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「贈与しておけば安心」子どもや孫に“毎年110万円ずつ”送り続け…→10年後、70代男性を襲った“想定外の事態”【お金のプロは見た】

  • 2026.4.14
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして主に家計相談やお金に関する情報発信などを行っている柴田です。

73歳男性・Aさん(仮名)から、こんな言葉が出てきました。「子どもや孫に毎年110万円ずつ贈与してきたんです。10年以上続けてきたのに、ルールが変わったと聞いて急に不安になりまして」

Aさんは長年、暦年贈与を活用して相続対策を進めてきました。ところが2024年からの制度改正を知って、慌てて相談に来られたのです。

「3年以内」が「7年以内」に延長された

そもそも相続税には「生前贈与加算」という仕組みがあります。これは、亡くなった人が生前に贈与した財産のうち、一定期間内のものを相続財産に戻して相続税を計算する制度です。せっかく贈与で財産を減らしても、亡くなる直前の駆け込み贈与は節税として認めない、というのが趣旨です。

この期間が、従来は「亡くなる前3年以内」でした。それが2024年1月1日以降の贈与から、段階的に「7年以内」へと延長されたのです。延長された4年分(4〜7年前の贈与)については、合計100万円までは加算対象外という緩和措置はあるものの、それを超える部分はすべて相続財産に持ち戻されます。

いつから「7年ルール」が本格適用されるのか

ここで気をつけたいのが、いきなり全員に7年ルールが適用されるわけではないという点です。対象になるのは2024年1月1日以降の贈与なので、フルに7年分が加算されるのは2031年1月以降に発生した相続からとなります。それまでは段階的に加算期間が延びていくイメージです。

なお、すでに贈与済みの2023年12月31日以前の分については、従来どおり3年ルールが適用されます。Aさんが過去に行ってきた贈与がすべて無駄になる、というわけではありません。

暦年贈与と相続時精算課税、どちらが有利?

実は2024年の改正では、もう1つ大きな変更がありました。

相続時精算課税制度に、年110万円の基礎控除が新設されたのです。相続時精算課税は、累計2,500万円までの贈与を非課税にできる代わりに、相続時にすべて持ち戻されるという制度でした。従来は使い勝手が悪く敬遠されがちでしたが、改正後は年110万円までの贈与なら持ち戻しの対象にもならず、申告も不要になりました。

しかも7年ルールの適用も受けません。高齢で「7年も生きられるか分からない」という方や、特定の子・孫にまとまった財産を渡したい方にとっては、相続時精算課税のほうが有利になるケースが増えています。一方、相続までまだ十分な時間があり、複数の人に少しずつ贈与したい方は、これまでどおり暦年贈与が有効です。

まとめ

「毎年110万円贈与しておけば安心」という時代は終わりました。これからは、より早い時期から、より計画的に贈与を始めることが節税の鍵になります。すでに70代以上の方は、暦年贈与にこだわらず相続時精算課税の活用も検討する価値があります。

そしてもう1つ忘れないでほしいのが、「相続税対策」と「相続対策」は別物だということです。税金を1円でも減らすことばかりに気を取られて、誰に何をどう渡すかという話し合いを後回しにすると、残された家族の間でトラブルの火種になりかねません。「うちは仲がいいから大丈夫」と思っていたご家族が、いざ相続の場面で揉めてしまうケースは本当に多いものです。

円満に相続手続きを進められるよう配慮することこそ、節税と同じくらい大切な「家族への贈り物」になります。判断に迷ったら、税理士やFPに早めに相談することをおすすめします。     


柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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