座の名義」ではなく「実質的に誰がその資金を管理・支配していたか」です。

たとえば、名義が子どもでも、通帳や印鑑を親が持ち、入出金も親が行っている場合、そのお金は親の財産と判断されやすくなります。

  • 管理状況: 税務上も遺産分割協議上も「親の財産(名義預金)」と判断されるケースが多く見られます。ただし、最終的な判断は個別の事情により異なるため、専門家への相談が必要です。
  • 贈与の成否: 毎年積み立てていたとしても、贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意が必要です。子どもが預金の存在を知らなかったり、自由に使えない状態であれば、正式な贈与として認められないケースが少なくありません。

さらに今回のように、800万円規模になると、1人あたり200万円以上分け方が変わるため、相続人同士の認識のズレがそのまま対立につながりやすくなります。

トラブルを防ぐ分かれ目 「名義だけ口座」をどう扱うか

名義預金のトラブルは、「見た目と実態のズレ」で起きます。そのため、防ぐには名義と実際の管理を一致させることが重要です。子どもの財産にするのであれば、通帳や印鑑を本人に渡し、自由に使える状態にしておく必要があります。少なくとも「いつでも引き出せる状態」であることが一つの目安になります。

  • 管理権限の譲渡: 子どもの財産とするならば、通帳や印鑑を本人に渡し、本人が自由に管理・運用できる状態にします。
  • 贈与の証拠を残す: 贈与契約書を作成する、通帳に履歴を残すなど、贈与の事実を客観的に証明できるようにしておくことが、将来の税務調査や親族間のトラブル対策として有効です。

また、贈与として渡すのであれば、毎年いくら渡したのかを明確にし、たとえば年間110万円以内であっても、贈与の意思と受け取りの認識が必要です。これにより、非課税枠の範囲内で整理することも考えられます。

一方で、「名義は子ども、管理は親」という状態が最もトラブルになりやすく、今回のように800万円単位で分け方が変わる原因になります。

相続においては、数百万円の認識の差が大きな不公平感につながります。早いうちに「家族で共有認識を持っておくこと」や、必要に応じて税理士などの専門家に相談しておくことが大切です。


※実際の相談事例をもとに、個人が特定されないよう内容を再構成したケースです。
※贈与税の基礎控除額等は税制改正により変更される可能性があります。最新の情報は国税庁ウェブサイト等でご確認ください。
※実際の相続税申告や遺産分割に関する判断については、必ず税理士や弁護士などの専門家にご相談ください。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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