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「8,000万円のマンション」を購入した40代夫婦→「2人なら余裕で返せる」はずが…6年後、二人を待ち受けていた“悲惨な結末”

  • 2026.4.13
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして主に家計相談やお金に関する情報発信などを行っている柴田です。

先日、相談に訪れた会社員・Aさん(44歳・男性)から、こんな言葉が出てきました。「離婚することになって家を売ろうとしたら、銀行に『それはできません』と言われて……どうすればいいかまったくわからない状態です」

Aさん夫婦が都内のマンションを購入したのは38歳のとき。夫婦それぞれが4,000万円ずつ、合計8,000万円のペアローンを組みました。当時は共働きで世帯年収も高く、「2人なら余裕で返せる」と判断していたといいます。しかし6年後に離婚の話が持ち上がり、事態は一変しました。

ペアローンは「夫婦仲良し前提」の制度

ペアローンとは、夫婦がそれぞれ別々に住宅ローンを契約し、お互いの連帯保証人になる仕組みです。借入額を増やせる・住宅ローン控除をそれぞれ受けられるというメリットがある一方、夫婦2人が揃っていることを前提とした制度でもあります。

離婚した場合、「自分の分だけローンを外したい」は原則通りません。銀行との契約上、どちらか一方が勝手にローンを解消したり、連帯保証から外れたりすることはできないのです。「離婚したのだから関係ない」は、銀行には通じません。

このように、家庭事情の急変という事態に対して、柔軟に対応するのは難しいのです。

売ろうとしたら「オーバーローン」だった

Aさん夫婦がまず考えたのは、マンションを売って残債を清算する方法でした。しかし不動産会社に査定を依頼したところ、市場価格は約7,000万円。一方、2人合わせたローン残債は約7,600万円。600万円のオーバーローン(残債が売却額を上回る状態)でした。

通常の売却では、売却代金でローンを完済しないと抵当権が外れず、買い手に引き渡せません。オーバーローンの場合は差額を自己資金で補填する必要があり、Aさん夫婦には手元にその余裕がありませんでした。「売れない・でも払い続けられない」という八方塞がりの状態です。

なお、オーバーローンかどうかは残債証明書(残高証明書)を銀行から取り寄せ、不動産査定額と比較することで確認できます。離婚協議が始まった段階で、まずここを確認することが重要です。

「どちらかが住み続ける」も簡単ではない

「売れないなら、どちらかが住み続ければいい」という選択肢もありますが、これも一筋縄ではいきません。住み続ける側が相手のローンを引き受けるには、銀行の審査を通じた借り換え・名義変更が必要です。

しかし8,000万円のローンは、もともと夫婦2人の収入があってこそ通った金額です。単独の収入では審査が通らないケースがほとんどで、Aさんのケースでも銀行から「単独での借り換えは難しい」と回答されました。

養育費の支払いが加わる場合は、さらに状況が厳しくなります。毎月のローン返済と養育費が重なると、家計は一気に逼迫するでしょう。「子どもの環境を変えたくないから住み続けたい」という気持ちは理解できますが、無理な選択が後々の生活破綻につながるリスクもあります。

ペアローンを組む前に確認すべき4つのこと

Aさんの失敗は、決して珍しいケースではありません。ペアローンを検討している方は、事前に以下の3点を必ず確認してください。

①離婚・死別・収入減のシナリオを夫婦で話し合う:「そんな縁起でもない」と思うかもしれませんが、ペアローンはリスクも2人で背負う契約です。「もし片方が働けなくなったら?」「離婚したら?」を事前に想定しておくことが、後々の選択肢を広げます。というよりも、リスクヘッジの観点からも必ず話し合っておくべきです。

②単独収入でも返済できる金額に抑える:理想は、どちらか一方の収入だけでも返済が続けられる借入額にすることです。2人の収入をフルに使った借入額は、一方に何かあった瞬間に崩壊するリスクがあります。

③リセールバリューの高い家を選ぶ:いざとなれば売れる物件を選んでおくことが、最大のリスクヘッジになります。駅近・都市部・築浅など、資産価値が落ちにくい物件であれば、オーバーローンに陥るリスクを抑えられます。「気に入った家」だけでなく「売れる家かどうか」という視点を、購入前に必ず持つようにしましょう。

④純資産をプラスに保つ意識を持つ:純資産とは、資産の合計からローン残債などの負債を差し引いた金額です。購入直後はローン残債が大きくマイナスになりがちですが、繰り上げ返済や資産形成を続けることで、純資産をできるだけ早くプラスに転じさせることが重要です。純資産がプラスであれば、万一売却が必要になった際も手元資金で対応できる余地が生まれます。

まとめ

ペアローンは、夫婦の収入を最大限に活かせる反面、2人が同じ方向を向き続けることを前提とした制度です。離婚・収入減・死別といった人生の変化が起きたとき、身動きが取れなくなるリスクは決して小さくありません。

「理想のマイホーム」を手にする前に、最悪のシナリオも想定しておくこと。それが、長期にわたる住宅ローンと賢く付き合うための第一歩です。


柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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