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地方の実家を相続→「数年以内に売るつもり」で持ち続け…6年後、60代男性を直撃した“1,480万円”の大誤算【お金のプロは見た】

  • 2026.4.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表の石坂です。「とりあえず置いておけば売れるだろう」。地方の実家を相続したお客様から、実際に何度も聞いてきた言葉です。

使用する予定がなく、生活への影響も小さいため、判断は後回しになりがちです。しかし、この“売る前提の放置”が、結果として約820万円の負担、見えない不利を含めて約1,480万円規模の“失われた全体像”につながるケースも少なくありません。

今回は、私が相談を受けた事例をもとに、その構造を数字ベースで紹介していきます。

※ここでいう「1,480万円規模」とは、相続直後に約900万円で売却できたはずの資産を放置した結果、直接的な支出約820万円(維持費・修繕費・解体費・価格下落)に加え、もしその資金を複利2〜3%程度で運用できていた場合の6年間分の運用機会損失相当額約80〜160万円、さらに売却遅延によって生じた資産活用機会の逸失約500万円(相続人が住宅ローンを繰上返済できなかったなどの“見えない負担”)などを含めた「全体的な損失の価値」を示しています。

売るつもりで放置した結果、約820万円の不利になった相談事例

ご相談者は68歳の男性。

地方の実家を相続し、「数年以内に売却するつもり」で保有していました。

相続直後は約900万円での売却が見込まれていましたが、具体的な行動を取らないまま約6年間が経過したといいます。

この間に発生した主な負担は以下の通りです。

  • 維持費:約120万円(年間約20万円)
  • 修繕費:約80万円
  • 解体費:約220万円
  • 売却価格の下落:約400万円

合計で約820万円の費用が発生しました。

今回のポイントとしては、「特別な判断ミスがあったわけではない」という点です。

「そのうち売る」という前提のまま先送りした結果、コストと価値のズレが少しずつ積み上がっていきました。

なぜこのような結果になったのか

FPの視点で見ると、原因は明確です。年間約20万円の固定費が継続して発生し、同時に建物の劣化によって資産価値が下がっていきました。さらに途中で、修繕費や解体費といった大きな支出が加わり、負担が一気に拡大しています。

結果として、6年間で約820万円、年間では約50万円前後の目減りが続いていた構造です。

つまり、「保有しているだけで損失が進む状態」が続いていたということです。

この事例から見える注意点

「年間20万円なら問題ない」という認識は現場でよく見られます。

しかし実際には、固定費だけでなく、劣化による修繕、さらに売却条件の悪化が同時に進みます。

その結果、「修繕しないと売れない」「解体しないと売れない」という状態に変わっていきます。

この段階では、判断は数十万円ではなく数百万円単位になります。ここで初めて大きな負担として認識されるケースが多いのです。

判断の遅れが損失を拡大させる構造

FPの視点では、「使わないと決めた時点」が分岐点です。この段階であれば、売却や活用など複数の選択肢が残ります。状態も比較的良く、コストを抑えた判断が可能になるでしょう。

しかし時間が経過すると、解体費が前提となり、売却価格は下がり、手取りは大きく減少します。

つまり、選択肢は減り、コストは増えるという逆転が起きます。

空き家は「持っているだけなら問題ない資産」ではない

空き家は、何もしていなくてもお金が出ていき、価値も下がっていきます。見た目には問題がなくても、実際には負担が少しずつ増え続けています。

この事例では、税金や管理費などの支出と、資産価値の下落を合わせて約820万円のマイナスが発生しました。

これがまず「見える損失」です。

さらに、売却していれば得られたはずの運用の機会も失われており、その差は約150万円あります。

そして見落としやすいのが、売却が遅れたことによる影響です。本来なら得られた資金を、住宅ローンの繰上返済などに使えなかった結果、約500万円規模(今回の事例のケース)の負担差が生まれました。

つまり、空き家は「持っているだけで何も起きない資産」ではなく、時間が経つほど不利が積み上がる状態です。

売却を考えている場合は、「まだ大丈夫」と先延ばしにするほど差が広がります。早い段階で判断することが、結果的に大きな損失を防ぐポイントになります。


監修・執筆:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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