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「家賃7.8万の駅徒歩2分」に即決した30代男性→半年後、約25万円を失ったワケ

  • 2026.4.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社で10年以上にわたり、売買仲介や賃貸に携わってきたライターのT.Sです。住まい探しをする際「駅から近いこと」を最優先の条件にする方は多いのではないでしょうか。

しかし立地だけを重視して契約すると、入居後に想定外の問題に直面するかもしれません。今回は駅徒歩2分という好立地に惹かれて入居したものの、半年で退去することになった30代男性のエピソードを紹介します。

好条件の裏に潜んでいた深夜の異変

30代前半の男性会社員Dさんは、通勤時間を短縮するため駅近物件を探していました。見つけたのは都内近郊にある駅徒歩2分・築12年の1LDKで、家賃は7.8万円と手頃な価格です。線路側にベランダがあるものの、窓は二重サッシになっているとの説明を受けました。

日中の内見時に窓を閉めると、二重サッシの効果もあって電車が通過する音は思ったほど気になりません。Dさんは「これなら問題なく生活できる」と判断して契約を結びます。

しかし入居して最初の週末の深夜、終電後に始まった保線作業(線路の点検・補修工事)の振動でDさんは目を覚まします。窓を閉めることで気にならなくなったのは空気を伝わる音であり、地面や建物の躯体を直接伝わる振動は二重サッシでは防げません。始発から終電まで続く走行振動も同様で、窓の性能とは無関係に身体に届いていました。

想定外の鉄粉被害と苦渋の決断

Dさんを悩ませたのは、日々の振動だけではありません。ベランダの手すりには電車が走行する際に生じる赤茶色の鉄粉が付着していたのです。洗濯物を外に干せず毎日浴室乾燥機を使うため、電気代が跳ね上がってしまいました。

駐輪場に停めていた自転車も、すぐにサビだらけになってしまいます。Dさんは耳栓を購入したりベッドの下に防振マットを敷いたりして、個人的な対策を試みました。しかし身体に伝わる根本的な振動は、そうした工夫では解決しません。

限界を感じて管理会社に相談するも「線路沿いの立地は契約時に認識済みのはず」と取り合ってもらえませんでした。ついに体調を崩してしまったDさんは、わずか半年で退去を決断するに至ります。短期解約による違約金と引越し費用を合わせて、約25万円もの痛い出費となりました。

線路沿い物件を見極めるプロの視点

線路沿いの物件を検討する際は、空気伝搬音と固体伝搬音(建物を伝わる振動によって発生する音)の違いや、振動そのものの影響を理解しておく必要があります。日中の内見で窓を閉めて静かだと感じても、建物に伝わる振動は防げません。内見は日中だけでなく、可能であれば夜間にも物件周辺を歩いて振動の程度を自ら体感してください。

また「線路の脇に保線車両が停まっているスペースがあるか」も、重要な確認ポイントとなります。側線と呼ばれるこのスペースが近くにある物件は、不定期に発生する深夜の保線作業の影響を受けやすい傾向にあるからです。そして鉄粉被害は、不動産会社から渡される物件資料には記載されません。線路から至近距離の物件を検討する場合は、内見時にベランダの手すりや外壁を指でなぞって、鉄粉の付着状況を確認することをおすすめします。



ライター:T.S(宅地建物取引士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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