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定年後も働き“月20万円の年金・月30万円の給与”で生活→「働けば収入は増える」はずが…60代男性を襲った“想定外の落とし穴”

  • 2026.4.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表の石坂です。「働けばその分、収入は増える」と考えるのが自然です。しかし年金には、収入が増えるほど減る仕組みがあります。その結果、「働いているのに手取りが増えない」という状態も起こります。

今回は相談事例をもとに、「収入と年金の関係」で起きる逆転現象を紹介します。

※なお、この事例は、給与や賞与がやや多めの方の極端なケースをもとにした例です。すべての方が同じように大きく減額されるわけではなく、収入や条件によって結果は大きく異なります。

「年収は普通」なのに年金が大幅カットされた理由

ご相談いただいたのは、60代後半の男性です。定年後も再雇用で働き、年金と給与の両方を受け取る予定でした。

年金は月20万円、給与は月30万円ほど。「合計で月50万円くらいになる」という想定です。

給与ベースで見ると、年収は約360万円(賞与や残業を含めても400万円前後)で、決して高い水準ではありません。しかし、ここに落とし穴がありました。年金は「給与と合計した金額」で判定されます。

この方の場合、年金20万円+給与30万円=約50万円となり、年金が減額される基準に近い状態でした。

実際に受け取りが始まると、結果は大きく変わります。

■当初の想定

  • 年金:月20万円
  • 給与:月30万円
  • 合計:月50万円

■実際の受取

  • 給与:月30万円
  • 年金:月5万円
  • 合計:月35万円

15万円分の収入が減る結果となりました。

この背景にあるのが「在職老齢年金」の仕組みです。
給与と年金の合計が一定の基準を超えると、その超えた分に応じて年金が減額されます。

ポイントは、「給与だけで判断されない」ことです。
賞与や残業代も含めた総収入で判定されるため、見た目では問題なくても、実際には基準を超えてしまうケースがあります。

つまり、「働いた分だけそのまま増えるわけではない」という構造です。

「働いた分は増える」という前提が崩れる

今回のケースでの問題は、「働いた分はそのまま収入になる」と考えていた点です。

年金と給与は別の収入に見えますが、実際には合計で調整されます。
そのため、一定のラインを超えると「働いても増えない」「むしろ効率が悪くなる」状態になります。

また、この制度は自動で適用されます。
知らずに働き方を決めると、あとから減額に気づくケースも少なくありません。

特に注意が必要なのは、「少しの差」で影響が出る点です。
給与だけで見ると余裕があっても、賞与や残業を含めると基準を超えてしまうことがあります。

損しないための判断は「合計でいくら残るか」

この制度で重要なのは、「収入は合計で見る」という視点です。

年金と給与を分けて考えるのではなく、最終的に手元にいくら残るのかを基準に判断する必要があります。

働き方としては、次の2つに分かれます。

  • 収入を抑えて年金を維持する
  • しっかり働いて年金減額を受け入れる

どちらかに方向を決めた方が、結果として効率が良くなります。

逆に、基準付近で働くと「働いているのに増えない」という状態になりやすくなります。

今後は制度の見直しにより、年金が減りにくくなる方向も検討されています。ただし現時点では、「収入と年金は連動する」という前提で考えることが大切です。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、2級FP技能士、AFP、マネーシップス代表。累計1,200件以上のご相談、金融関連の記事制作、校正・監修を手掛けています。「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」の6つの分野が専門。お金の運用やライフプランの相談において、ポートフォリオ理論と行動経済学を基盤にサポートいたします。

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