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築40年超団地を購入も「え、これ…」割安380万円だったのに…入居3ヶ月後、発覚した“大誤算”

  • 2026.4.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

家電や車を買うとき「一度修理してあるので大丈夫ですよ」と言われた経験はありませんか?なんとなく安心してしまう一方で「本当に大丈夫なのか少し引っかかる」という感覚を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。

実はこの“修繕済み”という言葉、不動産の世界では思っている以上に注意が必要です。表面的には直っているように見えても、原因が解決されていないまま、同じ不具合を繰り返すケースは少なくありません。

今日は、若者にも人気の「団地リノベ」に潜む落とし穴として、“修繕済み”という説明を信じて購入した結果、修繕費と不安が積み重なり続けたご夫婦の実例をご紹介します。

「修繕済みだから安心」と信じて購入したAさん夫婦

今回ご相談を受けたのは、40代のAさんご夫婦。価格の安さに惹かれ、築古物件の購入を検討していました。

「この価格なら、リノベしても予算内に収まりそうですね」

そう営業担当に勧められたのが、築40年以上の団地物件。販売価格は約380万円と、周辺相場と比べても明らかに割安でした。ただ、ひとつだけ気になる説明がありました。

「過去に雨漏りはありましたが、すでに修繕済みです」

一瞬だけ不安がよぎったAさん。それでも「直っているなら問題ないですよね?」と確認すると「はい、大丈夫です。今は症状も出ていませんので」と、迷いのない回答が返ってきました。

“修繕済み”という言葉に安心感を覚え、Aさんは修繕の内容や回数までは深く確認せず、そのまま購入を決断しました。

入居後に発覚した“終わらない雨漏り”

入居から3ヶ月ほどは何の問題もありませんでした。しかし梅雨に入ったある日、異変が起きます。

「…あれ?天井に染みが出てないか?」

雨が降るたびに、じわじわと広がる水染み。慌てて業者を呼び、補修工事を実施します。一時的に症状は止まり、Aさんも安心しました。

しかし数ヶ月後。今度は別の部屋の壁から水がにじみ出てきたのです。

「え、なんで今度はここなんだ…?」

再度業者に調査を依頼したところ、衝撃の事実を告げられます。

「おそらく、原因が特定できていない状態です」

過去の修繕履歴を調べて分かった本当の問題

不安を感じたAさんは、管理組合(団地全体の維持管理を行う組織)へ確認を取ることにしました。そこで明らかになったのは、想像以上に深刻な事実でした。

  • 同じ部屋で過去に3回以上雨漏り修繕が行われている
  • いずれも「応急処置」で対応されていた
  • 根本原因は一度も特定されていない

記録を見た瞬間、Aさんは言葉を失います。

「え…これ、ずっと繰り返してるってことですか?」

担当者は少し言いにくそうに「はい…完全に原因が分かっていない可能性が高いです」と説明しました。つまり、修繕済みという説明の実態は、“その場しのぎで止めていただけ”だったのです。

この時点で、Aさんはようやく気づきます。

「これは…終わらないやつだ」

修繕費とストレスが積み重なった末の結末

その後も、雨が降るたびに症状は再発。しかも同じ場所ではなく、天井や壁など、箇所を変えながら繰り返されていきました。そのたびに業者を呼び、補修を行う日々。

結果としてかかった費用は、想定を大きく超えていきます。

  • 初回修繕:約25万円
  • 2回目修繕:約30万円
  • 追加調査・補修:約45万円

合計は、100万円を優に超える金額となりました。しかし問題は、お金だけではありません。

  • 雨が降るたびに天井を見上げる生活
  • カビによる健康面への不安
  • 「またかもしれない」という精神的ストレス

日常の安心は、少しずつ削られていきました。ある日、思わずこぼれた一言。

「なんでこんな物件買ったんだよ…」

その言葉をきっかけに、夫婦間の会話は減少。次第に家の中の空気も重くなり、かつて思い描いていた穏やかな暮らしとは程遠い状態になっていきました。

問題の本質は「直っているか」ではなかった

今回のケースで重要だったのは「修繕済みかどうか」ではなく「原因が特定されているかどうか」という点です。不動産の不具合は、一度発生した時点で“履歴”になります。

特に雨漏りは、

  • 構造的な問題(屋上防水・外壁・配管)
  • 共用部分の劣化
  • 施工不良

など、複雑な原因が絡むケースが多く、表面的な補修では再発する可能性が非常に高いのです。

さらに今回は、売主が個人で「契約不適合責任」を免責とする特約(引き渡し後に見つかった欠陥について、売主が責任を負わないとする特約)が結ばれていました。

つまり、再発してもすべて自己負担。ここを見落としていたことも、大きな誤算でした。

団地リノベは「直した履歴」ではなく「原因」で判断する

団地リノベは、価格の安さやデザイン性から、非常に魅力的に見える選択肢です。しかしその裏には、直しても、また繰り返す不具合が潜んでいるケースも少なくありません。

今回のような失敗を防ぐためには、購入前の確認がすべてです。最低限、次のポイントは必ずチェックしておきたいところです。

  • 修繕の回数(1回なのか、複数回繰り返しているのか)
  • 原因が特定されているかどうか
  • 過去に再発していないか
  • 管理組合の記録や議事録の内容
  • 契約不適合責任の範囲(免責の有無)

「直っています」という一言は、安心材料ではなく「確認」すべきサインです。不具合の本当の原因がわからない限り、本当の意味での安全性は判断できません。

不動産は、価格の安さだけで判断すべきものではありません。「修繕履歴」と「潜在的なリスク」まで見極めることが、後悔しない購入につながります。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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