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“8,000万円のタワマン”を購入した30代夫婦→「世帯手取りが月60万円だから余裕」のはずが…3年後、二人を襲った“悲惨な事態”

  • 2026.5.10
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

「夫の収入だけだと4,500万円の家しか買えないけれど、私の収入も合わせれば8,000万円のタワーマンションが買える!」

30代の共働き夫婦が不動産屋から勧められたのは、夫婦が別々にローンを組み、お互いが連帯保証人になる「ペアローン」でした。

夫が4,500万円、妻が3,500万円を借り入れ、世帯手取り月60万円から毎月22万円を返済する。

「今の世帯手取りが月60万円だから余裕だね。しかもペアローンなら住宅ローン控除(減税)が夫婦ダブルで受けられてお得!」と、契約書にハンコを押しました。

しかし、この「ダブルで借りる」という選択が、後に人生設計を根底から狂わせる鎖になることがあります。

妻の収入減で家計が急変。売るに売れない「オーバーローン」の恐怖

3年後、優雅な生活は突然終わりを告げます。

妻の妊娠・出産を機に、想定外の事態が起きました。保育園の送迎などで妻が時短勤務にならざるを得ず、手取りが月25万円から「12万円」に激減してしまったのです。

しかし、ペアローンの引き落としは止まりません。妻の口座からは、手取り12万円のうち「10万円」が住宅ローンとして消えていきます。

夫のローン12万円と合わせ、毎月22万円の返済。そこにタワーマンション特有の高額な修繕積立金・管理費(約5万円)が乗り、「毎月27万円がただ住むだけで飛んでいく」という火の車状態に陥りました。

「こんなに苦しいなら家を売ろう」と思っても、限界まで借りた8000万円の物件は、売却額よりもローンの残債が上回る「オーバーローン」状態。数百万円の現金を補填しなければ家を手放すことすらできず、 逃げ場を失ってしまうのです。

ペアローンを選択する前に知っておきたい「コストと構造」

信用金庫で18年間、数多くのローン審査に携わってきた経験から言えば、ペアローンは銀行・不動産会社・借り手の三者にとって「高額物件への扉を開く鍵」として機能しています。

不動産会社にとって、物件価格が上がれば仲介手数料などの収益も比例して増えるという収益構造があることは否定できません。また、銀行にとってもペアローンは、単独ローンでは融資が難しい高額物件でも「返済能力がある」と判断して契約を結べるメリットがあります。

しかし、借り手側が冷静に見極めるべきは、契約が2本になることで発生する「見えないコスト」です。
例えば、借入額の2.2%(税込)の事務手数料がかかる場合、8,000万円のペアローンでは手数料だけで176万円という多額の初期費用が発生します。

さらに、ペアローンは個別に契約を結ぶため、以下の諸費用も一般的に「2倍」になります。

  • 印紙税(契約書に貼る税金): 2通分
  • 登記費用(登録免許税・司法書士報酬): 抵当権設定が2件分
  • 銀行の事務手数料(定額型の場合): 2名分

また、「団信(団体信用生命保険)」のリスクも見逃せません。どちらか一方が亡くなった際、単独ローンなら全額消えるはずの借金が、ペアローンでは「亡くなった側の持ち分」しか消えません。残された側は、一人分の収入で自分のローンを返し続けなければならないのです。

「夫婦の片方の収入」で買える家が、本当の安心

ペアローンは、税制優遇などのメリットがある一方で、「完済まで夫婦共に高い収入を維持し続けること」が絶対条件の、極めてタイトな返済計画です。

人生には、出産、育児、病気、介護など、収入が変動する局面が必ずあります。マイホーム購入の鉄則は、無理に借入額を増やすのではなく、「万が一、どちらか片方の収入が途絶えても、なんとか返していける金額」に抑えることです。

目先の「減税でお得」「月々払えそう」という数字のマジックに踊らされず、最悪の事態を想定できる冷静さこそが、家族の笑顔を守る最大の防衛策になります。


※住宅ローンの審査基準や諸費用、団信の保障内容は金融機関によって異なります。ペアローンの検討にあたっては、将来のライフイベントに伴う収支変動を十分にシミュレーションし、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

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