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『月15万円が60歳まで支給される』“就業不能保険”に加入→10年後、40代会社員を襲った“残酷な結末”【お金のプロは見た】

  • 2026.5.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計や保険のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、就業不能保険に10年間加入し続けてきた40代会社員Eさんの体験談です。

長時間労働とハラスメントからうつ病を発症し、いざ請求してみると、「支給対象外」という思いがけない事実が判明したケースをご紹介します。

「月15万円が60歳まで」という安心感

Eさんは40代前半の会社員。

奥さまと小学生のお子さん2人と暮らす4人家族です。

第一子が生まれた10年ほど前、「働けなくなっても月15万円が60歳まで支給される」というパンフレットに背中を押され、就業不能保険に加入しました。

月々の保険料は1万円。10年間払い続けた総額は120万円。住宅ローンと教育費に追われる家計のなかでも、「家族を守るため」と払い続けてきたといいます。

うつ病で休職、約款を読み返してわかったこと

事態が動いたのは、マネジメント職に昇格した翌年でした。

業務量が増え続け、上司との関係も厳しく、夜10時を過ぎての帰宅が常態化。ある朝、体が動かなくなり、心療内科で「うつ病」と診断され、最低3か月の休職を告げられます。

「ようやく保険の出番だ」と保険会社に連絡したEさん。しかし、返ってきたのは思いがけない言葉でした。

「お客さまの契約は、精神疾患を支給対象外とする商品です」

慌てて10年前の約款を取り出すと、たしかに小さな文字でこう書かれていました。「精神および行動の障害は、保険金支払事由に該当しないものとします」。

「パンフレットの『月15万円・60歳まで』という見出しだけが頭に残っていて、約款の細部までは確認していませんでした」

約款で「対象外」と定められている以上、契約上、Eさんの請求が認められる余地はありませんでした。10年間保険料を払い続けてきましたが、今回は支給対象外となったのです。

救ってくれたのは「傷病手当金」

幸い、Eさんは会社の健康保険から傷病手当金を受給することができました。

傷病手当金は、健康保険の被保険者が病気やケガで働けなくなった際、標準報酬月額のおよそ3分の2を、通算1年6か月を上限に支給する制度です。2022年の改正で「連続」から「通算」に変わり、復職と再休職を繰り返してもカウントが続きます。

長期化した場合は、初診日から1年6か月を経過したのち、障害年金の請求を検討する余地もあります。

あわせて、勤務先によっては休職中の給与補填や見舞金など独自の制度を備えている場合もあります。人事や健康保険組合に一度確認してみる価値はあるはずです。

「民間の就業不能保険は受け取れませんでしたが、公的な仕組みが想定以上に家計を支えてくれました」

Eさんの家計は公的制度によって救われたのです。

パンフレットの数字だけで決めない

就業不能保険は商品ごとに、精神疾患の取扱い・免責期間・認定要件が大きく異なります。

これから検討される方は、パンフレットの「月◯万円・◯歳まで」という見出しだけでなく、約款で「精神疾患は対象か」「免責期間は何日か」「認定基準はどうか」を必ずご確認ください。すでに加入されている方も、一度ご自身の契約を読み返してみることをおすすめします。

民間の保険は、公的制度の上乗せとして検討するのが本筋。まずは傷病手当金や障害年金の内容を押さえた上で、ご自身に合う保険を選ぶ視点が大切だと、私は考えています。


※民間の就業不能保険における「就業不能状態」の定義(医師の診断書だけで良いのか、国が定める障害等級への該当が必要かなど)や、うつ病に対する給付回数・期間の上限は、各生命保険会社の保険商品によって厳格に異なります。また、傷病手当金の正確な受給手続きや勤務先独自の付加給付の有無については、自己判断せず、ご契約中の保険会社のカスタマーセンターや、お勤め先の人事総務部、または健康保険組合の窓口へ直接ご相談ください。

執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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