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病気の父を“扶養”に入れた50代男性→「保険料の負担も軽くなる」はずが…1年後、健保から届いた“1通の通知”にあ然。

  • 2026.5.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計や社会保険のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、離れて暮らすご両親の生活を支えるため、勤め先の健康保険の被扶養者にお父さまを入れた50代会社員Nさんの体験談です。「親孝行になるし、保険料の負担も軽くなる」と前向きに進めた手続きが、年金収入の基準超過によって遡って取り消された経緯をご紹介します。

「親孝行になるなら」と進めた、扶養手続き

Nさんは50代後半の会社員。奥さまと独立されたお子さん2人の4人家族で、ご両親は地方で2人暮らしをされています。

70代のお父さまは数年前に大病を経験され、現在は通院を続けながら療養中。医療費の負担が重くなり、Nさんは仕送りを少しずつ増やしていたそうです。

ある日、職場の同僚との会話で、こんな話を耳にしました。

「親を健康保険の扶養に入れている人もいるよ。生計を支えていれば認められる場合があるんだって」

Nさんは早速、勤め先の総務担当者に相談。「お父さまへの仕送りで生活を支えているなら、被扶養者認定の申請を」と案内され、必要書類を集めて手続きを進めたそうです。

「親孝行のつもりで前向きに手続きしました。保険証も無事に届いて、家族みんなで安心していたんです」

1年後、健康保険組合からの郵便

事態が動いたのは、認定から1年ほど経った頃でした。

健康保険組合からの分厚い封筒の中身は、「被扶養者の収入確認」を求める書類です。

お父さまから年金振込通知書を取り寄せて確認すると、公的年金収入は年間およそ200万円。後日、健康保険組合から届いた通知には、こう書かれていたといいます。

「ご家族の公的年金収入は認定基準額を超えております。被扶養者認定の要件を満たさないため、認定を取り消しのうえ、その間の医療費の保険負担分について返還をお願いいたします」

「年金も収入」「遡って取り消される」

お客様窓口で受けた説明は、Nさんにとって初めて聞く内容ばかりだったといいます。

健康保険の被扶養者には年間の収入要件があります。一般的には、60歳未満の方は年130万円未満、60歳以上の方や障害年金を受給されている方は年180万円未満が認定基準とされています。そしてここで重要なのは、「収入」には給与所得だけでなく、公的年金や個人年金、不動産所得なども含まれるという点でした。

「ご申請の時点で認定要件を満たしていなかったということになります。認定の効力は当初に遡って取り消され、その間に保険から給付した医療費の保険負担分は、所定の手続きでご返還いただきます」

その後、Nさんはお父さまが認定中に健康保険から給付されていた医療費について、返還手続きが必要になると説明を受けました。お父さまはその間、国民健康保険に切り替える手続きを取られたそうです。

なお、被扶養者の認定基準は健康保険組合によって運用が異なる場合があります。税法上の扶養親族と健康保険上の被扶養者では収入の判定方法も基準額も別だという点も、Nさんは後から知ったといいます。

「親を扶養に入れる」前に、収入要件をひとつずつ確認

親御さまを健康保険の被扶養者に入れる手続きそのものは、所定の要件を満たせば可能な制度として運用されています。決して悪い選択肢ではありませんが、収入要件の確認は申請前に必ず済ませておく必要があります。

これから親御さまを扶養に入れる方は、申請の前に三つご確認ください。第一に、親御さまの公的年金収入の年額(年金振込通知書で確認できます)。第二に、加入する健康保険組合の認定基準額。第三に、給与・年金以外の収入(不動産所得、個人年金、雑所得など)の有無です。

すでに被扶養者に入れている方も、年1回は年金額や収入の変動をご自身でも確認しておくと、遡及取消のリスクを下げられます。

ご両親への仕送りや扶養は、お子さま側の心遣いから生まれるものです。だからこそ、その想いが制度の中できちんと機能するように、要件をひとつずつ押さえておくようにしましょう。


※健康保険の被扶養者認定基準や、同居・別居における仕送り額の最低ラインの判定、過去に遡る取消の運用ルールは、ご自身が加入している健康保険組合の規約によって細かく異なります。親御様の扶養手続きを具体的に検討される際は、自己判断せず、必ず事前に勤務先の総務担当者や、加入している健康保険組合の窓口、または社会保険労務士などの専門家へ直接ご相談ください。

執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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