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転勤で自宅を賃貸に出した30代男性→「確定申告で年40万円が戻る」はずが…再入居後、発覚した事実に“血の気が引いたワケ”

  • 2026.5.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務め、住宅ローンや家計のご相談に日々向き合っている中川です。

毎年の確定申告で、住宅ローン控除による還付金を楽しみにしている方は多いでしょう。しかし、その控除には「住んでいること」という適用条件があります。知らぬ間に対象外になっていた。そんな落とし穴にはまってしまった方のお話を伺いました。

今日は、転勤で自宅を賃貸に出したときに起こる、住宅ローン控除の意外な落とし穴をご紹介します。

マイホーム購入で「毎年まとまった金額が戻る」と喜んでいた日々

今回お話を伺ったAさん(仮名)は、30代後半の会社員男性。

数年前、ご家族で住むマイホームを購入されたそうです。

「ちょうど住宅ローン控除の条件が厚かった時期で、年末残高に応じて毎年40万円ほど戻っていました。この金額が長く続くと信じていたんです」

毎年の確定申告でまとまった金額が戻る。

Aさんはその一部を子どもの教育費に回し、残りは家族旅行の資金に充てる計画まで立てていたと言います。

毎年戻ってくる控除額は、Aさん家族の家計を支える大きな柱でした。

転勤で賃貸に出した翌年、気づかずに確定申告を続けていた

転機は購入から数年後、勤務先から遠方への転勤辞令が出たことでした。

Aさんはご家族とともに転勤先へ引っ越し、空いた自宅は知人の紹介で賃貸に出すことを決めたのです。

「その年も翌年も、これまで通り確定申告はしていました。ただ、家賃収入の申告が加わったこともあり、還付金が変わっているのを家賃の影響だろうと思い込んでいたんです…」

転勤から3年後、Aさんは元の勤務地へ戻り、家族も再び自宅に住み始めました。

そんなある日、マネーセミナーで耳にしたひと言に血の気が引きます。

「賃貸に出している期間は、住宅ローン控除の対象外ですよ」

調べてみると、確かに自己居住を前提にした制度です。

しかも、再入居後に控除を再開するには、原則として転勤前に税務署へ「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出しておく必要がありました。やむを得ない事情があれば事後提出による救済が認められる運用例もありますが、「単なる失念」では認められない可能性が高く、今回のケースもまさにそうした結末となりました。

届出書を出していないAさんの控除は再開されず、再入居後も残っていたはずの適用期間が丸ごと消えてしまったのです。

金額にすれば数十万円単位の差。ご家族との旅行資金として想定していた額が、まるごと消えていた計算でした。

「申告できている」と「控除が適用されている」はイコールではない

Aさんの誤算は、「確定申告が受理されている=控除が適用されている」という思い込みにありました。

例えばご本人だけ単身赴任し、家族が自宅に住み続ける場合。将来ご本人が戻る見込みがあれば、控除が続くケースもあります。

賃貸に出した場合でも、事前の届出書さえあれば再適用の道が残っていました。

届出書そのものは税務署に提出する1枚の書類です。

ただ、これを知らないまま家を空けてしまうと、後からさかのぼって適用させることはできません。

転勤の可能性がある方は、引越しの前に一度、所轄の税務署に相談してみてください。

判断が難しい個別事情は、税理士に確認しておくと安心です。

「あの一枚の届出書を知っていれば」。そんな後悔を、誰にもしてほしくないものです。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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